なぜ あなたは 行政書士試験に 合格できないのか?

どの法律系資格であっても、その確実なGETに必要なのは徹底的な過去問分析と方法論なのです。

スポンサーサイト

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

行訴法における教示制度は、情報提供サービス!? 平成18年度 問題19の過去問分析 その2

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


問題19を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

前回の続きです。

<肢3>
前回の肢1で、行政庁が「俺のしたことで俺に文句があるなら、俺に言ってくれ」とまず言い、その上で「第三者(裁判所)を通して、俺に文句言うなら、わかる範囲で手続きを教えるよ」というとくだけた言い方をしました。

行政庁は自分自身に対する不服申し立ての仕方については、よく知っているはずですが、第三者である裁判所の手続きについて全てを知ってはいません。
裁判のことは、弁護士や裁判所に聞いた方がより適切だからです。

もちろん、行政庁が裁判手続き全てを知って教示してくれれば、国民の人権保障という観点からは、適切ですが、過度に行政庁に負担を強いることになり、円滑・迅速な行政サービスの実現という観点からは、簡易・迅速な行政サービスを提供することができなくなってしまい、必ずしも適切とはいえません。

ですから、法律で定められているなど、行政庁にとっても明らかなことについては、その範囲で教示させれば十分なのです。

そうすると、問題文の「原処分ではなく裁決に対してのみ取消訴訟を認める旨の定めがある場合に、」と法律などで定まっているならば、行政にとっても明らかなことなので、行政サービスの一つとして当該原処分を行う際には、教示義務があるのです。

よって、肢3は正しいのです。

<肢4>
肢3のように法律で定められているものと異なり、利害関係人というのは一義的に決まるわけではありませんから、その処分ごとに個別に利害関係人を判断しなければなりません。

肢3で解説したように、行政庁は自分自身に対する不服申し立ての仕方については、よく知っているはずですが、第三者である裁判所の手続きについて全てを知ってはいません。

そうすると、行政庁に対する不服申し立てについての利害関係人の判断は行政庁がすべきであり、裁判において利害関係人が誰であるかは裁判所が判断すべきことであって、
行政庁が判断することではありません。

要するに、裁判において利害関係人になるのは誰かについて、行政庁はわからないのです。

にもかかわらず、教示義務を負わせると、過度に行政庁に負担を強いることになり、円滑・迅速な行政サービスの実現という観点からは、必ずしも適切とはいえないのは肢3と同じです。

ですから、行政不服審査法には利害関係人に対する教示義務があるのに対して(行審法57条2項)、行政事件訴訟法には利害関係人に対する教示義務がないのです。

よって、肢4は誤りです。

<肢5>
行政不服審査法には、誤った教示をした場合、または教示をしなかった場合についての救済措置の規定(58条)がおかれています。

これは、肢3、4と同じように、行政庁は自分自身に対する不服申し立ての仕方については、よく知っているので、教示が誤っていたのなら、訂正するだけでなく、救済することが国民の人権保障という役割からは、当然なことなのです。

しかし、裁判所の手続きについて全てを把握していませんから、教示が誤っていたとしても、それを全て行政側の責任にするのは、過度に行政庁に負担を強いることになり、円滑・迅速な行政サービスの実現という役割からは、必ずしも適切とはいえないのです。

ですから、行政事件訴訟法において、誤った教示をした場合、または教示をしなかった場合についての救済措置の規定がおかれていないのです。

よって、肢5は誤りなのです。

以上の肢3から5まででわかるように、行政事件訴訟法における教示制度は、行政の役割から義務付けられる責任ではなく、行政側の情報提供サービスの一種であって、詳細はより裁判に詳しい弁護士や裁判所に聞いてくださいという程度のものなのです。

こうした違いをしっかり理解するようにしてください。

◇ なお、両法における教示制度の共通点は、不服申し立て(訴訟)の相手方、不服申し立て(出訴)の期間です。

今回も、こうした行政庁の役割の視点を手がかりに考えると、相違点が浮き彫りになっていくことがお分かりいただけたと思います。

これらの視点は、色々な問題を解く上で本当に重要ですので潜在意識にたたきこんでください。

今回はこの辺りで終ります。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。
 
スポンサーサイト

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

教示制度はなんのため?! 平成18年度 問題19の過去問分析 その1

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!



問題19を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

教示制度は、行政不服審査法(行審法57条)と行政事件訴訟法(46条)との両方で規定されています。

私たちは、何らかの争いがあった場合、裁判という形で紛争解決できることは
ニュースなどでよく見聞きしています。

しかし、行政庁に対する異議申し立てや審査請求については、裁判所よりも、行政サービスの方が日常的に接することが多いにも関わらず、あまりなじみがなく知られていないのではないでしょうか。

そのために、行政不服審査法(行審法57条)では行政事件訴訟法よりも早くから教示制度を規定していました。

これも、行政庁には、個人の人権保障という役割が与えられているので、国民の行政庁に対する異議などに対応することは、その役割なのです。

それと共に行政庁には、円滑・迅速な行政サービスを実現する役割が与えられているので、簡易・迅速に、そうした異議などに対応することも行政サービスの一なのです。

このように、行政不服審査法(行審法57条)における教示制度は、行政のこうしたより国民のニーズに素早く応えられるような役割から、おのずと行政事件訴訟法とは異なっているのです。

