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株主総会  行政書士試験

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まぐまぐ問題
http://archive.mag2.com/0000260438/index.html

 

 




(解説)
 
関連問題1肢1
 
株主総会に関する問題です。
 
株式会社にはなぜ株主総会があるのでしょう。
 
それは、株主が出資することで会社の経営がなりたっているからです。
 
株主が株式会社の実質的所有者といわれるゆえんです。
 
もっとも、経営自体は取締役に任せているのが通常ですね。
 
株式会社は個人で商売しているのと比べて、日々大量かつ大規模の取引を行っているのが通常です。
 
ですから、経営の判断をするのにいちいち全国にいる多数の株主を集めていたら時間も費用もかかって非合理的であるので、経営のプロである取締役に委任しているのです(会社法330条)。
 
これを会社の合理化の要請といいます。
 
しかし、取締役に任せたはいいものの、会社の資金を悪用したり、経営判断にミスが多かったりすれば、会社は利益を増やすことが出来ず、せっかく出資した株主にも配当がこないことになり、株主にとって不利益となります。
 
そこで、株主総会は取締役の経営判断などを監視、監督するために会社の機関として存在しているのです。
 
そのため、株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができるのです(295条1項)。
 
簡潔にいうと、お金を出すからには口も出しますよということです。
 
どちらかといえばこのようなタイプの会社は、株主が集まって経営に口がだせるくらい小規模な会社が多いです。
 
これを会社の適正化の要請といいます。
 
これに対して、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができ、株主の決議事項が限定されています(295条2項)。
 
それは設置した取締役会自体に取締役を監視する役割があるので(362条363条)、株主総会では、会社の存続に関わるような重大事項(合併など)などについて決議されるのです。
 
このように、取締役会設置会社においては、取締役会非設置会社に比べて、経営する側と出資する側との役割が分化しているのです。
 
株主が多数いる大規模会社などをイメージしていただければ、お分かりになると思いますが、このよう規模の株主は配当や株価の上下に関心があっても、経営には関心がないことが多くなります。
 
また大規模な会社であれば株主総会を何度も開くことは費用の面でも時間的な面でも困難なのです。
 
ですから、経営については取締役と取締役会に任せ、基本的な監視は取締役会に委ねて、重大な事項のみ株主が株主総会で判断するのです。役割分担によって会社の合理化と適正化を図っているのです。
 
よって、関連問題1肢1は誤りです。
 
会社法はこの会社の合理化と適正化のバランスを考慮して規定されているものです。
 
民法における公平のバランスと同じくらい重要な視点です。
 
ですから、会社の合理化と適正化のバランスという視点は、会社法の問題を解くときに必ず手がかりとなるものですから、しっかり理解してください。
 
また、会社法の機関構成は憲法における三権分立に類似していますので以下のようにイメージして覚えておくとよいでしょう。
 
株主総会=国会、取締役会=内閣、(代表)取締役=内閣総理大臣、監査役=裁判所
 
関連問題1肢2
 
これは改正前と改正後の比較問題です。
 
改正前は、株主総会は、定款に別段の定めがある場合を除き、本店の所在地またはこれに隣接する地で招集しなければなりませんでした。
 
しかし、定款で開催場所を定めている会社が多いのが現状でした。
 
また、定款で定めていない場合に、本店の所在地またはこれに隣接する地で招集しなければならないというのは招集地が限定され、株主にとっても不便なものでした。
 
そのため、従前の規定はあまり意味のある規定ではなかったので、改正後の株主総会の招集場所は、会社の自由に任せ、限定したい場合に従来どおり定款で定められるようにしたのです。
 
