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94条2項類推 無権代理と他人物売買(14) 行政書士試験

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登録されていない方は、以下のまぐまぐの質問をご覧になってください。
http://archive.mag2.com/0000260438/20080624113000000.html
 
 
 
 
<1>
 
 
 
本問は、H8問題27の肢2です。
 
 
リンク先に過去問がないのでお持ちの過去問集などで確認してください。
 
 
問題の内容は典型的な虚偽表示(94条2項)に関するものですから、簡単ですね。
 
 
しかし、この虚偽表示の規定は、民法の他の分野に応用できる重要なものであるので、この基本をしっかり理解することがとても大事です。
 
 
 
まず、虚偽表示とは、相手方と通じて真意でない意思表示を行うことをいい、本問のAとBが真意ではないのに土地の売買契約をしているかのように装うことがこれにあたります。
 
 
 
契約は、申込みと承諾の合致で成立するので、虚偽表示による売買でも形式的には売買契約が成立しているかのようにみえます。
 
 
 
しかし、心裡留保と異なり、当事者双方にとって真意ではないですから、契約の効力を生じさせても意味がないので無効となるのです。
 
 
 
では、本問のようにAとBの虚偽売買について善意の第三者Cが関与してきた場合はどうなるでしょうか。
 
 
 
ご存知のように、94条2項によってCは保護されますね。
 
 
 
なぜでしょうか? 94条2項で規定されているからというのでは、この問題しか解けません。
 
 
なぜ、94条2項で規定されているのか、その趣旨を理解していることが重要です。
 
 
といっても、難しいことではありません。
 
 
民法の公平を図るという大原則に戻って考えればいいのです。
 
 
 
AB間の売買契約は無効ですから、土地の所有権は依然としてにあります。
 
 
 
そうすると、Bは、自己に土地の名義=登記があることをいいことにCと売買していますから、本来的には他人物売買になりますね。
 
 
 
即時取得の場合は前主の占有に公信力がありますが、登記には公信力がないので、CがB名義の登記を信頼しても保護されないように思われます。
 
 
 
しかし、単なる他人物売買とは異なり、真の所有者であるAが虚偽の登記の作出に積極的に関与していますね。
 
 
 
このようなAに対して、Cはそのことを知らずにBと売買契約を締結した者です。
 
 
 
民法の公平のバランスを考えてみれば、善意であるCを保護すべきですし、保護しなければ不動産の取引の安全が図れません。
 
 
ですから、94条2項で善意の第三者が保護されているのです。
 
 
 
では、なぜ無過失の要件は課されていないのでしょう?
 
 
それは、虚偽の登記の作出に積極的に関与している真の権利者の帰責性大きいからです。
 
 
 
また、不動産の場合は、登記という公示がありますから、法的には公信力がなくても、それに対する事実上の信頼は保護すべきですし、登記簿からAとBの取引が虚偽かどうか調査するのは容易ではありませんね。
 
 
 
このような調査義務を第三者に課して、この義務を怠ったから保護されないというのでは、
不動産の取引秩序が保たれません。
 
 
 
平たく言うと、登記によって対抗要件を認めた趣旨を没却するばかりでなく、登記簿は単なる情報書面になりかねないことになります。
 
 
 
このように、虚偽の登記の作出に積極的に関与している真の権利者の帰責性が大きいのに、第三者に調査義務を課して無過失まで要求するのは公平とはいえないですね。
 
 
 
ですから、無過失の要件は課されないのです。
 
 
 
このように、民法の公平を図るという大原則から、虚偽の外観を作出した帰責性の大きい真の権利者よりも善意の第三者を保護するために、94条2項が規定されているのです。
 
 
これが、94条2項の趣旨です。
 
 
よって、本問はもちろん誤りですね。
 
 
 
 
 
<2>
 
 
(1)も(2)も94条2項類推適用、つまり表見法理ないし権利外観法理の問題です。
 
 
(1)は、H11問題28の肢1です。
 
(2)は、H19問題27の肢5です。
 
 
 
過去問がない方は、下記のリンク先をご覧になってください。
 
H11問題28
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/113mondai.html
 
H19問題27
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/193mondai.html
 
 
 
 
<3>の(1)もあわせてみていくことにします。
 
 
 
<1>の問題と<2>の問題とでは、どこが異なるでしょうか。
 
 
 
<1>では、AとBが通謀しています。
 
 
 
これに対して、<2>では、AとBが通謀していません。
 
 
(1)の問題文をみると「Bの承諾なくして」とありますね。
 
(2)の問題文には、少なくとも「AとBが通じて」という文言がありませんね。
 
 
 
つまり、通謀の有無が異なるのです。
 
 
ですから、94条2項の適用ではなく、「類推」適用なのです。
 
 
 
そして、類推適用ということからわかるように、94条2項の趣旨が共通しているのです。
 
 
 
つまり、<2>の両方とも、通謀の事実はなくても、真の権利者が虚偽の外観を積極的に作出している点では共通しているのです。
 
 
 
ですから、民法の公平を図るという大原則から、虚偽の外観を作出した帰責性の大きい真の権利者よりも善意の第三者を保護するという94条2項の趣旨が妥当するのです。
 
 
 
この趣旨を、より抽象化した法理を表見法理ないし権利外観法理といいます。
 
 
 
表見法理ないし権利外観法理が成立する要件は以下のようになります。
 
 
① 虚偽の外観の存在
② 外観を作出した真の権利者の帰責性
③ 第三者の正当な信頼
 
 
 
どこかで見たことありませんか?
 
 
 
そう、表見代理の要件とも類似していますね。
 
 
表見代理も権利外観法理を基礎としているのです。
 
 
これについては、また次回以降のまとめで解説していきます。
 
 
 
 
さて、94条2項の場合は、動産でも不動産でも対象となるのに対し、この94条2項類推適用が問題となる場面は、対象が不動産の場合に限られます。
 
 
 
なぜでしょうか? 
 
