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(解説)
 
 
まず、解説に入る前に、会社法を勉強する上での大きな視点について、イメージも取り入れつつみていきましょう。
 
私が会社法にもつイメージは中世ヨーロッパの大航海時代です。
 
新大陸や食料、お宝を求めて船で長期間の旅にでる、夢と現実が交錯する世界…会社というのも、いわば社会という大海原に旅立つ新しい船を造って航海していくのと同じようなイメージです。
 
目的は、新大陸や食料、お宝など利益になるものを見つけて国を発展させることです。
 
つまり、会社は営利社団法人ですから、いかに利益を追求して会社の規模をどんどん大きくし、会社内部にとどまらず、対外的にも影響力を増すことで、社会や国の発展に寄与することが目的です。
 
大海原には、荒波も待ち受けていますから、船員やその船がもたらす利益を待っている関係者に迷惑をかけないような頑丈な船を造り、少し壊れても適切に修復しながら航海をしていく必要があります。
 
同じように、会社が設立されれば、取締役などの会社の機関はもちろん出資者たる株主や債権者、その他の取引関係者など沢山の人が関わっていきますから、会社やそれらの利害関係者に迷惑がかからないように、会社の設立・経営は慎重にしなければなりません。
 
反面、お宝探しは早いもの勝ちですから、必要以上に頑丈な船を造り、船を守ることばかりに時間をかけていては、いつまでたってもお宝などを発見することはできません。
 
そのため、ある程度の頑丈な船ができたら出向して、後は、航海しながら迅速かつ臨機応変に困難を乗り切り、できるだけ早くお宝などを発見して持ち帰ることも必要です。
 
同じように、できるだけスムーズに会社を設立し、迅速かつ臨機応変に経営判断をしながら、利益を追求して社会に早期に還元していくことも必要です。
 
このように、会社経営には、慎重さと迅速さのバランスが重要なのです
 
頑丈な船を素早く造って出向し、何度もぶつかる困難に対して適正かつ迅速な判断をしながら航海できるバランスの取れた船だけが大航海時代では生き残れるのです。
 
同じように、会社も、しっかりかつスムーズな設立・経営を維持しているバランスの取れた会社が成長し、利益を還元していくことが社会にとっても望ましいのです。
 
これを、会社法では、会社の適正化と合理化のバランスといい、会社法の勉強をする際の大きな視点となりますので参考にしてみてください。
 
この大きな視点で会社設立までの手続きの流れをみていきましょう。
 
会社の設立というのは、いわば社会という大海原に旅立つ新しい船を造ることと同じです。
 
荒波を乗り越える船を造るためには、不正のないしっかりした設計図が必要です。
 
この設計図にあたるのが、会社の根本規則である定款です。
 
まず、定款を作成して、認証を受けなければなりません(会社法26条1項、30条)。認証を受けるのは、定款の内容を明確にして、不正行為などを防止するためです。
 
次に、船を作るには、材料費や工賃などがかかりますから、お金が必要です。このお金にあたるのが、出資です(34条、63条等)。出資は、2種類あります。
 
発起人が全て出資する場合(発起設立)と発起人および他人からの出資を募る場合(募集設立)です。
 
発起設立は、イメージで例えると、航海にいこうとする者が、自ら船の設計図を造り、お金もだし、自ら船に乗って、お宝を探しにいくという過程をすべて発起人だけで行う場合をいいます。
 
これに対して、募集設立は、お金は全部だせないが、後は基本的に全てやる場合をいいます。
 
次に、実際に航海する際の、船の船長や乗組員を決めます。
 
これにあたるのが、取締役等の役員の選任です。
 
そして、出国審査を経て、完成した船をお披露目して、いよいよ出航することになります。これにあたるのが、設立登記です(49条)。
 
登記がされれば、公示されますから、対外的にも会社が成立したことがわかります。
 
最後に、もし船の造船過程・完成に関して違法・不正なこと等が行われていたならば、そんな悪いことをした造船関係者らは責任を取らなければなりません。
 
これにあたるのが、発起人等の責任です。(52条、103条等)以上の手続きの流れを示すと、以下になります。
 
①定款の作成・認証(定款は、会社の根本規則で、船の設計図です。)
②出資(設立時の株式発行等により、会社財産の基礎を形成する。資金集めです。)
③取締役等の選任(設立後の会社経営者等を決めます。船長等の選任です。)
④設立登記(登記がされて初めて法人格を付与されます。出国審査です。)
⑤責任
 
このように、会社の設立は、定款→金→人→登記→責任という5段階の手続きの流れを、まずは原則として押さえておきましょう。
 
この流れを原則として、この流れにあてはまらないものを例外として考えていけば理解しやすいと思います。
 
では、本問を正解するためには、最小限どの肢がわかればよいでしょうか。正攻法で解くなら、イとオ、消去法で解くなら、アとウの2肢さえわかれば、この問題は解けます。
 
各々の肢は会社設立までの手続きのどの部分にあたりますか
定款→金→人→登記→責任という5段階の流れにあてはめてみると、イ=金 オ(エ)=責任  ア=人 ウ=責任となります。
 
エは責任と表裏の関係にある権限の問題なので責任と考えてよいでしょう。これらの肢を正解するための必要最小限度の知識は何でしょうか。必要最小限度の知識は、
 
イ=現物出資と財産引受けの区別
オ(エ)=発起人の責任(権限)
ア=発起設立と募集設立の区別
ウ=引受人の失権
 
ただし、必要最小限度の知識は、現段階では個々人の勉強の進み具合によっても異なりますので、あくまでも目安と思ってください。
 
なぜ、これらが必要最小限度の知識となるのか、大きな視点、手続きの流れ等を結び付けて考えてみましょう。
 
なお、基本的に、→は、上位概念→下位概念を表しています。
 
また、=は、同一範疇や種類の一つなどを、⇔は、交換関係を表しています。会社設立のマインドマップも参照してみてください。
 
<イ>
 
原則として出資の方法は金銭であり、この出資に対して設立後に株式が株主に発行されます。
 
原則:会社の設立→出資=金⇔株式→34条・63条
 
例外として現物出資や財産引受があります。
 
会社の設立→現物出資→出資=物⇔株式→34条(28条1号)
 
会社の設立→財産引受→契約=物⇔(金)→34条(28条2号)
 
なお、財産引受とは、発起人が会社の成立を条件として成立後の会社のために一定の営業用の財産を譲り受ける契約ですから、取引行為です(会社法28条2号)。
 
なぜ、この財産引受が、定款に記載しないと効力が生じない変態設立事項であるのかおわかりでしょうか。
 
私的自治の原則からすれば、契約自由の原則の下、自由に取引できるはずです。
 
しかし、発起人が財産引受けの相手方から譲り受ける物を過大に評価して、市場取引価格に比べて会社が高く買い取ることで、会社の財産的基礎を危うくさせてしまうことがあるのです。
 