今回の問題は、行政事件訴訟法における教示制度について問われていますが、主に行政不服審査法(行審法57条)における教示制度とのを問われているので、両者の共通点と相違点について整理しておくとよいでしょう。

では、具体的な肢の検討に入ります。

<肢1>
教示自体は、行政不服審査法(行審法57条)であれ、行政事件訴訟法(46条)であれ、行政庁が行います。

ですから、上記のとおりの行政庁のより国民のニーズに素早く応える役割から、行政庁自身に対する不服申し立ての制度については、行政庁自身がよく知っているので、行政庁自身に異議申し立て等をすることができる旨が先に規定されているのは当然です。

くだけた言い方をしますと、行政庁が「俺のしたことで俺に文句があるなら、俺に言ってくれ」とまず言うはずです。その上で「第三者(裁判所)を通して、俺に文句言うなら、わかる範囲で手続きを教えるよ」というでしょう。

そこで、H16年改正で行政事件訴訟法(46条)における教示制度が新設されました。

よって肢1は誤りです。

<肢2>
教示の方法は、行政不服審査法(行審法57条)であれ、行政事件訴訟法(46条)であれ、書面による処分の場合は、必ず書面で教示がなされなければなりません。
 
 
これに対して、処分が口頭でされた場合は、教示「義務」はなく教示をしてもしなくてもよいのです。行政サービスの一つとして任意に教示する場合、口頭ですること方が簡易・迅速な行政サービスを提供することができるのです。

そうすると、処分が口頭でされた場合は、教示義務自体はありませんが、行政サービスの一つとして
任意に教示する場合、口頭ですること方が簡易・迅速な行政サービスを提供することができるのです。

また、口頭で処分するということは、どちらかというと簡易な処分であることが多いはずです。

イメージとしては、村の全員が知り合いという程度のすごく小さな村役場があって、その役場の人が村民に何らかの簡易な行政処分を口頭でする場合、教示義務はなく、任意の教示もまた口頭でも十分ですし、その方が簡易・迅速な行政サービスを提供することができますね。
このように、口頭で処分された場合は、教示「義務」はなく教示をしてもしなくてもよいのです。
よって、肢2は誤りです。

次回続きをします。

今回はこの辺りで終わります。


テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

残された肢を切る!? 平成18年度 問題18の過去問分析 その3

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!

合格者の方々のコメントは こちら です。



NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。





前回の続きです。



問題18の肢3・肢5を分析していきましょう。



過去問がない方は下記のリンクで参照してください。 http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html


<肢3>

この問題は、取消訴訟の被告適格の話です。



16年に改正されて、原則的に、処分行政庁が所属する国・または地方公共団体に被告適格があることになりました。



これは、改正前まで処分または裁決した行政庁に対して、訴え提起しなければならなかったところ、行政のしくみが複雑で訴えの相手方が明らかでなかったために国民は抗告訴訟について訴えるのが難しかったのです。



そこで、訴訟を利用しやすくして国民を保護するために改正で大雑把に国または地方公共団体に訴えればよくなったのです。



しかし、同時に問題19でやる教示制度も取り入れられたことにより、訴えの相手方が明らかにされるようになったため、国または地方公共団体に訴えればよくなったという規定はあまり意味のないものになってしまったのです。



こうした改正の経緯からすると、処分が、国または公共団体に所属しない行政庁によって行われた場合でも、教示制度により、訴えの相手方が明らかにされれば、処分行政庁を相手にして、当該処分の取消を求める訴えをすることができます(11条2項)。



よって、肢3は誤りです。





<肢5>

その1まとめにあったように、無効確認訴訟は取消訴訟を原則とするならば、その例外的な訴訟といえます。



<原則>             <例外>


取消訴訟(処分・裁決)     無効確認訴訟


というのも、無効確認訴訟は出訴期間の経過などにより、もはや取消訴訟では争えない場合の補充的な訴訟類型といえるからです。





時機に遅れた取消訴訟とも言われているのです。



それゆえ、無効確認訴訟は取消訴訟の訴訟要件を満たすことが前提で、取消訴訟の規定の多くを準用しています(38条)。



このように無効確認訴訟と取消訴訟とは、原則例外の関係にあるといえます。



そうすると、取消訴訟で認められる第三者効(対世効)についても準用されているとも思えます。



しかし、実際は準用されておらず、明文上は認められていません。



この理由は少し難しいので覚えなくてもいいですが、両者の訴訟の形式が異なるところからきています。



取消訴訟は、判決が確定すると処分の効力が遡及して消滅し、当該処分がはじめからなかったことになる形成力をもつ形成訴訟なのです。



民法の取消の効果と同じです。



これに対して、無効確認訴訟は文字通り、無効を確認する確認訴訟なのです。



ですから、無効は遡及することなく、はじめから無効なので形成力がありません。



こうした、訴訟の形式の相違点から準用されていないのです。



しかし、無効確認訴訟と取消訴訟において、その効果は、遡及するか否かに関わらず、はじめから無効になる点で共通しています。



そうすると、無効確認訴訟と取消訴訟とは、原則例外の関係にあり、その効果も実質的に共通することからすると、明文上は認められていなくとも、無効確認訴訟に第三者効(対世効)を認めるべきでしょう。