 
ここで、<3>の(2)もあわせてみておきます。
 
 
 
94条2項は、通謀の事実が要件となっているのに対し、即時取得では、通謀がなくても、占有を信頼して取引すれば保護されます。
 
 
 
つまり、通謀がある場合、対象が動産でも不動産でも、第三者が善意であれば94条2項が適用されるのに対して、通謀がない場合、動産の場合は、第三者が善意・無過失であれば即時取得で保護されるということです。
 
 
 
そして、94条2項類推適用の場合も、通謀がない場面ですから、動産が即時取得で保護される以上、残った対象は不動産しかありませんね。
 
 
 
ですから、94条2項類推適用の場面では、その対象が不動産に限られるのです。
 
        
 
つまり、他人物売買を前提として、94条2項類推適用と即時取得とでは、通謀の事実が要件にないことが共通し、対象が動産か不動産か、そして第三者の主観的要件の点で異なるのです。
 
 
 
 
 
 
         通謀有り       通謀なし
     
 
動産     94条2項      即時取得(善意・無過失)
 
 
不動産     94条2項      94条2項類推適用
 
 
 
 
試験との関係では、第三者の主観的要件に注意して、上記のように憶えておけばよいでしょう。
 
 
 
ここまで理解した上で、<2>に戻りましょう。
 
 
(2)の正解は、もうわかりますね。
 
 
虚偽の外観を作出した所有権者Bは、善意のCに対抗できません。
 
 
よって、(2)は正しいです。
 
 
 
 
(1)
 
Cは悪意ですから保護されませんが、転得者であるDは善意ですから94条2項類推適用の要件を満たしますね。
 
 
不動産取引も転々流通するわけですから、このような善意の転得者にも類推適用されるのです。
 
 
よって、(1)は、正しいのです。
 
 
 
 
 
以上から、94条2項の趣旨を理解していると、94条2項類推適用や即時取得との関係も合わせて理解できるので参考にしてみてください。
 
 
 
今回はこのあたりでおわります。





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過去問の応用 無権代理と他人物売買(13) 行政書士試験

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過去問がない方は、下記のリンク先をご覧になってください。
 
H19問題28
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/193mondai.html
 
 
 
<1>
 
(1)  
 
 
本問は、H19問題27の肢2です。
 
 
 
今まで解説してきたように、他人物売買は、その契約自体は債権的に有効ですが、売買の相手方に所有権は移転しないのが原則でしたね。
 
 
つまり、物権の変動までは生じないということです。
 
 
 
もっとも、売主がその他人である真の権利者から所有権を取得するか、真の権利者が追認すれば、第三者に所有権が移転します。
 
 
 
この場合の所有権の移転という意味は、通常の売買と同じように売主あるいは真の権利者から引き継がれて承継取得するという意味です。
 
 
 
本問の場合、AがB所有の土地をCに売却しただけであって、売主がその他人である真の権利者から所有権を取得したり、真の権利者が追認したりなどというような事情はないので、原則どおり承継取得はしません。
 
 
 
しかし、Cは、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然とBの土地を占有継続していますね。
 
 
 
この場合、悪意または有過失であっても、Cは土地の所有権を時効取得します。
 
 
時効制度には、事実状態の尊重、権利の上に眠る債権者を保護しないという意義があるからです。
 
 
◆ なお、民法162条1項には、「悪意または有過失」とは記載されていませんが、同条2項に、「善意かつ過失がなかったとき」には10年で時効取得できることから、20年の占有継続の場合は、悪意または有過失であっても、時効取得できるとわかりますね。
 
 
 
ですから、この問題は正しいですね。
 
 
 
そして、この時効による所有権の取得は、承継取得ではなく原始取得です。
 
 
 
つまり、起算日となる占有開始当初に遡って、この土地はCの所有物ということになるのです(144条)。
 
 
 
この問題自体は、基本的な取得時効の問題ですから、簡単に正誤が判断できるでしょうが、他人物売買の問題の中で聞かれると、意外と迷ってしまうかもしれません。
 
 
 
それは、承継取得と原始取得の区別を明確に意識していないからなのです。
 
 
 
他人物売買で承継取得できなくても一定の要件を満たせば時効によって原始取得できるということは意識しておいてください。
 
 
 
そして、すでに解説した即時取得も同じく原始取得であるということも再度確認しておいてください。
 
 
 
このように、他人物売買の問題では、承継取得(=売買)の話と原始取得(=時効や即時取得)の話がミックスして登場してきますから、混乱しないように気をつけてください。
 
 
 
 
(2)
 
 
本問は、H17問題25の肢3です。
 
 
このような問題は、時効と登記の分野でよく出題されていますが、(1)とどこが違うでしょうか。
 
 
 
(1)はあくまでも他人の物であるのに対して、この問題は、真の権利者Aから売買によって取得しているので「自己の所有物」であるのです。
 
 
 
162条には「他人の物」と書かれていますが、二重譲渡の場合、自己の物であっても時効取得する場合があるということを押さえておいてください。
 
 
 
つまり、二重譲渡の場合は、登記によって画一的に処理されますから、売買時には自己物であっても、結果的に他人の物になりうるからなのです。
 
 
 
この(1)と(2)の違いはしっかりと押さえておいてください。
 
 
 
この問題自体は、時効完成前の譲渡ですから、当事者の問題として対抗関係にはなりませんから、誤りですね。
 
 
 
この問題については、すでに解説してあるので以下の解説記事を参考にしてみてください。
http://sakuradarimuseo07.blog110.fc2.com/blog-entry-135.html
 
 
 
 
 
<2>
 
 
H19問題28
 
 
 
 
法令科目としては、今までにはあまりなかったタイプの出題ですね。
 
 
しかし、一般知識問題では、H18問題58のような筆者の見解内容との合致を問う問題が出題されていますから、これに類似したタイプなので、それほど驚くほどのものではないですね。
 
 
参考までにH18問題58
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/188mondai.html
 
 
 
重要なことは、この問題を皆さんはどう解いたのかということです。
 
 
 
もちろん、A説が実体法説、B説が訴訟法説という知識があれば、簡単に解けますが、両説の説明があるので、このような知識自体を聞いていないことがわかりますね。
 
 
 
また、A・B説の説明があり、肢は短文ですから現場で考えて何となく解いても正解できそうです。
 
 
 
しかし、何となくという感に頼るというのは、理由・根拠が重要である法令科目ではできる限り避けるべきです。
 
 
 
この問題は、一見すると現場で考えればいいだけの問題のように思えますが、実は過去問と基本的な知識が利用できる問題なのです。
 
 
 
まずは形式面からみていきましょう。
 
 
肢1、3、5は「A説と矛盾する」ものかどうかを聞いています。
 
肢2、4は「B説と矛盾する」ものかどうかを聞いています。
 
 
このような問題は、肢を上から順にみていくよりも、見解を固定した上で肢を見ていった方が読み返しがなくてすむし、混乱の防止にもなるので、どちらかの見解についての肢だけを先にみてしまうというのが一つの解き方です。
 
 
 
そして、皆さんの知っている見解の方から先に検討する方が解きやすいと思います。
 
 
 
A説自体を意識して勉強したことがなくても、A説が通説であって当然の前提として時効の分野で勉強しているはずですから、まずA説に関する肢から検討していく方が戦術として有効です。
 
 
 
 
では内容面を検討していきましょう。
 
 
 
 
 