そこで、このような取引を防いで、設立したばかりの会社のしっかりした財産的基礎を維持するために、定款に記載させて会社の適正化を図っているのです。
 
これに対して、現物出資とは、文字通り、現金ではなく現物をもって出資することをいいます(28条1号)。
 
出資ですから、その対価として株式が発行されるのです。
 
この場合も、財産引受と同様に、出資される現物を過大に評価して、株式を必要以上に発行することで、会社の財産的基礎を危うくさせてしまうことがあるのです。
 
そこで、このような出資を防いで、設立中の会社が、しっかりした財産的基礎を形成できるように、定款に記載させて会社の適正化を図っているのです。
 
財産引受けの対価=金銭、現物出資の対価=株式という区別を押えておきましょう。 
 
<オとエ>
 
原則として発起人等の責任は、会社成立後に問われます。
 
会社成立後→責任=発起人および設立時取締役等の責任→不足額填補責任→52条1項
 
例外:会社が不成立の場合の責任は発起人が負います。
 
会社不成立→責任=発起人の責任→費用負担など→56条
 
<ア>
 
発起設立→人=取締役等の選任→発起人→40条
 
募集設立→人=取締役等の選任→創立総会→88条
 
<ウ>
責任→株式引き受けの失権=(引受担保責任)の廃止→会社法の改正=改正前商法192条の廃止
 
さて、以上の上位概念→下位概念などの流れは一体何の意味があるのでしょうか。肢イを利用して会社法の勉強方法について解説していきます。
 
まず、本問を正解するための直接的な知識は、条文です。
 
上位概念→下位概念などの流れでいうと、最下位概念にあたり、一番右端にきています。
 
イ:34条(28条1号2号)オ:56条 ア:40条
 
 
ウ:会社法の改正=改正前商法192条の廃止
 
このくらいの問題の条文を覚えることは、たいした量ではないでしょう。
 
しかし、会社法は、条文数が民法と大差ないくらい1000条近くあります。
 
その上、民法などと異なり、会社法は、既存の過去問数が少ないために、過去問以外から出題される可能性のある範囲が非常に広いのです。
 
つまり、条文でいうと、未出題の条文数の方がはるかに多いのです。
 
ですから、会社法の対策として、個々の条文を覚えて備えるというのは、同じ問題が出ればいいのですが、出なければアウト、賭けです。
 
そして、このように条文を丸暗記するという勉強の仕方は、比ゆ的にいうと「」の勉強方法です。
 
これでは、せっかく沢山の知識を持っていても本番でうまく利用することができません。
 
そこで、会社法の対策として、設立手続の流れや上位概念→下位概念などの関係性を意識しながら勉強する方法が有効なのです。
 
これが、「線」の勉強方法です。何も難しい勉強方法ではなく、普段受験生の皆さんが勉強していることをただ意識化するだけのことです。
 
お使いになっているテキストや六法で目次や設立の分野、項目などを目で追っていきながら財産引受(34条、28条2号)について記載されている箇所をご覧になってください。
 
テキストや六法では、だいたい設立の分野→出資の方法→金銭出資(原則)→財産引受け(例外)→条文という配列になっているので、各項目を通りながら財産引受にたどりつくはずです。
 
ですから、無意識的にでもこの流れに沿ってテキストや条文を勉強しているはずなのです。
 
ところが、勉強が進むと条文に近い知識が増えてきますから、財産引受の部分だけを直接確認するようになります。
 
そうすると知らないうちに、
 
設立の分野→出資の方法→金銭出資(原則) / 財産引受(例外)→条文、
 
あるいは上記の例題で出した財産引受だけの流れでみると、
 
会社の設立→出資=契約=(物)⇔(金) /  財産引受=34条(28条2号)
 
のように、/ の部分で流れが分断されてしまいます。
 
例えば、イの問題文後半の「財産引受については、発起人以外の者もその相手方となることができる。」の正誤を判断するとしましょう。
 
分断された状態では、「点」の記憶に頼ることになるので、財産引受ってどういう意味だっただろうと必死に条文を思い出す方向に思考がいきます。
 
財産引受の意味を思い出すのにそれよりも下位概念である条文の文言などさらに細かい情報を必死に思い出して解決しようと思ってしまうのです。
 
勉強が進むと、知らないうちにだんだんこの傾向が強くなっていきます。憶えた方が早いという意識=「点」の勉強方法による賭けに頼ってしまうのです。
 
これに対して、流れが分断されないように「」を意識しながら勉強していると、この流れを逆方向に戻ることができるようになっていきます。
 
そうすると、上記の問題の正誤に迷った場合、条文が思い出せなくても、その一つ上の上位概念に戻って考えることができます。
 
会社の設立←出資の方法=契約←財産引受け=34条(28条2号)
 
つまり、財産引受けの意味を一つ上の上位概念の「契約」に戻って考えることができるのです。
 
後はこれに自分の持っている基本的な理解を活用すれば、十分正誤が判断できます。
 
<イ>
 
まず、問題文の後半部分「財産引受については、発起人以外の者もその相手方となることができる」からみていきましょう。
 
民法でも勉強したように契約には相手方が必要です。
 
発起人一人でも会社を設立できますから、発起人と契約する相手方が発起人以外の第三者になることがあるのは当然です。
 
そうすると、「財産引受については、発起人以外の者もその相手方となることができる。」が正しいとわかりますね。
 
もし条文を忘れてしまっていても、より上位概念であり、かつより基本的な知識である「契約」に戻って考えれば、正解できるのです。
 
より上位概念で問題が正解できるのであれば、それだけ理解して憶える量は減っていきます。
 
この「契約」がこの問題の後半部分の必要最小限度の知識であり、上記の「契約」に対する基本的な理解が必要最小限度の理解です。
 
このように、普段の勉強で「線」を意識して、上位概念⇔下位概念という振り子のように行ったり来たりできるようにしておくと、本番で実際に問題を解くときに大いに役立つのです。
 