よって、誤りです。
 
関連問題1肢3
 
株主総会を招集するには、取締役は、原則として株主総会の日の二週間前までに、株主に対してその通知を発しなければなりません(299条1項)。
 
株主に議決権行使の機会と準備の余裕を与えるためです。
 
では、特別利害関係を有する株主に対しても通知をしなければならないのでしょうか。
 
特別利害関係とは、株主としての資格を離れた個人的利害関係をいいます。
 
例えば、当該会社から退職金が支給される決議において支給を受ける従業員などが株主として議決権を行使できるためには、通知が必要かということです。
 
このような特別利害関係を有する株主の議決権を一律に排除すべきとも思われますが、それではそれとは関係のないその他の議決事項について正当な内容の決議も成立しない可能性が生じます。
 
また、特別利害関係人が議決権を行使したことによって著しく不公正な決議がされた場合は、決議取消の訴えで取消すことができます(831条1項3号)。
 
つまり、この条文からもわかるように特別利害関係人が議決権を行使できることが前提となっているのです。
 
このように、平たく言えば、とりあえず特別利害関係人も決議に参加させて、事後的に解決すればよしとするということです。
 
ですから、特別利害関係を有する株主に対しても通知をしなければならないのです。
 
よって、正しいです。
 
関連問題2肢1
 
招集権者による株主総会の招集の手続を欠く場合、決議取消原因となり、決議取消の訴えをすることができます(831条1項3号)。
 
もっとも、株主総会の招集の手続をするのは、株主に議決権行使の機会と準備の余裕を与えるためです。つまり、株主保護のためです。
 
そうすると、株主全員がこのような利益を放棄して総会に出席した以上、もはや保護する必要もなく有効と解されるのです。
 
株主全員が出席している以上、会社の適正化の要請にも反しません。
 
ですから、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項について決議をしたときには、この決議は株主総会の決議として有効に成立するのです。
 
よって、正しいです。
 
なお、全員出席総会なんて現実にあるのだろうかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、株式会社といっても数人の株主しかいない小規模のものもあるのです。
 
このような小規模の株式会社をイメージすると理解できると思います。
 
関連問題2肢2
 
前述したとおり、株主総会は取締役の監視機関なので、株主ができるだけ株主総会で議決権を行使できるようにすることが、会社の適正化の要請に合致します。
 
ですから、例えば、同日時に複数の株式会社の株主総会があった場合、その複数の会社の株主は一つの会社しかいけませんから、代理人によって議決権を行使させるのが会社の適正化の要請に合致します。
 
そのため、株主は代理人より議決権を行使することができます(310条1項)。
 
では、株主総会において議決権を行使する代理人を株主に限る旨の定款の規定は、有効でしょうか。
 
世の中には悪いことを考える人間もいますから、例えば総会屋などのような会社を困らせる目的をもった人間が代理人になって株主総会に参加すると、問題文にもあるように株主総会が撹乱されるおそれがあります。
 
これでは、株主総会で円滑な決議ができず取締役の経営判断にも影響し、会社の合理化の要請にも反するので、これを防いで代理人の資格の制限をする必要があります。
 
ですから、定款の規定で議決権を行使する代理人を株主に限っても、会社の利益を保護する趣旨にでた合理的理由による相当程度の制限であって、有効なのです。
 
よって、正しいです。
 
関連問題1肢4
 
これも改正前後で異なる問題です。
 
株主は、その有する複数の議決権を統一しないで別々に行使することができます(313条1項)。
 
例えば、複数の株主から株式信託を受けている場合、形式的に株主名簿上は株主信託を受けている者一人であっても、実質的には株式信託をした株主の意向に沿って議決権を行使するので、複数の議決権を統一しないで別々に行使することができるのです。
 
ここまでは改正前も同じです。
 
そして、改正前は、会社の事務処理上の便宜のため、株主総会の日の三日前までに、会社に対してその有する議決権を統一しないで行使する旨及びその理由を通知しなければなりませんでした。
 
しかし、改正によって、有限会社法が会社法に取り込まれたため、取締役会を設置しない小規模株式会社が存在するようになりました。
 
このような小規模会社では、事務処理上の便宜を考慮する必要がないので、事前通知を必ずしもする必要はないのです。
 
そこで、改正後の会社法では、取締役会設置会社の場合のみ行使する旨および理由を通知しなければならないと規定されたのです(313条2項)。
 
よって、誤りです。
 
関連問題1肢5
 
取締役は、株主の数が千人以上である場合は、原則として株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使できるようにしなければなりません(298条2項)。
 