《肢1》
 
 
一読しただけでは、矛盾しているかどうか判断できないかもしれません。
 
 
しかし、時効の援用については、H13問題29の肢4に出題されているので、この問題を解いていれば肢1の意味はわかるはずです。
 
 
過去問がない方は、下記のリンク先をご覧になってください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/133mondai.html
 
 
 
端的にいうと、時効を援用するかあるいは逆に時効の利益を放棄するかは、本人の意思に委ねられるということです。
 
 
 
例えば、10年以上前に100万円を借りた債務者がいた場合、時効が完成したのでもう支払わないとして時効を援用してもいいし、その当時の恩は一生忘れないから時間はかかったけど今から少しずつ返していきたいとして時効の利益を放棄してもいいのです。
 
 
 
ですから、時効を援用するか否かは、本人の意思が尊重されるので、H13問題29の肢4の場合、時効の利益の放棄の効果はAだけに及び、CやDには及ばないのです。
 
 
 
よって、H13問題29の肢4は誤りです。
 
 
 
この問題から時効の援用について理解していれば、肢1の「道徳に反する面」や「当事者の良心にゆだねたもの」という一見すると法律とは離れたように思える内容も、本人の意思の尊重という意味であるとわかるはずです。
 
 
 
よって、肢1はA説に矛盾しないので誤りです。
 
 
 
 
《肢3》
 
 
これは、<1>で解説したとおり、時効は原始取得であるということがわかっていれば、時効の効果は起算日に遡りますからA説に矛盾しないことがわかりますね。
 
 
よって、肢3は誤りです。
 
 
 
 
《肢5》
 
 
「時効の援用は、法定の停止条件である」と書かれていますが、この知識自体はないかもしれません。
 
 
 
しかし、「停止条件」(127条)の意味は、民法総則の条件・期限の分野で勉強したと思います。
 
 
 
この基本的な知識をA説にあてはめて考えれば簡単に答えがでます。
 
 
 
停止条件とは、例えば、行政書士試験に合格したら10万円を贈与しようという契約があった場合、合格という条件が成就すれば、契約の効果が発生して10万円をもらえるという意味です。
 
 
 
これに対して、解除条件というのは、10万円を贈与するが、行政書士試験に合格しなかったら返してもらうという契約があった場合、契約の効果は直ちに生じて10万円をもらえますが、不合格という条件が成就すれば、その契約の効果が消滅して10万円を返さなければならないという意味です。
 
 
 
 
この停止条件の意味を理解していることを前提にA説をみてみましょう。
 
 
 
「時効とは、取得時効が成立した場合には無権利者であった者に権利を取得させ」と書かれていますから、これを言い換えると、「時効とは、取得時効の成立という条件が成就すれば、無権利者であった者に権利を取得させる効果が生じるものである」という意味になりますね。
 
 
 
ですから、肢5は、A説に矛盾しません。
 
 
よって、誤りです。
 
 
 
ここまで検討して、A説に関する肢には正解がないことがわかりました。
 
 
 
後は、B説に関する肢を検討していけばいいのですから、正解率50%まできましたね。
 
 
 
《肢2》
 
 
B説の内容を読んでも、ヒントとなるのは「証明」という文言くらいしかありませんからよく意味がわからないかもしれません。
 
 
 
ところが、肢2をみると、「民事訴訟」という文言がでていますね。
 
 
これがヒントになりそうですね。
 
 
皆さんは民事訴訟法の勉強をしていませんから詳しいことは知らないと思います。
 
 
 
しかし、H18問題1の基礎法学の問題で、民事の裁判制度について勉強しているはずです。
 
参考までにH18問題1
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html
 
 
この問題自体は、裁判外の紛争処理手続の種類に関する問題ですが、冒頭の部分に民事訴訟について書かれています。
 
 
(冒頭部分のみ抜粋)
 
「紛争当事者は、話し合いにより互いに譲り合って紛争を解決することができる。しかし当事者間で話し合いがつかないときは、権威のある第三者に入ってもらって、紛争を解決するほかない。国家はそのために、正式な裁判のほかにも種々の制度を用意しているが…」
 
 
この記述からわかるように、「正式な裁判」というのは、民事訴訟のことであって、当事者の紛争解決の方法の一つであることがわかります。
 
 
 
つまり、民事訴訟について、これくらいの知識はあるはずですね。
 
 
 
そうすると、おそらくB説というのは、「証明」という文言と肢2の「民事訴訟」という文言から、民事訴訟についての話だなというくらいの推測はつくと思います。
 
 
 
また、ここで肢4をみると、「権利関係を証明するための法定証拠を提出する行為」とありますから、この推測は正しいと思うはずです。
 
 
 
また肢2に戻ってみると「弁論主義」と書かれています。
 
 
 
これはよくわからないぞ、と思うかもしれません。
 
 
 
しかし、皆さんは、行政事件訴訟法の勉強をしていますね。
 
 
 
そして、行政事件訴訟法は民事訴訟法を原則にしている法律であるということも知っているはずです。
 
 
 
行政事件訴訟法7条を参照してみてください。
 
「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。」と書かれていることからわかるように、民事訴訟法を原則としているのです。
 
 
 
そして、以下のH17問題38をみてください。
 
参考までにH17問題38
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/175mondai.html
 
 
この問題自体は、行政不服審査法と行政事件訴訟との比較についての記述式問題ですが、
行政不服審査法に関する空欄Aには「職権探知主義」が入ることは勉強していると思います。
 
 
この問題自体に、職権探知主義についての説明が書かれていますね。
 
 
 
そして、この職権探知主義の対概念が弁論主義なのです。
 
 
この問題の後段部分をみると、明確に弁論主義とは書かれていませんが、「行政事件訴訟では、これまでは一般の民事訴訟と同様に当事者主義的な審理手続がとられてきた」と書かれてあるように、弁論主義は当事者主義と同義なのです。
 
 
 
そして、この後段部分からも行政事件訴訟法が民事訴訟法を原則としていることがわかりますね。
 
 
 
つまり、行政事件訴訟法も弁論主義=当事者主義を基調としているのです。
 
 
 
このように過去問から、弁論主義というのは、当事者による主張・立証によって紛争を解決するのが原則であるということくらいはわかると思います。
 
 
 
もっとも、行政事件訴訟は、私人間同士の争いではなく、行政を相手に訴訟するわけですから、当事者間の紛争が解決すればいいというわけではなく、他の国民に対しても同じような結論が求められますから、より客観的に適法かつ公正な結果が求められるのです。
 
 
 
ですから、釈明処分や職権証拠調べのような行政不服審査法における職権探知主義的な制度が導入されたわけなのです。
 
 
 