次に、イの問題文前半部分「会社の設立に際して現物出資を行うことができるのは発起人のみである」の正誤についてみていきましょう。
 
設立の場面での現物出資は、発起人のみができます。
 
そして、現物出資は募集株式発行(199条1項柱書)の場合もでき、この場合は、発起人以外の者もできます(208条2項)。
 
これらの知識があれば、簡単に正誤がわかるのですが、もし、本番で「発起人のみ」の正誤で迷ったとき、どう対処しましょう。
 
条文を思い出そうという「点」で考えても「発起人のみ」か「発起人以外の者も可」で迷うだけです
 
しかし、上位概念に戻って、自分の持っている基本的な理解を活用すれば正解を導けます。
 
まず、ここで迷うということは、募集株式発行に現物出資があることまでは押さえているはずです。
 
募集株式における現物出資について、同じように上位概念→下位概念で示すと、
 
会社の合理化→募集株式発行→現物出資=物→発起人以外の者も可→208条2項
 
となります。
 
そして、上記の設立の場合の現物出資との分岐点は、上位概念の募集株式発行と会社の設立の部分です。
 
この募集株式発行と会社の設立を比較して、会社の適正化と合理化の要請という大きな視点から考えます。
 
募集株式発行というのは、機動的な資金調達をして、会社の組織的規模を拡大する場面ですから、迅速性が重視されます。
 
つまり、慎重さが要求される設立の場面よりも会社の合理化の要請の方が強いのです。
 
会社の合理化→募集株式発行
 
会社の適正化→会社の設立
 
後は、「発起人のみ」か「発起人以外の者も可」のどちらが会社の適正化と合理化とより結びつくかを自分の持っている会社法の基本的な知識で考えればよいのです。
 
発起人とは、自分で会社を興そうとしている人です。
 
すぐつぶれそうな会社を設立しようなどとは通常思いませんし、5段階の手続きの流れでみたように、違法なことをすれば責任を問われます。
 
これに対して、発起人以外の者は、出資者、つまり投資家です。
 
株主になろうとするわけですから、出資した分は損しますが、その責任は有限です(株主有限責任 104条)
 
ですから、より責任の重い発起人のみの現物出資の方がより慎重であることは推測できます。
 
そうすると、上記でみたとおり、設立と募集株式発行では、慎重さは設立の方が要請されますから、慎重な現物出資つまり会社の適正化に結びつくのは、「発起人のみ」の方ですね。
 
 
これで、仮に条文を忘れてしまって迷ったとしても、イの問題文前半「発起人のみ」は正しいとわかるわけです。
 
この問題を正解するための必要最小限度の知識は、現物出資には、会社の設立と募集株式発行の場合の2種類あることです。
 
そして、上記の会社の設立と募集株式発行に対する基本的な理解が、必要最小限度の理解です。
 
要するに、会社の適正化と合理化という大きな視点と発起人の責任、株主有限責任、この理解だけです。
 
これらのイの前半・後半部分の問題を合わせると、イ全体を正解するための必要最小限度の知識は、まとめてしまえば現物出資と財産引受けの区別となるのです。
 
よって、イは正しいです。
 
この必要最小限度の理解を伴った必要最小限度の知識があると臨機応変に問題が解けるようになるのです。
 
行政書士試験では、細かい条文知識がないと解けない問題はほとんど出ません。
 
誰もが最初のころに勉強するような基本的な条文知識と、その知識を裏付ける理解があればほとんどの問題が解けます。にもかかわらず、知識偏重型の勉強方法を取るのは非常にもったいないです。
 
そして、上記で示した必要最小限度の知識を身につけるために、必要最小限度の理解が必要なのです。
 
この必要最小限度の理解を身につけるには、普段の勉強から上位概念⇔下位概念を振り子のように行ったり来たりすることを意識することが大事なのです。
 
以上をまとめると、
 
(1)
 
普段の勉強で「線」を意識して、上位概念⇔下位概念というように、行ったり来たりできるようにしておく。
 
要するに、今自分がどの分野のどの項目のどの部分(原則?例外?)を勉強しているのかをテキストや条文の体系、項目の流れをただ強く意識するだけのことです(木を見て森をみずにならないようにする)。
 
(2)
 
過去問などを解くときは、常に会社の適正化と合理化の視点を持って、上位概念⇔下位概念のどこの段階までを知っていれば正解できるのかを意識する。
 
これが、その問題を正解するための必要最小限度の知識になります。
 
なお、出題形式の違いも意識して、簡単な肢から解いて正解率を上げる訓練も同時にしてみてください。
 
(3)
 
必要最小限度の知識を身につける必要最小限度の理解は何かを考える。
 
その際、必要最小限度の理解を支える基本的な知識・理解は何かを考えて、テキストや条文などを確認する。
 
例えば、上記のイの例ですと、契約の意味、発起人の責任、株主有限責任などです。
 
(4)
 
 (1)~(3)を何度も繰り返す。繰り返していくと、不要な知識は減っていく代わりに、受験生なら誰でも知っている基本的な知識は確実になっていきます。
 
このように普段から意識して勉強したり、過去問を解いたりしていくと、全体の関係性もみえてきますから、未出題の問題にも応用しやすくなります。
 
この勉強方法を意識化することが、過去問を意識して解く、の意味なのです。勉強方法の一つとして、参考にしてみてください。
 
<オとエ>
 
オとエはいわば表裏の関係にあるので、一緒に解説していきます。
 
定款→金→人→登記→責任という手続きの流れからすると、会社が設立するまでに取締役等が選任されているはずです。
 
それなのに、結果的に会社不成立の場合には、それらの取締役等は責任を負わなくていいのでしょうか。
 
設立時取締役等は、文字通り会社の「設立時」、つまり登記によって会社が成立して初めて会社の機関としての立場で業務執行権限と責任を負うのです。
 
設立時取締役等は、船で言うと船長などの乗組員ですから、船が造られ、出航して初めて船長などの立場で舵を取り、責任を負うのです。
 
ですから、設立中は、設立時取締役等が発起人に代わって業務執行権限を有しないし、会社が不成立ならば、責任も負いません。
 
そうすると、後は権限や責任のあるものは、発起人しかいませんね。ですから、設立中は発起人が権限をもち、会社不成立の場合は発起人が連帯して責任を負うのです。
 
なお、連帯して責任を負うのはわかりますか。
 
会社というのは、民法上の個々人でなされる契約と異なり、関わる人や組織(その他の会社など)の量が多いですから、発起人が複数いた場合、より重い責任を負わせるために分割責任ではなくて、連帯責任を負わせたのです。
 
民法よりも債権債務関係が強化されているのです。
 
権限のあるところに責任もあり、権限の大きさに比例して、責任も大きくなっていくのです。
結局これらの肢は、発起人の権限と責任を問うているのです。
 
そうすると、オの正誤は、仮に条文(56条)を知らなくても、上記の程度の発起人の責任についての基本的なことがわかっていれば判断できます。
 
エも、権限は、責任と表裏の関係にありますから、発起人の権限の基本的なことがわかっていれば判断できます。
 
よって、オは正しく、エは誤りです。
 
なお、会社がいったん設立してしまえば、設立時取締役等の設立中の行為について責任を問われることには注意してください(52条 53条参照)。
 
<ア>
 
どうして、創立総会は、募集設立の場合にしかないのでしょうか。
 
上記で解説したように、出資者が発起人のみの場合が発起設立で、出資者が発起人および第三者の場合が募集設立です。
 
そして、取締役等の選任は、出資者によって決定・選任されますから、第三者が参加している場合は、選任手続きが公正かつ明確でなければなりませんので、創立総会が開かれるのです。
 
イメージでいうと、第三者たる出資者は、発起人にとっていわば後援者ですし、後援者同士が互いに知らない可能性がある中で今後の会社経営者を選任するわけですから、それなりの会合が開かれなければならないのです。
 