判例・通説も同じ結論です。



ですから、両者が原則例外の関係にあるので、無効確認訴訟にも第三者効(対世効)が認められると覚えておいてください。



今後の出題に活かされるときがあると思います。



よって、肢5は誤りです。



以上3回にわたって問題18を分析・検討してきましたが、抗告訴訟を比較して勉強するのにはいい問題でした。



重要な改正であり、改正されてまだ年数がたっていませんから、 必ず今後も出題され続けると思いますのでしっかり復習しておいてください。



今回はこの辺りで終わりにします。





テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

仮義務付け・仮差止訴訟および執行停止の関係 平成18年度 問題18の過去問分析 その2

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


問題18の肢2を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

<肢2>
前回まとめにあるように仮義務付け・仮差止訴訟および執行停止の関係は簡易なマトリックスにすると、以下のようになります。


                         (事前)                   (事後)
(作為)             仮差止訴訟              執行停止
(不作為)       仮義務付け訴訟   


まず、仮差止訴訟をするためには、行政庁の処分前に、処分をしないように差止め訴訟を提起しなければなりません。

しかし、その場合判決が出るまでは、その処分が出るのを止められないですから、その訴訟の係属中、判決が出るまでに処分が出るのを止めさせたい場合に、仮に差止めをすることができます。これを仮差止訴訟といいます。

同様に、仮義務付け訴訟は、上記でみた不作為の違法確認訴訟と同時に提起しなければならない2号義務付け訴訟の中で、仮差止訴訟と同じように、行政庁の処分前に、その訴訟の係属中、判決が出るまでに処分してもらいたい場合に、仮義務付け訴訟をすることができます。

これに対して、執行停止というのは、処分後に取消訴訟を提起した場合、執行不停止の原則(25条1項)から、処分の執行は進んでいきますから、その進行を止めるために訴訟の継続中に申立てをして認められれば、その執行が停止されるものです。(25条2項)。

そして、執行停止は、処分の執行という作為を止めさせるものであります。
つまり、これは、事後的な仮差止訴訟と同じなのです。

ですから、仮差止・仮義務付け訴訟と執行停止の関係は事前事後の関係なのです。

◇ なお、執行停止については問題15の解説も参照してください。


次に、仮差止訴訟と仮義務付け訴訟との関係をみていきましょう。

この関係は、肢4で検討した取消訴訟と不作為の違法確認訴訟との関係を考えればだとわかります。

仮差止訴訟は、処分という作為を止めるものであります。
仮義務付け訴訟は、不処分という不作為に対して作為義務を負わせ実行させるものであります。

ですから、仮差止訴訟と仮義務付け訴訟との関係は作為不作為の関係なのです。

そして、事後の仮義務付け訴訟に対応するものが、なぜないのかというと、不作為に対する義務付けをするには処分が出ていないことが前提なので、処分の後に義務付けするというのは観念できないからです。

このように、仮差止訴訟・執行停止が事前・事後に処分という作為を止めさせるものであり、仮義務付けは事前に不処分という不作為を止めさせるものであります。

ですから、仮義務付け・仮差止訴訟および執行停止の関係は、「止めさせる」という点で共通するので、同様の機能を有します。

この同様の機能から、執行停止に対して、内閣総理大臣の異議ができるように、仮差止・仮義務付けに対しても、内閣総理大臣の異議ができ、準用されているのです(38条3項)。

ここで、内閣総理大臣の異議(27条)について少し説明いたします。

仮義務付け・仮差止訴訟および執行停止は裁判所が行い、それに対する異議は内閣総理大臣が行いますから、裁判所 VS 内閣総理大臣 という三権分立の抑制と均衡のバランスが関係してくるのです。

まず、行政庁による処分・不処分によって、国民の権利・自由が害されるので、今まで見て来たとおり、それに対して取消訴訟・不作為の無効確認の訴え・義務付け訴訟などが提起されます。

そして、これらの訴訟の中で、要件を満たせば、仮義務付け・仮差止訴訟および執行停止を裁判所が判断するのです。

この裁判所の判断に対して、行政のトップである内閣総理大臣が待ったをかけるのが異議なのです。

それゆえ、この異議の制度は、国民の自由・権利を守る最後の砦である裁判所の独立(司法権の独立)に反するのではないかという問題があるのです。

結論から言えば、内閣総理大臣の異議は三権分立に反しないのですが、以下のように理解しておくとイメージしやすいと思います。

極端なイメージですが、例えば、行政庁が国民年金を全く支払ってくれないという不作為があったとして、これに対して、不作為の無効確認の訴え・義務付け訴訟が提起され、仮
の義務付けも認められたとしましょう。

ところが、突然、世界的な金融恐慌が起き、日本経済が破綻寸前になり、日本人全員が生活保護を受けなければならないくらいになってしまった場合、裁判所が認めたからといって仮の義務付けから、特定人に対する年金給付をし続けなければならないとすると、あまりに格差が生じ不公平になってしまいます。

このような緊急事態には、特定人に対する年金給付をやめてまで、国民全体のために使わなければならないでしょう。

そうした緊急かつ重大な影響をもたらす事情があった場合、これに迅速に対応し、決断できるのは、合議体で結論が出るまで時間がかかる裁判所や国会ではなく、行政のトップである内閣総理大臣なのです。