話が少し問題から離れたように思われるかもしれませんが、要するに上記の過去問を解いていれば、弁論主義という言葉がでてきても知っているはずというのが出題者側の前提になっているということです。
 
 
 
ですから、民法の問題であっても民事訴訟の弁論主義について聞かれても不思議なことではないのです。
 
 
 
ここで肢2に戻ってみると、B説は、時効の援用というのは、民事訴訟の中で主張・立証して初めて救済されるものだということがわかると思います。
 
 
そうすると、肢2はB説と矛盾しませんね。
 
 
よって、誤りです。
 
 
 
これで、正解が肢4であることがわかりました。
 
 
上記の説明からも、肢4がB説に矛盾しないことは推測つくはずです。
 
 
 
このように、本問は一見すると現場思考型の問題とも思われますが、実際には過去問をしっかり勉強して応用すれば、きちんとした根拠をもって正解できる問題なのです。
 
 
 
そういう意味で、未知の学説が出てきて、その学説の説明を読んでもよくわからない場合であっても、過去問に戻って考えれば正解が出せる問題となっているのです。
 
 
 
この問題からも過去問分析の重要性がわかると思います。
 
 
 
ですから、現場で考える問題であっても、何となくという主観に頼らず、過去問に戻って客観的な根拠に基づいて解けたかどうかが正解率を高める上で重要なので、形式面・内容面も含めて、こういう解き方も参考にしてみてください。
 
 
 
今回はこの辺りで終わります。




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現場での戦術 無権代理と他人物売買(12) 行政書士試験

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過去問がない方は、下記のリンク先をご覧になってください。
 
H19問題29
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/193mondai.html
 
 
 
<1>
 
即時取得が成立するためには、以下の5つの要件が必要でしたね。
 
 
①対象物が動産であること
②前主が無権利者であること
③前主に占有があること
④有効な取引であること
⑤平穏公然、善意無過失で占有を取得したこと、
 
 
 
そうすると、本問の場合①、②、⑤の要件は満たされると思われます。
 
 
では、③と④の要件はどうでしょうか。
 
 
 
即時取得は、動産の取引の安全を保護する制度ですから、取引自体に瑕疵があってはならず、④有効な取引であること が前提になります。
 
 
 
そして、③前主に占有があること つまり、この前主の占有に対する第三者の信頼を保護するためにその占有に公信力が与えられているのです。
 
 
 
平たくいうと、「売主が持っている動産なら、それは売主の所有物だろう」という信頼が買主にあるので、この信頼を法律上保護するために、③前主に占有があること という要件があるのです。
 
 
法的にいうと、即時取得は、無権利者→所有権者というように、売主の無権利の瑕疵を治癒する制度なのです。
 
 
ここで、問題に戻ると、まず無権代理行為は、無権代理って何だろう の記事で解説したとおり、法律関係が不安定な状態ですから、④有効な取引 ではありません。
 
 
 
また、無権代理人は、あくまでも代理人であって、当事者ではありませんから、無権代理行為について「売主が持っている動産なら、それは売主の所有物だろう」という信頼が買主にはありませんね。
 
 
 
売主となりうるのは本人であって、無権代理人の占有を信頼しているわけではないからです。
 
 
 
上記のとおり、即時取得は、売主の無権利の瑕疵を治癒する制度であって、無権代理の瑕疵を治癒して有権代理にするという制度ではありません。
 
 
 
ですから、本問の場合、③と④の要件を欠きますから、即時取得は成立しないのです。
 
 
 
また、Bは、絵画を何ら権限なくAの代理人としてCに売却しているので、表見代理も成立しませんね。
 
 
 
よって、この例題は誤りです。
 
 
 
無権代理と他人物売買との比較の問題として押さえておいてください。
 
 
 
 
 
<2>
 
 
H19問題29をみていきましょう。
 
 
この問題は、193条、194条の条文を知っていれば簡単に解けますが、ここ10年くらいの過去問での出題例がないようですから、これらの条文まできちんと押さえていなかったのではないでしょうか。
 
 
 
押さえていなかったからといって本番であきらめてはいけません。
 
 
 
こういう場合は、解答の肢がヒントになりますから、何とか解答の肢を比較して正解できるようにしておくことが実践的です。
 
 
 
民法の大原則である当事者の公平性に戻って考えましょう。
 
 
 
公平というのは、当事者にとって公平であるだけではなく、民法は国民全体を規律しているものですから、誰の目から見ても客観的に公平であることが望ましいですね。
 
 
そのため、できるかぎり誰もが納得できる明確な要件が規定されているはずなのです。
 
 
 
以上を前提に解答の肢をみていきましょう。
 
 
 
解答の肢を比較してみると、
 
肢1と2は、「買取りの日から2年以内」
 
肢3と4は、「盗難の日から2年以内」
 
肢5は、「オークションの日から2年」
 
 
の部分がまずポイントになることがお分かりになると思います。
 
 
 
そして、肢5の「オークションの日から2年」というのは、落札した日ですから、買取りの日と同義ですね。
 
 
 
そうすると、「買取りの日から」あるいは「盗難の日から」のどちらかであろうと推測がつくわけです。
 
 
 
さて、問題文から、盗難にあったAが、絵画を回収するための行動について問われていますから、Aにとって、また第三者の目からみても公平といえる明確な要件はどちらでしょうか。
 
 
 
もし、「買取りの日から」となると、動産は転々と流通するものですから、所有者がどんどん変わっていきますので、誰の時点の買取りの日からなのか不明確ですね。
 
 
元の所有者からすると、いつ転売されたのかは不明であることがほとんどですから、それを基準に2年といわれると、元の所有者を保護することにはなりませんね。
 
 
 
また、盗んだ者が20年くらい保有していて、その後に善意・無過失の第三者に転売したということを考えると、盗まれた元の所有者は、その買取りの日から2年以内であれば、盗まれた日から22年経っても、取り戻せるということになりますね。
 
 
 
この場合、少なくとも善意・無過失の第三者は、時効取得できるでしょうから、取り戻せるとすると法的安定性を害して、時効制度を無意味なものにしてしまいかねませんし、第三者に不測の損害を与えてしまいますから公平とはいえません。
 
 
 
このように、「買取りの日から」という基準は、不明確ですから、公平ではないですね。
 
 
 
これに対して、「盗難の日から」というのは、盗まれた元の所有者には明らかですし、その日から2年間経ってしまえば、法的安定性から取り戻せないとしても仕方がないといえるでしょう。
 
 
 
このように、公平の観点から、要件の明確性を考えれば、「盗難の日から」の方がより妥当であると推測がつくはずです。
 
 
 