これに対して、発起人は一人でも会社を設立できますから、自分一人で選任するのに創立総会を開く必要もないですし、複数いたとしても、共にこれから会社を設立していこうといういわば仲間あるいは同士ですから、発起人組合という民法上の組合で取締役等を選任しても問題ないのです。
 
ですから、創立総会は募集設立だけで行われるのです。
 
そうすると、アの正誤は、発起設立と募集設立の区別がつけば判断できますね。
 
よって、アは誤りです。
 
<ウ>
 
募集株式の引受人が払い込みをせずに失権したら、出資されないことになるので、本来会社に入ってくるはずの財産が減ってしまいます。
 
この場合の引受け責任を、会社法改正前は、発起人に負わせていました(引受担保責任 改正前192条)。
 
それは、設立時に発行する株式総数が定款記載事項になっていたからです。
 
例えば、設立時に発行する株式総数を定款で1000株としていた場合に、株式の引受けが失権して、900株となったとしましょう。
 
この場合でも、資本金が1000万以上であり、他の法令違反がなければ原則として会社は設立できました。
 
もっとも、定款に記載した株式総数に達していませんから、この責任を発起人に負わせていたのです。
 
株式の引受けが失権した場合、およびそれに伴って出資も払い込まれませんから、引受け・払込み担保責任を負わせていたのです。
 
会社を設立すれば、多数の利害関係人がでてきますから、慎重な設立が求められていたのです。現在の会社法よりも会社の適正化の要請が強かったのです。
 
しかし、こうした責任を負わされるような慎重さを要求されると、会社を設立しやすい社会的な環境にあるとはいえないですね。
 
ちょうど改正前当時は、いわゆるバブル時代の崩壊で社会的な景気が低迷していたため、社会経済の発展する環境を作ることが必要でした。その一つが会社法の改正です。
 
若くて才能はあるがお金がない人でも会社を立ち上げて、いわばベンチャー企業をどんどん設立して社会を活性化してもらおうということが要請されたのです。会社が増加すれば、雇用も促進され税金も増加するからです。
 
そこで、改正の一つとして、上記の設立時に発行する株式総数を定款記載事項から除去して、代わりに「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」(27条4号)が定款記載事項になりました。
 
これにより、発起人が自分で決めた設立に際して出資される財産の最低額さえ満たせば、設立ができるようになりました。
 
最初から定款で株式総数を決定しなくてもいいし、極端にいえば1円からでも会社が設立できるようになったのです。
 
そのため、株式の引受けがなされず失権しても、上記の最低額さえ満たせばいいので、責任を負う必要がなくなったのです。
 
なお、ウの肢は、募集設立の場合を聞いていますが、それは改正前では、失権する場合が募集設立のみで、発起設立の場合は規定されていなかったので、その混同をねらったのでしょう。
 
改正後は、発起設立の場合でも、失権するようになりました。
 
そうすると、ウの正誤は、会社法改正後の引受人の失権あるいは引受け担保責任の廃止についてわかっていれば、判断できます。
 
仮に、この引受人の失権という具体的な知識がなかったとしても、上記のような会社法の改正の趣旨がわかっていれば、会社をより設立しやすくして、会社の適正化よりも合理化を要請したものであることはわかるはずです。
 
そうすると、それに伴い発起人の責任が軽減されるだろうという推測もできるでしょう。
 
この場合は、会社法の改正=発起人の責任の軽減という理解があれば、このウの正誤が判断できます。
 
わからないときは、上位概念に戻って少し大雑把に考えてみるということも大事な戦略の一つなのです。
 
よって、ウは誤りです。
 
以上から、本問は、基本的な知識と理解だけですべて解けてしまいます。
 
しかも、2つの肢、正攻法ならイとオ、消去法ならアとウ、どちらかだけで正解できてしまう問題ですから是非とも正解したい問題の一つです。これで、本問自体の解説は終わります。
 
もっとも、会社法の範囲は広いですから、過去問を勉強するだけで対策になるのか不安に思われる方もいらっしゃると思います。
 
会社法は範囲が広いので、どこから手をつけてよいか、どこまでやったらいいのかの判断が非常に難しい科目の一つです。
 
それに対処するには、やみくもに会社法の全範囲を勉強するよりも、まずは過去問から得た理解と知識を核となる骨格としての情報を整理することが重要です。
 
この核となる骨格を作りあげれば、あとはそれに少しずつ肉付けしていくという勉強方法の方が少ない情報からスタートするので合理的だからです。
 
過去問を利用して集約された知識が最も基本的な骨格となると思ってください。
 
なお、会社法の全体像はテキストや条文などで確認して、どんなことを勉強するのかくらいは把握しておいてください。
 
その際、会社の適正化と合理化という大きな視点は常に意識するようにしましょう。
 
 
今回はこのあたりで終わります。
 
 
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(解説)
 
訴え提起から判決までの訴訟手続の流れについて勉強していきます。
 
 
今までも何度もでてきましたが、行政事件訴訟法は民事訴訟法の特別法です。
 
ですから、行政事件訴訟法で規定されていないものは、民事訴訟の例によります(行政事件訴訟法7条)。
 
よって、B=民事訴訟となります。
 
そのため、訴え提起から判決までの訴訟手続の流れは、民事訴訟法における手続の流れと共通する部分が多いです。
 
手続の流れを簡潔にみていきましょう。
 
まず、紛争解決の手段として訴訟を選ぶのか、不服申立を選ぶのか、あるいは、当事者の合意である和解などを選ぶのかは当事者の自由な選択に委ねられます。
 
民事訴訟の対象となる私人間の権利関係については私的自治の原則が認められるため、この原則を民事訴訟手続にも反映したものです。
 
ですから、訴訟の開始・審理・終了についてどのような方法をとるかは当事者に委ねられるのです。
 
これを、処分権主義といいます。
 
当事者の判断に委ねられるので当事者主義ともいわれています。
 
イメージで言うと、これから格闘技の試合をしようとするときに、誰と、どの会場で(例:東京ドーム)、どのようなルールで(例:ボクシング、プロレス、K-1など)、どれくらいの賞金にするかなどについて、当事者の判断に委ねられるということです。
 
よって、C=処分権主義となります。
 
訴訟を開始するためには、まず、原告が訴状を提出します。
 
その訴状を裁判官が審査し、必要な事項の記載の不備などがないか確認します。
 
記載不備があれば、補正命令をし、それでも補正しない場合は、訴状却下命令が出されます(137条)。
 
行政不服審査法でも勉強した、不服申立書の形式審査と同様のものです(9条21条)。
 
訴状が提出されると、被告に訴状が送達されます。
 
これにより、原告・被告の二当事者対立構造となって訴訟係属という状態になります。
 
次に、今まで勉強してきた訴訟要件についての審査をします。
 
処分性、原告適格、狭義の訴えの利益、その他の訴訟要件として被告適格、裁判管轄、出訴期間などがあります、訴訟要件を欠いていることが判明した場合、本案の審理についての結論を出さずに、訴え却下判決がなされます。
 