できるかぎり会社の適正化のため株主総会に株主を出席すべきでしたね。
 
そのため、遠隔地に居住しているなどの事情により株主総会への出席が困難な株主の議決権行使を容易にして株主の意思を決議に確実に反映させる必要があります。
 
また、定足数の確保のためという理由もあるからです。
 
このような趣旨は、何も千人以上株主がいる会社だけに妥当するわけではなりません。
 
そのため、それ以外の会社でも書面による議決権の行使を認めることができるのです(298条1項3号)。
 
よって、正しいです。
 
関連問題2肢3
 
この問題から、株主総会の決議取消しの訴えに関連する問題です。
 
前述したとおり、会社の適正化の要請から、株主総会は会社を監視、監督するために会社の機関として存在しています。
 
また、株主にとって株主総会は経営に参加できる唯一の場です。
 
ですから、株主総会の招集手続に瑕疵がある場合、株主の意見が議決権を通じてそのまま反映されないことになるので、会社の適正化の要請に適切に答えられなくなり、監視、監督機関としての株主総会の機能が害されることになります。
 
そうすると、招集手続の瑕疵は株主総会全体に関わる問題となりますので、その瑕疵が、自己に対してであろうと他の株主に対してであろうと、害された機能を回復し、公正な決議を保持するために決議取消しの訴えができなければなりません。
 
ですから、他の株主に対する招集手続に瑕疵がある場合でも、株主総会の決議取消しの訴えを提起することができるのです。
 
よって、正しいです。
 
関連問題2肢4
 
株主総会の決議を受けて、取締役が実際に経営していくので、会社と取引関係に立つ第三者も現れます。
 
そうすると、長年の取引関係が構築された後に、例えば、数年前の株主総会の招集手続きの瑕疵に基づき決議取消しの訴えが提起され決議が取消されると、遡及するので、その決議に基づいてなされていた今までの会社取引が全て覆ることになります。
 
確かに、会社の適正化の要請からすると株主総会の招集手続きに瑕疵があった以上、もう一度最初からやるべきとも思われます。
 
しかし、いつでも誰でもどの方法でも決議取消しの主張ができるとしたら、会社の経営が成り立たなくなり、取引の第三者にも損害を与えることになって法的安定性を欠き、会社の合理化の要請に著しく反することになります。
 
また、後述する株主総会の決議無効原因と違って、決議取消し原因は招集手続きの瑕疵などにみられるように比較的軽微な瑕疵なのです。
 
ですから、長年の取引関係が構築された後であれば、現状を尊重し、瑕疵はそのままの状態にしておいてもそれほど会社の経営状態に影響はなく、会社の適正化の要請に著しく反することになりません。
 
そこで、会社の合理化と適正化のバランスを考慮して、提訴期間、提訴権者、提訴方法が限られているのです(831条1項柱書)。
 
ですから、提訴期間が経過した後であっても、新たな取消事由を追加して主張することはできないのです。
 
よって、誤りです。
 
関連問題2肢5
 
肢4で解説した決議取消しの訴えと異なり、決議無効原因は決議の内容自体に法令違反があるなどの重大なものです。
 
とすれば、会社の適正化の要請がより強く働きますから、法的安定性を欠き、会社の合理化の要請を後退させてでも、いつでも誰でもどの方法でも決議無効の主張ができるのです。
 
逆に言うと、重大な原因でなければ、決議無効の主張を認めるわけにはいかないのです。
 
ですから、問題文の「単に決議の動機または目的において公序良俗に反する不法がある場合」は、決議の内容自体に法令違反があるなどの重大なものではないので、その株主総会の決議は無効とならないのです。
 
よって、正しいです。
 
以上のように、会社法の問題を解くときには、会社の合理化と適正化のバランスという視点を、必ず意識してみてください。
 
 
 
 

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