そうすると、残った肢は、3と4ですね。
 
 
後はこれらを同じように公平の観点から比較してみればいいのです。
 
 
肢3は、「面識のないCからBが買取ったもの」であり、
 
肢4は、「Bがオークションで落札したもの」です。
 
 
 
これを言い換えると、肢3は「言い値」、肢4は「相場に従った」ということですね。
 
 
肢4は「相場に従った」取引ですから、基準として明確ですし、価値に見合ったお金をBは払っているわけです。
 
 
 
にもかかわらず、保管費用だけで、元の所有者Aが取り戻せるとしたら、Bは不測の不利益を被りますね。
 
 
 
Bが支払ったお金と引き換えに取り戻せるとしないと公平を害します。
 
 
 
そうすると、肢4は誤りだとわかりますから、これで正解は肢3だとわかりますね。
 
 
以上から194条に「競売もしくは公の市場」とあって、その場合に代価弁償しなければならないということもわかりますね。
 
 
 
肢3は「言い値」ですから、ただ同然かもしれないし、本当は10万くらいの価値しかない絵画なのに、Bが100万円で買い取る場合もあれば、その逆もありえるわけですから基準として不明確ですね。
 
 
ですから、この場合は、ひとまず元の所有者に無償で絵画を戻して、あとはBとCで争ってくだいとしたほうが公平ですよね。
 
 
 
肢3についてここまでわからなくも、肢4の不公平性が見抜ければ、正解はでますね。
 
 
このように、動産である絵画の所有権を元の所有者Aと第三者Bのどちらに帰属させる方が公平なのかを考えながら選択肢を比較すると正解を出せるようになります。
 
 
本問のように、選択肢に比較しやすいヒントがあれば、そこから肢を絞っていくというのも現場での戦術なのです。
 
 
ですから、知らないから解けないなどとは思わずに、現場で考えて正解を導く訓練をしておくことも重要なことなのです。
 
 
 
とりわけ民法は条文数が多いので、こうした解き方を準備していることは未知の問題への対処にもなって有効だと思いますので、参考にしてみてください。
 
 
 
今回はこの辺りで終わります。




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6月11日(水)
6月18日(水)
6月25日(水)
7月2日 (水)
 
 
まぐまぐも、記事に合せて記事の前日に配信いたします。
 
6月7日 (土)  すでに配信済み
6月17日(火)
6月24日(火)
7月1日 (火)
 

7月2日以降は、従前どおり、月・水・金の週3回を予定しております。
 
 
11月の本試験までには、平成19年度の過去問解説は十分終わりますので、今後ともお付き合いいただけると幸いです。
 
 

今後ともよろしくお願いいたします。






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178条 無権代理と他人物売買(11) 行政書士試験

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今回は即時取得と動産の対抗要件(178条)について解説していきます。
 
 
 
今回のまぐまぐの質問を見ていきましょう。
 
 
今回も主に過去問からの出題です。
 
 
<1>
 
(1) H15問題28の肢1
(2) H12問題27の肢3
 
 
<2>
 
(1) H15問題28の肢4
 
 
登録されていない方は、以下のまぐまぐの質問をご覧になってください。
http://archive.mag2.com/0000260438/20080605112441000.html
 
 
過去問がない方は、下記のリンク先をご覧になってください。
 
H12問題27
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/123mondai.html
 
 
H15問題28
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/153mondai.html
 
 
 
 
 
<1>
 
 
(1)~(3)は、即時取得に関する問題です。
 
 
普段、皆さんは、即時取得について個別に勉強されていると思います。
 
 
しかし、ご存知のとおり、即時取得というのは、大雑把にいうと、動産を対象とした他人物売買の相手方を保護する規定です。
 
 
ですから、他人物売買の問題の中で一緒に出題されているのです。
 
 
即時取得が成立するためには、
 
 
①対象物が動産であること
②前主が無権利者であること
③前主に占有があること
④有効な取引であること
⑤平穏公然、善意無過失で占有を取得したこと、
 
 
5つの要件が必要です。
 
 
 
本問では、占有改定でも即時取得は成立するのかということが聞かれています。
 
 
つまり、上記の要件のうち、⑤平穏公然、善意無過失で占有を取得したこと、の「占有を取得」という部分が問題となっています。
 
 
占有改定の場合、即時取得は成立しないという結論自体は皆さんご存知だと思いますが、
その理由を理解していると178条との比較で迷わないので解説していきます。
 
 
 
今回は、この部分に絞って解説していきますので、即時取得の基本的な理解についての解説は、H17問題26でも解説してあるので下記をご覧になってください。
 
http://sakuradarimuseo07.blog110.fc2.com/blog-entry-153.html
 
 
 
上記の即時取得の記事では、公平の観点からのみの解説でしたが、今回は、他人物売買との関係も絡めて解説していきます。
 
 
 
他人物売買は、その契約自体は有効ですが、売買の相手方に所有権は移転しないのが原則でしたね。
 
 
前々回解説したとおり、相手方は、売主に帰責性があれば債務不履行責任、帰責性がなければ解除・損害賠償請求という売主の担保責任を問えます。
 
 
 
しかし、仮に債務不履行責任を問えたとしても、売主がその他人である真の権利者から所有権を取得するか、真の権利者が追認しないかぎり、履行は不可能ですから、結局履行利益の損害賠償請求しか問えません。
 
 
 
動産のように日常頻繁に取引されるものについて、この原則を貫き、債務不履行に基づく損害賠償請求や担保責任しか問えないとすると、例えば、訴訟を起こして損害賠償請求したり、解除によって支払い済みの金銭の返還請求をしたり、受け取った動産を返還したりしなければならないなど、複雑な手続きをしなければならなくなります。
 
 
 
そうすると、物は取得できない、訴訟をしなければならないなど、何ら落ち度のない取引の相手方に不測の損害を与えますし、いちいち真の権利者と売主は一致しているのか確認しなければならなくなりますから社会における動産取引自体が滞ってしまいますね。
 
 
 
この動産が安価であればあるほど取引の相手方は面倒な手続きをするくらいなら放置してあきらめてしまうかもしれません。
 
 
 
そこで、相手方が善意・無過失である場合は、動産の取得を認めてしまい、後のことは真の権利者と売主の間で争ってください、という制度があれば、動産取引の相手方は安心して物を買えますし、取引秩序も保たれますね。
 
 
 
そのため、他人物売買の一場面における動産取引については売主の占有に公信力を認めて、即時取得を成立させたともいえるのです。
 
 
 
では、即時取得が成立するためには、どのような「占有を取得」した場合でもいいのだろうか、ということが問題になります。
 
 
 
つまり、占有の取得態様には、現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転、占有改定がありますが、このうち占有改定でも即時取得が認められるかが論点となっているということです。
 
 
 