そして、内閣総理大臣の決断は行政の統一性から行政全体に迅速にいきわたるので、日本経済の破綻が回避される可能性があるのです。

ですから、こうした事態に備えて内閣総理大臣の異議があるのであれば、必ずしも裁判所で認められた国民の権利・自由を侵害するものではなく、むしろ国民全体の利益となりうるのです。

このような例を考えれば、内閣総理大臣の異議は三権分立に反しないといえるのではないでしょうか。

以上の説明から、仮差止・仮義務付けに対しても、執行停止と同様の機能を有するから、内閣総理大臣の異議ができ、準用されているのです(38条3項)。

よって、肢2は正しいのです。

◇ なお、私はイメージするときには必ず極端なものにしています。それは、極端なイメージのほうが脳にしっかり記憶されることが科学的にも証明されているからです。

その際、そのイメージが厳密には法律的に正しくなくてもいいのです。あくまでも記憶のためのイメージですから、大胆な方がいいのです。是非参考にしてみてください。

これからも出題可能性の高い大事な部分の割に、教科書やテキストなどではあまり詳細にかかれていないので詳しく説明させていただきました。

次回は残りの肢3と肢5をやります。

今回はここまでで終わります。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。
 

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

抗告訴訟の類型は関係性がヒントに!? 平成18年度 問題18の過去問分析 その1

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。







問題18を分析していきましょう。


過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

 

今回は行政事件訴訟法の中の抗告訴訟について横断的に聞かれています。


この手の問題は、訴訟ごとの定義、趣旨、要件・効果にかかわる問題、
または訴訟の種類についての比較問題などが作りやすいです。


 

そのため、これからも毎年のように出題される可能性が高いので、基本的なところは
しっかり押さえておく必要があります。


 
抗告訴訟は6種類ありますが、単に6種類あると覚えるのではなく、時系列などの関係性をとらえていれば、より記憶に残ります。


 

また、これらの訴訟に関連する制度(執行停止、仮差止、仮義務付け)も
一緒に覚えておくと頭の中が整理されます。


ちょっとしたまとめを作ってみましたので参考にしてみてください。


 

     <事前>                <事後>

差止訴訟(仮差止)          取消訴訟(処分・裁決)  
義務付け訴訟(仮義務付け)   無効確認訴訟
                         不作為の違法確認訴訟
                           執行停止
 

    <原則>                 <例外>

取消訴訟(処分・裁決)         無効確認訴訟
 

    <作為>               <不作為>

取消訴訟(処分・裁決)     不作為の違法確認訴訟
無効確認訴訟          義務付け訴訟(仮義務付け)
差止訴訟(仮差止)
執行停止
 
      <主>                <従>

不作為の違法確認訴訟      
2号義務付け訴訟(仮義務付け)


以上の
関係性をヒントに問題を解いていきましょう。


<肢1>

この問題は条文にある不作為の違法確認訴訟の定義を押さえていれば解けます。


不作為の違法確認訴訟とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分または裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう(行政事件訴訟法35項)。


この定義からすると、不作為違法確認訴訟は、法令に基づく申請についてのみ認められるのであって、規制権限の不行使についても認められるわけではありません。


よって、肢1は誤りです。


同じく不作為の違法確認訴訟に関連する問題なので、先に肢4を見ていきましょう。


<肢4>

不作為の違法確認訴訟とは、上記の定義にあったように法令に基づいて申請したにもかかわらず、行政庁が何ら対応せずに放置した場合に、その何もしない不作為に対して違法の確認を求めるものです。


いわば、して欲しいのに何もしてくれないという行政庁の不作為についての法令違反の確認を求める訴訟です。


これに対して、上記のまとめの作為・不作為にあるように、例えば取消訴訟というのは、

いわば、して欲しくない処分をした行政庁の作為についての取消を求める訴訟です。


つまり、取消訴訟と不作為の違法確認訴訟は、行政庁の作為と不作為、もっと簡潔にいうと、動と静あるいは表と裏の関係にあるのです。


まずこの関係性を押さえてください。


 

次に、不作為の違法確認訴訟と2号義務付け訴訟との関係を説明します。


 

上記のとおり、不作為の違法確認訴訟は、文字通り、裁判所によって、行政庁の不作為についての違法性を確認してもらうものですが、違法性を確認したところで、行政庁に処分を命じることまではできません。


 

行政庁が重い腰をあげて、裁判所が違法だというなら対応しましょうと何らかの対応をすぐにしてくれればいいのですが、行政庁が、我々も多忙でなかなかすぐにはできないので、
もう少し待ってくださいとまた先延ばしにされ、長期間待たされる可能性もあるのです。


 

これでは、今までの不作為の違法性を確認したところで、早急に対応してもらいたい申請者にとって非常に困ることです。


 

そこで、16年改正によって、義務付け訴訟が明文化されたのです(36項 37条の2)。


 

つまり、不作為の違法を確認すると同時に、行政庁にすぐに対応しなさいと義務付けることができるようになったのです。


 

この義務付け訴訟には2種類あって、不作為の違法確認訴訟と同時に提起できるのは、2号義務付け訴訟といわれています(362号)。


 