よって、A=却下判決となります。
 
訴訟要件が満たされていれば、本案(実体)審理がなされます。
 
審理においては、原則として、当事者が自ら積極的に事実と証拠を収集して、主張・立証をします。
  これを弁論主義といいます。
 
これも当事者の主導でなされるので、当事者主義といわれることもあります。
 
ですから、原則として、当事者が申し立てない主張や提出しない証拠について裁判所や審査庁が職権で調べたりしません。
 
当事者同士がそれでよければ、裁判所は介入しないのです。
 
よって、D=弁論主義となります。
 
民事訴訟では、当事者のみにしか判決効が及ばないのに対して(相対効)、行政事件訴訟における取消訴訟の判決には対世効があり第三者にも影響を及ぼすことから公共性が強く職権主義的要素も多く加味されています。
 
ですから、職権証拠調べもすることができます(行訴法第24条)
 
これを職権主義といいます。
 
なお、行政不服審査法では職権主義が原則となっています。
 
ただし、審査庁の恣意的判断を回避するため、当事者主義的要素も加味されています。
 
よって、E=職権主義となります。
 
また、行政訴訟の審理の充実・促進の観点から、裁判所が必要あると認めるときは、一方当事者である行政庁に対して処分の理由を明らかにする資料を提出させる制度が、16年改正で新たに導入されました。
 
これを釈明処分の特則といいます(23条の2)。
 
取消訴訟だけでなく、無効確認訴訟(38条3項)、争点訴訟(45条4項)などにも準用されています。
 
よって、F=釈明処分の特則となります。
 
このように、原則として事実と証拠は当事者が収集・提出して、裁判所がそれらの証拠から事実を認定していきます。
 
もっとも、事実を認定する機関が裁判所以外の場合もあります。
 
独立性・中立性の高い行政委員会が、準司法的手続に従って、争訟の裁定など特定の処分をする手続を総称して行政審判と呼びます。
 
よって、G=行政審判となります。
 
この行政審判においては、独立行政委員会が事実を認定し、審決などの紛争解決のための結論をだします。
 
そして、認定した事実は一定の場合に裁判所を拘束するという実質的証拠の法則があります。
 
よって、H=実質的証拠の法則となります。
 
実質的証拠法則が、絶対的に裁判所を拘束するとしたら、司法権の独立(憲法76条1項)に反しないのでしょうか。
 
司法権、つまり裁判所での裁判では、証拠によって事実を認定し、その事実を法律に照らし合わせて事件を解決していきます。
 
このように司法権の役割には、法律を解釈・適用するという役割の他に、事実を認定していくという役割があるのです。
 
ですから、公正取引委員会のような独立行政委員会の認定した事実に裁判所が拘束されるということは、裁判所の事実認定権を奪うことになって、司法権の独立、つまり三権分立に反するのではないかという問題が生じてくるのです。
 
また、裁判所の事実認定権を奪うことは、行政機関による終審裁判の禁止(憲法76条2項)にも反するのではないかという問題も生じてきます。
 
公正取引委員会のような独立行政委員会で扱う事件というのは、非常に専門的技術的な事項であります。
 
ですから、専門的技術的な事項について素人である裁判所で事実認定をするよりも、むしろ専門的知見のある独立行政委員会で事実認定をしたほうがより公平かつ適切な場面もあります。
 
また、独立行政委員会も行政ですから、裁判手続きよりも迅速な手続きが期待できます。
 
そのため、独立行政委員会の認定した事実について、その事実を立証するだけの実質的な証拠がある場合は、独立行政委員会の判断を尊重して、裁判所を拘束したほうがより事件解決にとって、公平かつ迅速であるという側面があるのです。
 
ですから、実質的証拠の法則が認められる必要があるのです。
 
もっとも、事実を立証するだけの実質的な証拠があると独立行政委員会が認定したからといって、ただちに絶対的に裁判所を拘束するとすればやはり裁判所の事実認定権を奪うことになるでしょう。
 
しかし、それが実質的な証拠かどうかの判断を裁判所が改めてするのであれば、裁判所の事実認定権を奪うことにはならないはずです。
 
もし、裁判所が実質的な証拠とはいえないと判断すれば、独立行政委員会の審決を取り消すこともできるのですから、絶対的に拘束されるわけではないのです。
 
また、行政機関による終審裁判の禁止(憲法76条2項)との関係では、逆にいうと、行政も終審ではなく前審としてならば裁判できるわけですから、最終的な判断が裁判所に委ねられているならば、これにも反することにはならないですね。
 
ですから、実質的証拠の法則が許容できるのです。
 
このように、専門的な事件は行政で迅速に処理し、最終判断は裁判所に任せるという役割分担があるため、実質的証拠の法則が認められるのです。
 
事実認定が終了すれば、裁判所は判決を下します。
 
請求に理由があれば請求認容判決、請求に理由がなければ請求棄却判決がなされます。
 
よって、I=棄却判決となります
 
このように、行政行為が違法と判断された場合、請求が認容されて、取消されるのが原則です。
 
しかし、取消によって、公の利益に著しい障害を生ずる場合、例外的に請求棄却することができるのです。
 
このような判決を事情判決といいます。
 
よって、J=事情判決となります。
 
この場合、裁判所は違法を判決主文で宣言します。
 
このような事情判決が出た場合でも、これは公の利益を優先するための例外ですので、通常の訴訟と同じように、判決の主文に既判力が生じます。
 
つまり、同一の証拠に基づく、同一の理由による新たな訴えの提起をしても、紛争の蒸し返しになるので、拒絶されてしまいます。
 
このように後訴においても通有する、拒絶される力を既判力といいます。
 
一度争った以上、同じことを何度もやることは、当事者の紛争解決に資することがないからです。
 
よって、K=既判力となります。
 
取消判決がなされると、当該処分は、処分時に遡及して効力を失い、はじめから当該処分がなされなかったのと同じ状態になるが、このような取消判決の力を形成力といいます。
 
そして、判決の効果は当事者間にとどまらず、第三者にも及び、このような効力を対世効(第三者効)といいます(32条)。
 
よって、L=形成力、M=対世効となります。
 
取消訴訟において、裁判所の判断に対して、行政庁は従わなければなりません。
 
憲法76条2項にあるように、行政機関は、終審として裁判を行うことができませんから、紛争解決の最終判断権者は裁判所なのです。
 
ですから、判決の主文だけでなく判決理由中の判断についても、被告たる行政庁および関係行政庁は拘束されます。
 
このような力を拘束力といいます。
 
通常の取消訴訟では、違法であれば、請求認容判決がでますから、行政庁はその判決に拘束され、改めて申請に対する処分または審査請求に対する裁決をしなければなりません。
 
よって、N=拘束力となります(33条)。
 
この拘束力は、他の抗告訴訟にも準用されます(38条)。
 
なお、請求認容判決がでても、別の理由から同一内容の行政処分をすることは妨げられません。
 
拘束力の及ばない範囲であれば、再度取消処分をすることができるのです。
 
以上のように、訴えの開始、審理、判決までの手続の流れと判決の効力などを押えておきましょう。
 
 今回はこの辺りで終わります。

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不作為の違法確認訴訟  行政書士試験

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(解説)
 