占有改定では、現実の引渡しと異なり、売主のもとにまだ動産がある状態ですから、事実的にみると、動産の占有態様に何も変化がありません。
 
 
 
この場合にも、真の権利者を犠牲にして、第三者を保護するのは公平のバランスを欠くのです。
 
 
 
平たく言いますと、真の権利者からすれば、まだ売主の手元にある以上、自分のものだから返せといいたいですよね。
 
 
 
反面、もう売主の手元を離れてしまったのなら仕方がないという感じで、取引の相手方との公平バランスを保っているのです。
 
 
 
◆ なお、この公平バランスというのは、相対的な比較ですから、占有改定が含まれないことに賛成・反対とかまで深く考える必要はなく、原則的な理解にとどめて、あとは学者の方に考えてもらいましょう(実際に賛否両論多数の学説があります)。
 
 
 
ですから、占有改定は、即時取得が成立するための「占有を取得」という要件を満たさないと解されているのです。
 
 
 
これで<1>については理解されたと思います。
 
 
(1)と(2)ともに即時取得は成立しませんから、誤りです。
 
 
 
◆ なお、(2)では、明確に「占有改定」という文言がでているので瞬時に判断できますが、(1)では、あえて文言をださずに「占有改定」の意味だけ記載されていますので、これが「占有改定」であると判断できるようにしておきましょう。
 
 
 
(3)
 
 
「現実の引渡し」であれば、即時取得は成立しますね。理由は解説したとおりです。
 
 
 
 
 
<2>
 
 
問題を見れば、178条の対抗要件に関係する話かなと気づかれたと思います。
 
 
 
まず(1)と(2)の違いは、178条の「第三者」にあたるかどうかの話です。
 
 
 
(1)は、もっぱら本人のために物を預かっている受寄者にすぎませんから、「第三者」にはあたりません。
 
 
つまり、AはBの手足となる者であって、当事者の一部にすぎないと考えるのです。
 
 
ですから、Aは、Dに対して自己の権利を主張することはできないのです。
 
 
そうすると、この問題自体は対抗要件の話ではないですね。
 
 
Dは対抗要件などなくても、つまり「動産の引渡し」がなくても、BD間で意思の合致があれば、それだけで所有権を取得し、Aに対抗できるのです。
 
 
 
 
(2)は、自分で利用するためにお金を払って借りている賃借人ですから、正当な利益を有する「第三者」にあたります。
 
 
 
そうすると、DがAに対して所有権者であることを主張するためには、「動産の引渡し」という対抗要件を備えていなければなりませんね。
 
 
 
ですから、Aが賃借人である場合は、「動産の引渡し」がなければ、Dは対抗できません。
 
 
よって、(1)と(2)とでは結論が異なりますね。
 
 
 
この問題からは、178条の「第三者」の射程範囲がわかればそれで十分です。
 
 
受寄者は「第三者」に含まれない
 
賃借人は「第三者」に含まれる
 
 
よって、(1)は正しいです。
 
 
 
 
 
<3>
 
 
さて、<2>の(2)の場合、Dはたとえ占有改定であっても、「動産の引渡し」という対抗要件を備えていれば、Aに対して所有権者であることを主張できますね。
 
 
 
なぜ178条の「動産の引渡し」には、占有改定まで含まれるのに、即時取得の「動産の占有」では占有改定が含まれないのでしょうか。
 
 
 
それは、売主が真の権利者か、無権限者かという違いがあるからです。
 
 
 
上記<1>で解説したとおりに、即時取得は、本来保護されない無権限者と売買した第三者を善意・無過失の場合にかぎって公平の観点から保護するというものです。
 
 
 
ですから、真の権利者との公平バランスを図るために占有改定では即時取得は認められないとしたのです。
 
 
 
これに対して、<2>の(2)の例題は、真の権利者BがDに譲渡している場面ですから、本来意思の合致だけで所有権がDに移転しますね(176条)。
 
 
 
ただ、同じ動産に対して第三者が何らかの権利を正当に主張できる場合には、「動産の引渡し」という対抗要件が必要であるといっているだけなのです。
 
 
対抗要件が問題となる場合は、取引秩序維持のために画一的に判断されます。
 
 
 
不動産の場合は登記、動産の場合は「動産の引渡し」で画一的に判断するということで、これが公平なんだよということです。
 
 
ですから、善意・悪意という主観的な要件は課されませんね。
 
 
要するに自由競争のもとでの早い者勝ちなのです。
 
 
そうすると、「動産の引渡し」による占有の取得態様には、現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転、占有改定がありますが、原則どおり、これらのうちどれか一つの占有の取得態様を得れば、それで画一的に処理されるのです。
 
 
 
即時取得のときのように「占有改定」を含めるべきか否かということは考えなくていいのです。
 
 
 
言い方を換えれば、即時取得は、第三者の取引安全のための例外的な場面なので、占有の取得態様について一部制限されているということです。
 
 
 
このように、178条と即時取得とでは、売主が真の権利者か、無権限者か、言い換えると、売買によって所有権が移転するか否かが異なるので、「占有改定」について違う考え方がとられているのです。
 
 
 
この点が、<1>の(2)と<2>の(2)の違いになるわけです。
 
 
 
また、H15問題28を一見すると、肢1と肢4とは何ら脈絡がなく出題されているように思えますが、<2>の(2)の例題を介すると、占有の取得態様について上記のような違いがあるから同一問題の中で出題されていると考えられるのです。
 
 
 
つまり、以下のように、まず肢1が他人物売買、肢4が通常の売買の一つであるという比較問題であることを前提として、これに例題を介すると、肢4との関係では、対抗要件である「動産の引渡し」について、肢1との関係では、その「動産の引渡し」の一部である「占有改定」についての比較問題になるのです。
 
 
 
 
受寄者は「第三者」に含まれない →「動産の引渡し」は不要   (肢4)
 
賃借人は「第三者」に含まれる  →「動産の引渡し」は必要   (例題)
 
 
 
178条の「動産の引渡し」      →「占有改定」を含む     (例題)
 
即時取得の「動産の占有」    →「占有改定」を含まない   (肢1)
 
 
 
 
皆さんは、この記事を一読して理解できれば上記の結論だけ憶えておけば十分です。
 
 
 
もし迷うようなことがあれば、もう一度記事に戻って、両者の違いをしっかり押さえて間違うことのないようにしましょう。
 
 
 
今回はこの辺りで終わります。




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共通・相違 無権代理と他人物売買(10) 行政書士試験

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今回は他人物売買についての基本的な問題を解説していきます。
 
 
 
今回のまぐまぐの質問を見ていきましょう。
 
 
 