そして、この2号義務付け訴訟は単独ではできません。


なぜなら、行政庁の不作為の違法性をまず確認しなければ、行政庁にすぐに対応しなさいと義務付けることができないからです。


 

いわば、放置していることが悪いと言われて初めて、早くやってあげなさいと行政庁のお尻を叩けるのであって、放置していることが悪いかどうかわからない段階では、そうはいえません。


 

ですから、2号義務付け訴訟は不作為の違法確認訴訟と同時に提起しなければならないのです。


 

逆に、処分によっては、義務付けをすべきかどうか裁判所がその判断に迷う場合もありますので、とりあえず不作為の違法確認訴訟の結論を先に出して、早期に紛争の解決をしておくという場合もあります。


 

ですから、不作為の違法確認訴訟は単独で提起できるのです。


 

そうすると、いわば2号義務付け訴訟は不作為の違法確認訴訟に付き従うようなものですから、両者には主・従の関係があるといえるのです。


 

民法で出て来た主物・従物の関係や担保物権の付従性によく似ていますね。


 

ですから、不作為違法確認訴訟または義務付け訴訟のいずれかを選択して提起することはできないのです。


 

よって、肢4は誤りです。


 

次回は義務付け訴訟にも関連する仮義務付け・仮差止訴訟および執行停止に関わる

肢2をみていきましょう。


 

今回はここまでで終わりにします。



テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

行政庁から裁判所へのバトンタッチ!? 平成18年度 問題17の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。




NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。








今回は取消訴訟と審査請求の関係です。




つまり、審査をする裁判所と行政庁の関係です。



問題17を分析していきましょう。


過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

前回の問題で行政庁と裁判所には、それぞれの役割が異なる役割分担の関係があると書きました。



役割分担の関係といっても、
①両者がそれぞれ無関係に独立に審理する場合(自由選択主義)と、
②行政庁から裁判所へのバトンタッチする場合(審査請求前置主義)があるのです。



①と②の関係は、①が原則で②が例外であると、まず理解してください。


今回の問題は、この2つの場合について聞いているのです。


①については、肢3、2、5 ②については、肢4、1です。



①と②の場合にわけて問題を解説していきましょう。



①両者がそれぞれ無関係に独立に審理する場合(自由選択主義)




<肢3>



行政庁と裁判所は、それぞれの役割が異なりますから、被処分者は行政庁に申し立てることも、または裁判所に訴えの提起をすることもできるのが原則です。



そして、訴え提起がされた場合、裁判所は行政庁の審理の影響を受けずに独自に審理するのが原則です。



ですから、取消訴訟の処分性の要件、すなわち直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められる
処分に該当すれば、取消訴訟を提起できます。



そうすると、審査請求ができる処分について、それが、取消訴訟の処分性の要件を満たせば、それについての裁決を経ることなく、審査請求とは無関係に独立に取消訴訟を提起することができます。



よって、肢3は誤りです。






<肢2>



処分には、原処分庁による処分の他に、その処分に対する審査請求をして裁決が出た場合の裁決、つまり審査庁による処分があります。



そして、前述したとおり、取消訴訟の処分性の要件を満たせば、取消訴訟を提起することができると書きました。



そうすると、前述したとおり、裁判所は独自に審理するのが原則ですから、この原処分庁による処分と審査庁による処分(裁決)がある場合に、どちらも取消訴訟の処分性の要件を満たしているので、被処分者はどちらであっても取消訴訟を提起することができます。



このように、処分取消の訴えと裁決取消の訴えとが区別されているので、原則として原処分庁による処分の違法性を争う場合は処分取消の訴えにより、裁決自体のやり直しを求める場合は裁決取消の訴えによらなければならないのです。



逆に言うと、処分の違法性を争う場合に裁決取消の訴えを提起しても、審理対象が裁決自体のやり直しではないので、訴えが却下されます。


これを、原処分主義といいます。



そうすると、棄却裁決を受けた場合には、元の処分に対して取消訴訟を提起して争うこともできるし、裁決に対して取消訴訟を提起することも許されるのです。


よって、肢2は誤りです。





<肢5>



前述したとおり、被処分者は行政庁に申し立てることも、または裁判所に訴えの提起をすることもできるのが原則です。



そうすると、例えば、被処分者がとりあえず先に審査請求をし、その裁決の結果によっては、次に取消訴訟をしようと予定している場合があるとしましょう。



この場合、出訴期間の開始が処分のあったことを知った日からとなると、裁決が出るまでの期間が長ければ、被処分者は裁決の結果をまたずに、取消訴訟をすることを事実上強制されることになります。



これでは、被処分者がどちらに申し立てまたは訴えの提起をしてもよいとする自由選択主義の意味がなくなります。



そこで、自由選択主義のもと、先に審査請求をした場合は、出訴期間の開始が裁決のあったことを知った日からとなるのです(143項)。


よって、肢5は誤りです。


②行政庁から裁判所へのバトンタッチする場合(審査請求前置主義)