関連問題1を解きながら、平成20年度問題16も一緒に解いていくことにします。
 
関連問題1肢1および2
 
これらの問題は条文にある不作為の違法確認訴訟の定義を押さえていれば解けます。
 
不作為の違法確認訴訟とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分または裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条5項)。
 
いわば、して欲しいのに何もしてくれないという行政庁の不作為についての法令違反の確認を求める訴訟です。
 
ですから、不作為が継続している限り、その不作為の違法を確認することができますので、出訴期間に制限はありません。
 
これに対して、取消訴訟というのは、いわば、して欲しくない処分をした行政庁の作為についての取消を求める訴訟です。
 
そして、取消訴訟では、取消されるまで処分が有効であるという公定力を覆すものなので、法的安定性の見地から出訴期間は、処分があったのを知った日から6箇月となっています。
 
このように、取消訴訟と不作為の違法確認訴訟は、行政庁の作為と不作為という表裏の関係にあるのです。
 
よって、関連問題1肢1は誤りです。
 
また、この定義からすると、不作為違法確認訴訟は、法令に基づく申請についてのみ認められるのであって、規制権限の不行使についても認められるわけではありません。
 
それゆえ、隣地の建築物が違法であっても、法令に基づく申請権を行使していないXが、当該訴訟をできるわけがないのです。
 
したがって、不作為の違法確認訴訟の対象も、申請を前提としない規制権限の不行使にまで拡大されたわけではありません。
 
よって、関連問題1肢2および平成20年度問題16肢4は誤りです。
 
関連問題1肢3
 
 
次に、不作為の違法確認訴訟と2号義務付け訴訟との関係を説明します。
 
上記のとおり、不作為の違法確認訴訟は、文字通り、裁判所によって、行政庁の不作為についての違法性を確認してもらうものですが、違法性を確認したところで、行政庁に処分を命じることまではできません。
 
ある意味、裁判所が行政権に介入するものなので、三権分立の観点から慎重に考えられていたのです。
 
行政庁が重い腰をあげて、裁判所が違法だというなら対応しましょうと何らかの対応をすぐにしてくれればいいのですが、行政庁が、我々も多忙でなかなかすぐにはできないので、もう少し待ってくださいとまた先延ばしにされ、長期間待たされる可能性もあるのです。
 
これでは、今までの不作為の違法性を確認したところで、早急に対応してもらいたい申請者にとって非常に困ることです。
 
また、三権分立も国民の権利自由を保障するための手段に過ぎないので、国民の権利自由の保障を重視するならば、義務付け訴訟を認めてもよいと考え方が変わっていったのです。
 
そこで、16年改正によって、義務付け訴訟が明文化されたのです(3条6項2号 37条の2)。
 
つまり、不作為の違法を確認すると同時に、行政庁にすぐに対応しなさいと義務付けることができるようになったのです。
 
この義務付け訴訟には2種類あって、不作為の違法確認訴訟と同時に提起できるのは、2号義務付け訴訟といわれています(3条6項2号)。
 
そして、この2号義務付け訴訟は単独ではできません。
 
なぜなら、行政庁の不作為の違法性をまず確認しなければ、行政庁にすぐに対応しなさいと義務付けることができないからです。
 
いわば、放置していることが悪いと言われて初めて、早くやってあげなさいと行政庁のお尻を叩けるのであって、放置していることが悪いかどうかわからない段階では、そうはいえません。
 
ですから、2号義務付け訴訟は不作為の違法確認訴訟と同時に提起しなければならないのです。
 
逆に、処分によっては、義務付けをすべきかどうか裁判所がその判断に迷う場合もありますので、とりあえず不作為の違法確認訴訟の結論を先に出して、早期に紛争の解決をしておくという場合もあります。
 
ですから、不作為の違法確認訴訟は単独で提起できるのです。
 
そうすると、いわば2号義務付け訴訟は不作為の違法確認訴訟に付き従うようなものですから、両者には主・従の関係があるといえるのです。
 
民法で出て来た主物・従物の関係や担保物権の付従性によく似ていますね。
 
ですから、不作為違法確認訴訟または義務付け訴訟のいずれかを選択して提起することはできないのです。
 
よって、関連問題1肢3は誤りです。
 
そして、不作為の違法確認訴訟は単独で提起できるので、平成20年度問題16肢2は誤りです。
 
この関連問題1および定義などの知識から他の肢も解けますので、残りの問題を解きましょう。
 
平成20年度問題16肢3は簡単ですね。
 
不作為の違法確認訴訟は抗告訴訟の一種です。よって、誤りです。
 
また、定義からも分かるとおり、申請して何らかの行為を放置されている者が訴訟を提起することができます。
 
ですから、不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができると規定されているのです(37条)。
 
よって、平成20年度問題16肢1は誤りです。
 
これで消去法から、肢5が正解となります。
 
最後に問題16肢5をみていきましょう。
 
上記の通り、不作為が継続している限り、その不作為の違法を確認することができますので、出訴期間に制限はありません。
 
それゆえ、肢5の前半部分は正しいです。
 
では、訴訟係属中に、行政庁が何らかの処分を行った場合、当該訴訟は訴えの利益がなくなり却下されるのでしょうか。
 
これは、訴訟における審理対象(=訴訟物)の判断の基準時にかかわる問題です。
 
判断の基準時については、行政事件訴訟法では定めがありません。
  
ですから、この場合、民事訴訟の例によります(行政事件訴訟法7条)。
 
では、民事訴訟法において判断の基準時はどうなっているのでしょうか。
 
これは、原則として判決時、つまり事実審の口頭弁論終結時で判断されます。
 
例えば、債権者Aが債務者Bに対して100万円の貸金債権を有する場合、すでに履行期が到来し履行遅滞となっているため、その100万円について貸金返還請求訴訟を提起したとしましょう。
 
裁判の途中、つまり事実審の口頭弁論終結前に、BがAに100万円を弁済して、弁済した旨の抗弁を主張した場合、AのBに対する債権が事実審の口頭弁論終結時においてゼロになるので、裁判所は請求棄却判決を言い渡します。
 
つまり、訴訟提起時においては、AがBに対して100万円の貸金債権を有していても、判決前、つまり事実審の口頭弁論終結前までに、Bが弁済等をした場合は、AのBに対する債権は事実審の口頭弁論終結時において消滅します。
 
民事訴訟では、事実審の口頭弁論終結時で貸金債権、つまり訴訟物の有無を判断するため、AのBに対する債権は消滅したことになり、Aの請求に理由がないとして裁判所は請求棄却判決を言い渡すのです。
 