登録されていない方は、以下のまぐまぐの質問をご覧になってください。
http://archive.mag2.com/0000260438/20080603114000000.html
 
 
 
<3>の(3)は判例からの出題ですが、それ以外は全て過去問からの出題となっています。
 
 
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
 
H9の過去問はリンク先にございませんのでお持ちの過去問集などで確認しておいてください。
 
 
 
H12問題27
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/123mondai.html
 
 
H15問題28
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/153mondai.html
 
 
H19問題27
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/193mondai.html
 
 
 
 
<1>
 
 
(1)~(3)まで同じことを聞いている問題です。
 
 
 
前回解説 したように他人物売買の売主は、無権代理人と異なり、自己に契約の効果が帰属する契約当事者です。
 
 
 
また、契約の目的物が他人の所有物であっても、契約内容についての一般的有効要件である確定性、実現可能性、適法性、社会的妥当性を欠くわけではありません。
 
 
ですから、他人物売買も債権的には有効な契約なのです。
 
 
この点が、あくまでも代理人である無権代理人の場合と異なりますね。
 
 
他人物売買=有効 ということさえわかっていれば全ての例題の正誤が簡単に判断できます。
 
 
(1)×   H15問題28の肢3
 
(2)×   H12問題27の肢1
 
(3)○   H9問題30の肢3
 
 
 
 
<2>
 
 
H19問題27の肢1です。
 
 
 
前回解説したように、他人物売買における担保責任とは、たとえ売主が無過失であったとしても、民法の公平の観点から、少なくとも契約をしなかった状態に戻せるように売主に負わせた保証責任という意味です
 
 
公平の観点から、最低限解除できるので、解除するのに善意・悪意は問いませんでしたね。
 
 
よって、<2>は正しいのです。
 
 
 
 
 
<3>
 
 
まず、同じ追認の問題である(1)と(2)を見ていきましょう。
 
 
 
前回解説したように、他人物売買の売主と無権代理人とは、無権限者 という共通点がありました。
 
 
 
つまり、代理人、売主という法的地位の違いはあるが、権限のない他人が本人あるいは真の権利者の財産を対象にして契約をしているという点で共通しているのです。
 
 
 
このように無権限者による契約という構造が類似しているため、この無権代理の考え方が他人物売買にも援用されているのです。
 
 
 
無権代理の場合、そのままの状態では、契約の効果が本人に帰属せず、それに伴って本人の財産も第三者に移転しません。
 
 
 
他人物売買の場合は、契約自体は有効ですから、この点は異なりますが、売主が真の権利者の財産を取得しない限り、その財産が第三者に移転しない点は同じですね。
 
 
 
そして、無権代理の場合、本人が追認すると契約が遡って有効に成立します。
 
それに伴って、本人の所有権が第三者に移転します。
 
 
 
同じように、他人物売買の場合も、真の権利者が追認すると、無権代理行為の追認に関する民法116条の類推適用により、真の権利者の財産が第三者に移転するのです。
 
 
 
これは判例(最判昭和37年8月10日)ですが、両者の構造の共通点を考えると、この判例自体の知識がなくてもわかりますね。
 
 
 
以上を前提に(1)と(2)を見ていきましょう。
 
 
(1)  H15問題28の肢2
 
これは上記の解説のとおりですから、真の権利者Bの追認があればCは絵画の所有権を取得します。
 
 
よって、(1)は誤りです。
 
 
 
 
(2)  H12問題27の肢2
 
 
この問題は一見すると正しそうですが、絵画の所有権は売主Bには、そもそもないですから、Aの追認によって、絵画の所有権は、AからCに移転するというのが正しいですね。
 
 
「BからCに」という引っ掛けに注意してください。
 
 
よって、(2)は誤りです。
 
 
 
 
(3)
 
 
この問題は、無権代理と相続に類似していますね。
 
 
これも上記の追認と同じように構造が共通しているので、無権代理と相続の考え方が、他人物売買に援用されているのです。
 
 
 
この問題は、真の権利者が売主を相続している場合なので、本人が無権代理人を相続した場合と同じように考えればいいですね。
 
 
無権代理と相続β の記事で解説したとおり、この部分はあまり深入りせずに、事務的に処理すればよかったですね。
 
 
 
この問題の場合、①相続による足し算 から、真の権利者は、売主の地位と真の権利者としての地位を二つ有します。
 
 
 
つまり、相続によって真の権利者は、売主の地位に基づく履行義務と担保責任も持つことになるということです。
 
 
 
そして、真の権利者が売主を相続している場合なので、②信義則による引き算 は考えなくていいですね。
 
 
 
そうすると、無権代理の場合に本人が追認拒絶権を行使できたのと同じように、売主の地位に基づく履行義務を果たすか否かは、真の権利者の意思に委ねられますから、この場合、真の権利者は履行義務を拒否することができるのです。
 
 
 
ただ、売主の地位に基づく担保責任は負うことになりますから、真の権利者は履行義務を拒否することができても、第三者の解除あるいは善意ならば信頼利益に基づく損害賠償請求に対しての責任を負うことになります。
 
 
 
よって、(3)は正しいです。
 
 
 
この(3)も判例(最判昭和49年9月4日)ですが、その知識がなくとも無権代理と相続の場合とパラレルに考えれば理解しやすいですね。
 
 
 
以上から、今回の例題は7つありましたが、結局
 
 
<1>       他人物売買=有効
<2>       善意・悪意問わず解除可
<3>       無権代理との類似
 
 
3つに集約されるのです。
 
 
 
このように、他人物売買の問題は、無権代理との共通点・相違点を理解していることが問題を解く上で重要な視点となりますので参考にしてみてください。
 
 
今回はこの辺りで終わります。
 




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他人物売買 無権代理と他人物売買(9) 行政書士試験

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今回から他人物売買の解説をしていきます。
 
 
 
早速ですが、今回のまぐまぐの質問を見ていきましょう。
 
 
 
登録されていない方は、以下のまぐまぐの質問をご覧になってください。
http://archive.mag2.com/0000260438/20080531113000000.html
 
 
 
<1>
 
 
今まで解説してきたように無権代理における無権代理人は、何ら権限なく代理行為をする者です。
 
 
 
他人物売買における売主も、何ら権限なく他人の所有物を目的として売買契約を締結する者です。
 
 
 
このように、無権代理における無権代理人と他人物売買における売主は、何ら権限なく法律行為をする者、つまり無権限者であるという点で共通しています。
 
 
 
次に、両者の相違点をみていきましょう。
 
 
まず、無権代理における無権代理人は、自己ではなく本人に代理行為を帰属させるために代理行為をする者ですから、あくまでも代理人です。
 
 
 