<肢4>



両者がそれぞれ無関係に独立に審理する場合が原則ですが、審理対象がより専門的・技術的なものであると、裁判所よりもむしろ行政庁の方が詳しい場合があります。



このような場合は、役割分担の関係から、行政庁の審理を先にやることのほうが実質的に個人の人権保障に寄与するのです。



前回の記事で書いたように、行政も裁判所と同様に個人の人権保障を守る機関であるのは共通しています。



そこで、審理対象がより専門的・技術的なものなどである場合、審査請求前置主義が採用されています。


いわば、行政庁から裁判所へのバトンタッチといえます。



そうすると、審査請求が不適法として却下されたときは、審査請求してないことになるのが原則です。



しかし、適法に審査請求がなされたにも関わらず、審査庁が誤って不適法として却下したときは、審査請求したものとして、行政庁から裁判所へのバトンタッチすることができるのです。



よって、肢4は誤りです。






<肢1>



審査請求前置主義が採用されていたとしても、行政庁から裁判所へのバトンタッチによって、裁判所に審理対象が移れば、前述したとおり、裁判所は独自に審理するのが原則です。



それゆえ、被処分者は処分取消の訴えと裁決取消の訴えどちらであっても取消訴訟を提起することができます。



しかし、裁判所では判断しにくい、より高度に専門的・技術的分野についての処分については、役割分担の関係から、行政庁で慎重かつ適正にじっくりと審理をやることのほうが実質的に個人の人権保障に寄与するのです。



この場合、審査請求前置主義を前提に、個別法で審理対象は裁決自体のやり直しを求めることが優先され、裁決取消の訴えによらなければならないのです。



これを裁決主義といいます。



この場合は、裁決取消の訴えの中で、あくまでも審理対象は裁決自体のやり直しですが、その裁決の前提となった元の処分の違法性を主張することもできます。


よって肢1は正しいです。


このように、役割分担の中でも、自由選択主義と審査請求前置主義があることをしっかり理解してください。



今回はこの辺りで終わります。



テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

行政法も役割分担!? 平成18年度 問題16の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。




NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。






◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。

 
 





問題16を分析していきましょう。


過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html



今回の問題は、行政不服審査法と行政事件訴訟法との比較問題です。


テキストなどには表になっていたりしますが、丸暗記するよりも、役割分担の視点で理解すればより記憶に残りやすいと思います。



行政不服審査法では、審査するのは行政庁
行政事件訴訟法では、審査するのは裁判所

違憲審査基準のところでも役割分担について書きましたが、
行政庁と裁判所ではその役割が違います。



具体的なところは問題を解きながら説明していきます。



この問題がどういう構成になっているかというと、
1は、審級制度について
肢3は、出訴期間について
肢2、4、5は審理の対象についてです。



<肢1>



取消訴訟も裁判ですから、三審制をとっています。


つまり、慎重かつ適正に判断するために三度の審理が認められています。


原則的に地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所となっています。



◇ なお、審級制度は憲法の条文にはなかったように、憲法上の要請ではなく法律で定められたものですから、法律改正によって変わりうるものです。



これに対して、円滑・迅速な行政サービスの実現のため、行政庁に対する異議申し立てと審査請求は相互に別個独立の制度であって、どちらか一方しか選択できないのが原則です。


ですから審級制度をとっていません。



審査請求に対して、再審査請求ができる場合もありますが、法律などで再審査請求ができる旨が定められている場合など極めて限定されています。



これは、役割分担の視点から、審査請求に対して不服がある場合は、第三者的立場で冷静に判断してくれる裁判所で審査するほうがより適切であるということなのです。



よって、肢1は誤りです。



<肢3>



出訴期間についてですが、なぜ取消訴訟の方が長いかわかりますか?
これも役割分担の視点から説明できます。



行政は、円滑・迅速な行政サービスの実現を使命としていますから、それに対する不服申し立ても、簡易かつ迅速になされることが要求されています。



ですから、異議申し立てと審査請求は処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内と出訴期間が比較的短期間になっているのです。



これに対して、裁判所は適正かつ公平に国民の権利・自由について審理する機関ですから、処分または裁決があったことを知った日から6ヶ月以内と出訴期間が行政に対する不服申し立てに比較して3倍程度の長期間なっているのです。



よって、肢3は誤りです。



◇ なお、行政不服審査法と行政事件訴訟法のどちらも「知った日」となっているのは、行政も裁判所も個人の人権保障を守る機関であるのは共通しているので、申立人が知らないうちに出訴期間が終了しないように配慮しているのです。



ただし、行政不服審査法と行政事件訴訟法のどちらも処分の日から1年経過した場合は、
もはや争えないとしています。



これは、1年も不服申し立てや訴えがなければ、処分された者も納得しているものと考えられるし、また、1年も処分後の状態が継続しているのならば、その状態を維持するほうを尊重し、紛争の蒸し返しを避けるほうが望ましいからです。



<肢2>



審理の対象についてです。


行政不服審査法は、原則として行政処分ならば何でも不服申し立てることができるという概括主義をとっています。



しかし、役割分担の視点から、行政で判断するよりも、国会や裁判所などの他の機関で審理したほうがよいものについては、その対象からはずれています(41111号)。



例えば、本問のような刑務所の被収容者に関する処分も行政処分ですが(21項)、収容に関する処分は、人権たる人身の自由に直接かかわる処分です。



ですから、役割分担の視点から、当事者たる行政庁の判断にまかせると偏見などの恣意的な判断になるおそれがあるので、冷静かつ公平な裁判所の判断にまかせたほうがより適切なので除外されているのです。