このように、民事訴訟法においては、原則として判決時、つまり事実審の口頭弁論終結時で判断されます。
 
これが判断の基準時の原則なのでしっかり押さえましょう。
 
この原則を行政事件訴訟法7条により、行政事件訴訟法の抗告訴訟にあてはめてみると、判断の基準時は、民事訴訟の例、すなわち原則として判決時、つまり事実審の口頭弁論終結時で判断されるのです。
 
例えば、問題16肢5の不作為の違法確認訴訟については、事実審の口頭弁論終結前までに行政庁が何らかの処分等をすれば、もはや不作為は解消されるので不作為の違法確認をする必要がなくなります。
 
この場合、不作為の解消により、審理すべき対象もなくなるので、訴えの利益がないとして訴えが却下されます。
 
よって、肢5は正しいのです。
 
なお、同様に事実審の口頭弁論終結前までに行政庁が何らかの処分等をすれば、行政庁の処分を命じる義務付け訴訟をする必要がなくなります。
 
さらに、差止訴訟についても、事実審の口頭弁論終結前までに行政庁が処分等をするのを止めてしまえば、判決で差止する必要がなくなります。
 
無効確認訴訟は、訴訟を提起するまでもなく、当初から無効であるものを確認するだけであり、後述する取消訴訟と異なり、原則として途中で有効となることはないものが審理対象となるのです。
 
それゆえ、原則どおり判決時となるのです。
 
このように、これらの抗告訴訟については、民事訴訟法と同様に、原則として判決時、つまり事実審の口頭弁論終結時で判断されるのです。
 
これに対して、取消訴訟の場合は、どうでしょう。
 
例えば、処分時では違法であった行政処分が、事実審の口頭弁論終結前までに法律の改正により適法となった場合、どうなるでしょうか。
 
原則通り、判決時であれば、行政処分は適法となるので、取消訴訟は理由がなくなり、請求棄却判決となります。
 
しかし、行政法秩序の第一次的形成権は行政権に専属し、裁判所は処分の適法性を事後的に審理するにとどまると解されています。
 
つまり、三権分立の下、裁判所は、行政の判断にあまり介入すべきではないということです。
 
取消訴訟の効果からみても、裁判所は、違法と判断した処分を取り消すだけであり、取消判決を受けて、新たな行政処分をするのはあくまでも行政庁の判断でなされるのです。
 
ですから、事実審の口頭弁論終結前までに法律の改正により適法となった場合であっても、これに対して裁判所が適法と判断するのは、消極的に裁判所が行政処分をしているのと同じことになってしまうのです。
 
これは、具体的な事件がないのに、ある法律に対して違憲判決を出すことは消極的な立法をすることとなり立法権の侵害になるのと同じ理屈です。
 
また、原告としても当初の処分時における違法性を争っているので、その原告の意思を尊重すべきなのです。
 
ですから、取消訴訟の場合は、処分時で違法性を判断すると解されているのです。
 
このように、まず行政事件訴訟法の一般法である民事訴訟法から判断基準の原則を考え、取消訴訟の特徴から三権分立によって、その原則が修正されると押さえましょう。
 
抗告訴訟では、原則として、判断の基準時は、判決時、つまり事実審の口頭弁論終結時であって、取消訴訟の特徴から例外として、判断の基準時が、処分時となるのです。
 
取消訴訟と比較して押えておきましょう。
 
以上より、関連問題1はすべて誤りであり、問題16肢5は、5が正しく、正解肢となります。
 
なお、不作為に対する異議申立てや審査請求との違いも押えておきましょう。
 
不作為の違法確認訴訟と不作為に対する不服申立ても、国民による適法な申請に対する行政庁の握りつぶしを防止するという趣旨は共通しています。
 
ですから、訴訟主体も不服申立主体も、申請をした者に限定され、出訴期間に制限はない点で共通しています。
 
また、客体も、不作為の違法確認訴訟には、行政庁の処分または裁決の不作為と、「裁決の不作為」は含まれている点で異なりますが、後は不作為に対する不服申立てと客体は処分の不作為に対するものであって同じです。
 
ただし、不作為に対する不服申立てに対して、認容決定・裁決が出た場合、不作為の違法確認訴訟と異なります。
 
不作為に対する異議申立ての場合、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあつた日の翌日から起算して二十日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならないと規定されています(50条2項)。
 
不作為に対する審査請求の場合、不作為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言すると規定されています(51条3項)。
 
このように、不作為に対する不服申立てに対して、認容決定・裁決が出た場合、原則として、不作為庁が申請に対するなんらかの行為をしなければなりません。
 
これは、行政庁の判断なので、裁判所のように三権分立のような問題が生じないからです。
 
これに対して、不作為の違法確認訴訟では、上記の通り、違法を確認するだけで、行政庁になんらかの行為を命じることはできません。
 
ですから、2号義務付け訴訟と併合提起して、行政庁になんらかの行為を命じることができるようにしているのです。
 
2号義務付け訴訟と併合提起により、不作為に対する不服申立ての場合と結論が同じようになるのです。
 
このような不作為の不服申立てとの共通点および相違点を押えておきましょう。
 



不作為の違法確認訴訟



今回はこの辺りで終わります。
 
以上
 
 
 

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執行停止  行政書士試験

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(解説)


問題1
 
不服申立てがなされた場合、処分の効力のみならず、処分の執行または手続きの続行は原則として、妨げられませんから、停止されないですね。
 
これを、執行不停止の原則といいます。
 
行政行為などの処分等には、公定力があり、取消されるまでは有効ですし、行政庁には、円滑・迅速に行政サービスを国民に提供するという役割もあります。
 
ですから、審査請求などがされたとしても、処分等が違法で取消されることが明確になるまでは、処分の効力、処分の執行または手続きの続行は原則として、妨げられないのです。
 
「審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。(34条1項)」
 
このような基本的理解があれば、本問も簡単に正解できたのではないでしょうか。
 
後は、数え間違いなどのケアレスミスにだけ注意すればいいのです。
 
Aに入るものは、(参考)として出されている、国税通則法105条1項の最初の2行を読めば行審法34条1項と同じことが書かれていますからヒントになるでしょう。
 
A=執行不停止の原則ですね。
 
ア:「私人の権利利益救済の観点」
 
私人にとってみれば、処分の執行が停止されれば、自己の権利利益を害されることはないですね。ですから、アには、執行停止が入ります。
 
イ:「公益を重視する観点」
 
公益を重視すれば、処分の執行が継続されるべきですね。
 
イには、執行不停止が入ります。
 
ウ~カまでは文脈から同じ語句が入ることがわかります。
 
ただ、それが職権で可能なのか、それとも審査請求人の申立てによるのかということです。
 
原則は、執行不停止であり、「審査請求人の申立て」からも分かるとおり、これらウ~カには、全て「執行停止」が入ります。
 
キ:国税通則法105条1項の原則(本文)と例外(但書)
 