これに対して、他人物売買における売主は、自己に契約の効果を帰属させるために売買契約を締結する者ですから、あくまでも契約当事者です。
 
 
 
このように、両者には代理人か当事者かという相違点があります。
 
 
 
これらの共通点、相違点は問題を解く上で重要な視点となりますので当たり前のことだとは思わずにしっかり押さえてください。
 
 
 
 
<2>
 
 
担保責任とは、どういう責任なのでしょうか。
 
 
 
おそらくこの561~570条までの担保責任については、解除・損害賠償などの可・不可が善意と悪意に分けられて表になっていることが多いと思います。
 
 
 
その表がどういう意味なのかよくわからないまま丸暗記している方も多いかと思われますが、それは試験との関係ではある意味仕方がないです。
 
 
 
というのも、担保責任をきちんと理解するためには、学説上も長年に渡って対立しているところでもあり、実は奥深い理解が必要だからです。
 
 
 
ただ、試験との関係では、そのような奥深い理解は要求されていませんので、そこまで理解しておくことはあまり実益がありません。
 
 
 
そのため、表などに頼りがちになってしまいますが、以下のように簡潔に理解しておけば試験対策として十分でしょう。
 
 
 
 
担保責任における「担保」という意味から考えてみましょう。
 
 
 
民法の他の分野、例えば、抵当権などの物的担保、保証人などの人的担保などを勉強したと思います。
 
 
 
これらの場合の「担保」とは、保証という意味です。
 
 
 
それらと同じように、担保責任とは、売主の保証責任と考えておきましょう。
 
 
 
では、何を保証しているのでしょうか。
 
 
民法の根本原則である公平性を保証したものだと思ってください。
 
 
 
具体例で考えてみましょう。
 
 
 
AとBがA所有の土地について売買契約を結び、その後BとCがその土地の売買契約を結んだとしましょう。
 
 
その後、AがDに対して同じ土地を売却してDに登記も移転したとしましょう。
 
 
 
D(登記済)
A
B → C
 
 
 
この場合、AからB、AからDという土地の二重譲渡があって、Dが先に登記を備えてしまっているので、177条よりDが確定的に所有権者となっていますね。
 
 
 
そうすると、Bは結果的に他人の物についてCと契約したことになり、履行が不能となっています。
 
 
 
Bが契約の履行を果たすためにやるべきことはやり、過失もなく何も帰責性がない場合、Cはどうしたらいいでしょうか。
 
 
土地を取得できない以上、契約をこのまま維持しても仕方がないので、Cは契約を解除して、すでに代金を支払い済みだとしたら原状回復請求に基づいてそれを返還してもらいたいですよね。
 
 
 
ところが、Bに帰責性がない以上、債務不履行にもとづく解除、損害賠償請求などはできないのです(415条)。
 
 
 
土地も取得できず、お金も返ってこないのでは、Cにとってあまりにも不利益ですし、公平性を欠きます。
 
 
 
そこで、このような他人物売買の場合、たとえ売主が無過失であったとしても、民法のの観点から、少なくとも契約をしなかった状態に戻せるように売主に保証責任を負わせたのが担保責任だと思ってください。
 
 
公平の観点から、最低限解除できるので、解除するのに善意・悪意は問いません。
 
 
また、買主Cが善意であるならば、例えば、土地の登記をしようとしてかかった準備費用などの実費を売主Bに対して損害賠償請求することができるのです。
 
 
◆ なお、このような損害賠償請求の損害を、転売した場合などの履行利益と比較して、信頼利益といいます。 
 
 
このような契約がなければ本来かからなかった費用ですから、それを売主に負担させる方が公平なのです。
 
 
これに対して、土地を取得できない可能性があることを買主Cも知っていたのならば、わかっていて費用をかけたわけですから、それにかかった実費までを売主に負担させるのは公平ではありませんね。
 
 
 
以上のように、担保責任というのは、民法の公平の観点から認められた責任であり、これを法が特別に認めた法定責任といいます。
 
 
 
ですから、担保責任の法的性質は特別の法定責任といわれているのです(法定責任説)。
 
 
売主が無過失であっても、買主は解除・損害賠償請求できるということから、買主側から見れば権利ですが、売主側からみるとそれらの買主の権利を保証する「責任」というくらいの意味で担保責任を理解してください。
 
 
 
要するに、当事者の公平の観点から、契約をしなかった状態に戻すための売主の責任というくらいの意味です。
 
 
 
以上より、
 
 
担保責任=法が特別に認めた法定責任=無過失責任
 
 
そして、他人物売買の場合、
 
 
善悪問わず、解除可
 
善意ならば、損害賠償請求可(信頼利益)
 


となるのです。
 
 
 
 
<3>
 
 
では、上記の事例において、CがさらにXに転売しており、Bがすぐに登記できる状態であるのにも関わらず放置していたため、先にDに登記されてしまった場合、Cは担保責任だけではなく、Bに対して債務不履行責任まで問えるのでしょうか。
 
 
 
D(登記済)
A
B → C → X
 
 
 
この場合、Bの過失の有無を問わず担保責任を問えますから、Cは解除あるいは善意ならば損害賠償請求まですることができるのは上記でみたとおりです。
 
 
 
では、例えばCがBから1000万円で買った土地をCがXに1200万円で土地を転売していた場合、差額分200万円の転売利益つまり履行利益まで損害賠償請求できるのでしょうか。
 
 
上記のとおり、担保責任だけしか問わないのであれば、実費のような信頼利益までしか損害賠償請求できません。
 
 
しかし、担保責任というのは、民法の公平の観点から認められた特別の法定責任でしたね。
 
 
この責任と、売主に帰責性がある場合の契約に基づく債務不履行責任とはまた別の責任です。
 
 
 
ですから、上記の事例の場合、Bにはすぐに登記せずに放置していたという帰責性があるので、Cは債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができるのです。
 
 
 
つまり、CはBに対して、差額分200万円の転売利益つまり履行利益まで損害賠償請求できるのです。
 
 
 
両責任が別ということは、両方請求することができるのかと思われるかもしれませんが、責任の大きさを考えれば、債務不履行責任を問えれば十分ですね。
 
 
 
債務不履行といえれば、担保責任と異なり、買主の善悪を問わず解除・損害賠償請求もできますし、信頼利益は、履行利益の中に含まれてしまいます。
 
 
 
そうすると、担保責任というのは、債務不履行責任を問えない場合に、公平の観点から売主に課せられた保証責任であるということが理解できます。
 
 
 
試験との関係では、あまり深入りはせずに、この程度の理解をしておけば十分ですので参考にしてみてください。
 
 
 
以上の理解を前提に、次回は、過去問を解いていきましょう。
 
 
 
今回はこの辺りで終わります。




テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

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