411号は国会の自治に任せるべきであるし、2号は裁判所の判断に任せるべきであるということが条文の中身からわかります。



このように、役割分担の視点があれば、41111号を全て丸暗記する必要はありません。

一度条文を読めば、行政よりも国会や裁判所などの他の機関で審理したほうがよいものばかりだと予測がつくと思います。



また、問題文には刑務所の被収容者に関する処分については、取消訴訟でも争うことはできない。」とありますが、行政処分なのに行政でも判断できず、国民の権利救済についての最後の砦たる裁判所でも判断できないとすれば、個人の人権保障の観点から妥当でありません。



ですから、個人の人権保障の観点から取消訴訟の対象となるのです。



よって、肢2は誤りです。



<肢4>



まず、事実行為も行政処分であって(21項)、適用除外(41項)でもありませんから、審査対象になります。



これに対して行政指導は、問題12で見たように、行政需要の変化に機敏に反応し、法律の不備を補いながら臨機応変に円滑・迅速な行政サービスを実現する役割が行政に与えられているためになされているものです。



そして、行政指導はあくまでも国民の任意の協力を得るものですから、法的拘束力はなく、法律の根拠も不要です。



それゆえ、行政指導は、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められる処分に該当しません。



ですから、処分に該当しない以上、行政指導は不服申し立ての対象になりません。



よって、肢4は誤りです。




<肢5>




憲法の司法権の分野で勉強されたと思いますが、裁判所は法律を解釈・適用して当事者の紛争を解決する役割を与えられた機関ですから、法律の適法・違法についてのみ判断するのです。





ですから、取消訴訟においては処分の適法性のみを争うことができるのです。


これに対して、行政庁には、円滑・迅速な行政サービスを実現する役割が与えられているので、適法であっても妥当か不当かまで、より国民のニーズに応えられるような判断までできるのです。



ですから、行政不服申立てにおいては処分の適法性のみならず、処分の不当性をも争うことができる。



よって、肢5は正しいのです。



このように、役割分担の視点は、行政法でも利用できる重要な視点です。


行政法が憲法の応用法であることが少しでもお分かりいただけたと思います。



今回はこの辺りで終わりにします。




テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

執行不停止の原則 平成18年度 問題15の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


問題15を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html


執行不停止の原則は行政不服審査法と行政事件訴訟法で出てきますが、
今回は行政不服審査法の中の審査請求における執行不停止の原則に関する問題です。

◇ なお、行政事件訴訟法の執行不停止の原則とのが重要なのでテキストなどでしっかり整理しておくようにしておいてください。
今年度の試験では行政事件訴訟法の執行不停止の原則がでるかもしれません。

執行不停止の原則も「個人の人権保障」と「円滑・迅速な行政サービスの実現」
バランスの視点があると理解しやすいです。

円滑・迅速な行政サービスの実現のためには、処分に対して審査請求がされても、
いったん始まった行政の執行を停止させず継続させたほうが望ましいので
執行不停止の原則が採用されているのです。

しかし、執行を継続することが審査請求人に対して不当な不利益になる場合にも、
執行が停止されないのは、個人の人権保障の観点から妥当でない。
そこで、一定の要件のもと、執行の停止がなされるのです。

<肢1>
この問題のポイントは、
「~平成16年の法改正により、「回復困難な損害」で足りることとされた。」の部分です。

「回復困難な損害」がなければ執行停止されないなら、回復困難な損害というのはめったにあることではないので、事実上執行停止は絵に描いたもちで執行不停止の原則が貫かれてしまうことになります。

これでは、国民の権利・自由を不当に不利益にさえることとなり、個人の人権保障の観点から妥当でありません。

そこで、平成16年の法改正により「重大な損害」で足りるとされました。

要するに日本では年々人権意識が高まってきているので、個人の人権保障を守る方向で考えれば、正解できますね。

そもそも「重大な損害」より程度が大きい「回復困難な損害」でりるという日本語もおかしいですから、簡単な肢だと思います。

よって、肢1は誤りです。

<肢2>
この問題のポイントは、
「審査庁は、「本案について理由がないとみえるとき」には、執行停止をしない~」の部分です。

上記に個人の人権保障の観点から、一定の要件のもと、執行の停止がなされると書きました。
しかし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき又は本案について理由がないとみえるとき、さらに例外的に執行停止の必要はないのです(34条4項)。

この点は、憲法における 人権 VS 公共の福祉 の関係に似ていますね。

審査庁が本案について理由がないとみえるならば、請求が棄却されることになりますから(40条2項)、執行停止する必要がないですね。

よって、肢2は正しいです。

<肢3、肢4>
肢3は、「仮の義務付け」と「仮の差止め」の制度の部分、
肢4は、内閣総理大臣の異議の部分について行政事件訴訟法の話と混同しています。

内閣総理大臣がでてくるのは、憲法で勉強した三権分立の一角を担う裁判所との抑制・均衡の場面ですので間違えないようにしてください。

よって、肢3、肢4ともに誤りです。

<肢5>
この問題のポイントは、
「処分庁の上級庁である審査庁は、~職権により執行停止をすることは許されない。」の部分です。

処分庁の上級庁である審査庁は、処分庁の監督機関としての性質を有していますから、職権で執行停止することができます。

これに対して、行政事件訴訟法の執行停止については、裁判所は処分庁の監督機関ではなく、第三者的立場で公平かつ客観的に判断するので職権で執行停止をすることはできません。