「[キ]原則に修正」とあるので「執行不停止」が入ります。
 
よって、Aと同じものが入るのは、イとキの2つですね。
 
問題2
 
<肢1>
 
この問題のポイントは、「~平成16年の法改正により、「回復困難な損害」で足りることとされた。」の部分です。
 
「回復困難な損害」がなければ執行停止されないなら、回復困難な損害というのはめったにあることではないので、事実上執行停止は絵に描いた餅で執行不停止の原則が貫かれてしまうことになります。
 
これでは、国民の権利・自由を不当に不利益にさえることとなり、個人の人権保障の観点から妥当でありません。
 
そこで、平成16年の行政事件訴訟法改正により「重大な損害」で足りるとされました。
 
これに伴い、行政不服審査法でも「重大な損害」となりました。
 
申立人の権利利益の救済の幅を広げて、要件を緩和したのです。
 
要するに日本では年々人権意識が高まってきているので、個人の人権保障を守る方向で考えれば、正解できますね。
 
そもそも「重大な損害」より程度が大きい「回復困難な損害」で足りるという日本語もおかしいですから、簡単な肢だと思います。
 
よって、肢1は誤りです。
 
<肢5>
 
この問題のポイントは、「処分庁の上級庁である審査庁は、~職権により執行停止をすることは許されない。」の部分です。
 
問題1の問題文にも出てきましたが、処分庁の上級行政庁である審査庁は、処分庁に対して一般的指揮監督権を有するから、職権に基づく執行停止も一般的指揮権の発動として正当化されるのです。
 
これに対して、行政事件訴訟法の執行停止については、裁判所は処分庁の監督機関ではなく、処分庁に対して一般的指揮監督権を有するわけではありません。
 
裁判所はあくまでも第三者的立場で公平かつ客観的に判断するので職権で執行停止をすることはできないのです。
 
できるとすると、裁判所が行政権に介入することになるので三権分立に反することにもなるのです。
 
この違いを押さえておいてください。
 
よって、肢5は誤りです。
 
なお、裁判所による執行停止は、あくまでも裁判所の判断に基づくもので義務的に執行停止することはありません(25条2項)。
 
<肢2>
 
この問題のポイントは、「審査庁は、「本案について理由がないとみえるとき」には、執行停止をしない~」の部分です。
 
肢1で見たとおり、個人の人権保障の観点から、重大な損害を避けるために緊急の必要がある場合は、審査庁には執行の停止義務があります。
 
しかし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき又は本案について理由がないとみえるとき、さらに例外的に執行停止の必要はないのです(34条4項)。
 
この点は、憲法における 人権 VS 公共の福祉 の関係に似ていますね。
 
審査庁が本案について理由がないとみえるならば、請求が棄却されることになりますから(40条2項)、執行停止する必要がないですね。
 
よって、肢2は正しいです。
 
<肢3>
 
「仮の義務付け」と「仮の差止め」は行政事件訴訟法の話です。
 
よって、誤りです。
 
なお、「仮の差止め」は執行停止と似ているので簡潔に説明しておきます。
 
まず、仮差止訴訟をするためには、行政庁の処分前に、処分をしないように差止め訴訟を提起しなければなりません。
 
しかし、その場合判決が出るまでは、その処分が出るのを止められないですから、その訴訟の係属中、判決が出るまでに処分が出るのを止めさせたい場合に、仮に差止めをすることができます。
 
これを仮差止訴訟といいます。
 
これに対して、執行停止というのは、処分後に取消訴訟を提起した場合、執行不停止の原則(25条1項)から、処分の執行は進んでいきますから、その進行を止めるために訴訟の継続中に申立てをして認められれば、その執行が停止されるものです。(25条2項)。
 
そして、執行停止は、処分の執行という作為を止めさせるものであります。つまり、これは、事後的な仮差止訴訟と同じなのです。
 
ですから、仮差止訴訟と執行停止の関係は事前と事後の関係なのです。
 
このように、仮差止訴訟・執行停止が事前・事後に処分という作為を止めさせるものであり、両者の関係は、「止めさせる」という点で共通するので、同様の機能を有します。
 
この同様の機能から、執行停止に対して、内閣総理大臣の異議ができるように、仮差止・仮義務付けに対しても、内閣総理大臣の異議ができ、準用されているのです(38条3項)。
 
内閣総理大臣の異議については次の問題でみていきましょう。
 
<肢4>
 
内閣総理大臣の異議は、裁判所の判断に待ったをするものなので行政事件訴訟法の話です。
 
よって、肢4も誤りです。
 
ここで、内閣総理大臣の異議(27条)について少し説明いたします。
 
仮義務付け・仮差止訴訟および執行停止は裁判所が行い、それに対する異議は内閣総理大臣が行いますから、裁判所 VS 内閣総理大臣 という三権分立の抑制と均衡のバランスが関係してくるのです。
 
まず、行政庁による処分・不処分によって、国民の権利・自由が害されるので、それに対して取消訴訟などが提起されます。
 
そして、訴訟の中で、要件を満たせば仮差止訴訟または執行停止を裁判所が判断するのです。
 
この裁判所の判断に対して、行政のトップである内閣総理大臣が待ったをかけるのが異議なのです。
 
それゆえ、この異議の制度は、国民の自由・権利を守る最後の砦である裁判所の独立(司法権の独立)に反するのではないかという問題があるのです。
 
確かに、裁判所の判断に対して行政のトップである内閣総理大臣が異議をとなえ、その判断を覆すのは裁判所の判断に介入することになるので司法権の独立に反するとも思われます。
 
しかし、異議が出来るのは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情があるときに限られます(27条3項)。しかも理由を付さなければなりません(27条2項)。
 
そして、こうした公共の福祉に重大な影響を及ぼす事情があるかどうかの判断は政治的な判断であって、行政のトップである内閣総理大臣の役割なのです。
 
執行停止等をすれば、公共の福祉に重大な影響を及ぼす事情があるならば、執行停止しない方がむしろ国民全体の利益となるのです。
 
それに公共の福祉に重大な影響を及ぼす事情があるときは、25条4項より、そもそも裁判所も執行停止することができないので、裁判所に対する干渉の度合いは高くありません。
 
したがって、内閣総理大臣の異議は三権分立に反しないといえるのです。
 
以上の説明から、仮差止に対しても、執行停止と同様の機能を有するから、内閣総理大臣の異議ができ、準用されているのです(38条3項)。
 
マインドマップで執行停止について行政不服審査法と行政事件訴訟法について整理してありますので、参照してみてください。

執行停止
 
教示制度も執行停止についても行政不服審査法と行政事件訴訟法とを比較して押さえる方が効率的ですので参考にしてみてください。


 
今回はこのあたりで終わります。

テーマ:行政書士と法律資格 - ジャンル:学校・教育

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