この違いを押さえておいてください。


よって、肢5は誤りです。


問題14、15のような問題はサクサク解けるようにしてください。

今回はこの辺りで終わります。

役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。


 

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

文言のおきかえに騙されるな!? 平成18年度 問題14の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


順番からいくと問題13をやるべきなのですが、意見公募手続きは改正されたばかりの手続きなので、後に検討することにして、先に従来からよく出題されている行政不服審査法の問題から検討することにします。

問題14を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

この問題は条文の文言をそのまま利用した表現ではないですが、
条文の文言を別の表現におきかえて出題しているので、
条文知識の正確性が問われる問題です。

単純な知識問題ですので、これは条文をしっかり読み込んで覚えていないと解答するのは難しいです。

◇ なお、行政不服審査法は毎年出題される重要な分野ですので、条文を含め、テキストや過去問でしっかり勉強してください。
勉強すれば満点とれる箇所でもありますので得意分野にしてください。

<肢1>
この問題のポイントは、
「~審査請求人が求めたときは、口頭による審査請求も認めなければならない。」の部分です。

行政不服審査法9条1項の以下のオレンジ色の部分をおきかえています。

「この法律に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。」

よって、肢1は誤りです。

<肢2>
この問題のポイントは、
「~とくに審査庁が必要と認めた場合に限り、審査請求人は、口頭で意見を述べることができる。」の部分です。

行政不服審査法25条1項の以下のオレンジ色の部分をおきかえています。

「審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立があつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。」

よって、肢2は誤りです。

<肢3>
この問題のポイントは、
「~審査請求書の副本を処分庁に送付して、その反論書の提出を求めることができる。」の部分です。

行政不服審査法22条1項の弁明書を反論書におきかえています。

「審査庁は、審査請求を受理したときは、審査請求書の副本又は審査請求録取書の写しを処分庁に送付し、相当の期間を定めて、弁明書の提出を求めることができる。」

上級行政庁に審査請求するのは処分を受けた審査請求人であって、
それに対して処分庁が弁明書を提出して弁明をするのです。
今度はその弁明に対して審査請求人が反論書を提出して反論するのです。

この手続きの流を押さえてください。

よって肢3は誤りです。

<肢4>
ほとんど行政不服審査法21条と同じです。

◇ なお、直ちに却下しないのは、補正させた方が上級行政庁にとっても、審査請求人にとっても二度手間にならず、円滑・迅速な行政サービスの実現に寄与するからです。

よって肢4は正しいです。

<肢5>
この問題のポイントは、
「~審査請求を認容する決定についても理由を付さなければならない。」の部分です。

行政不服審査法41条1項の裁決を決定におきかえています。
裁決は、書面で行ない、かつ、理由を附し、審査庁がこれに記名押印をしなければならない。」

決定は異議申し立てに対する判断です。

よって肢5は誤りです。

以上のように文言おきかえ問題については、出題意図が条文知識の正確性なので、
条文をしっかり読み込む復習が必要です。

このような条文知識の正確性が要求される単純知識問題があるために、
それ以外の視点で解けるような問題は、条文の丸暗記ではなく、できるだけ
必要最小限の知識で解けるようにしておく必要があるのです。

今回はこの辺りで終わります。

役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。


 

行政指導 平成18年度 問題12の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。




◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。
 
 


問題12を分析していきましょう。




過去問がない方は下記のリンクで参照してください。


http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

今回は行政指導に関する問題です。


今回も前回の「個人の人権保障」と「円滑・迅速な行政サービスの実現」
バランスの視点があると理解しやすいです。





<肢1>




この問題のポイントは、
「行政指導に携わる者は、その相手方に対し、当該行政指導の趣旨、内容並びに責任者を明確に示さなければならない。」の部分です。


本来、法律による行政を徹底するためには、あらゆる行政活動が全て法律で規定されていることが望ましいのですが、それは不可能なことです。


また、法律の制定を待っていたのでは、行政需要の変化に対応しきれず、円滑・迅速な行政サービスの実現が図れないので国民の期待にも応えられません。


そこで、こうした行政需要の変化に機敏に反応し、法律の不備を補いながら臨機応変に円滑・迅速な行政サービスを実現するために行政指導がなされているのです。


しかし、行政指導は法律の根拠なく行政側の任意の判断で行われるために、行き過ぎた指導がなされることで国民の権利自由が不当に害される場合もあります。


そのため、個人の人権保障の観点から、行政指導をする際には、相手方に対して、行政指導の存在、内容および責任の所在を明確にすることが要求されています(行手法35条1項)。


よって、肢1は正しいです。


◇ なお、平成13年度問題14肢4に全く同じ問題がでています。





<肢3>




この問題のポイントは、
「~行政機関は相手方に対し、書面で行政指導をしなければならない。」の部分です。


前述の通り、円滑・迅速な行政サービスを実現するために行政指導がなされているのですから、臨機応変に処理できるように口頭でも行政指導ができるのです。


よって、肢3は誤りです。





<肢5>




この問題のポイントは、
「行政指導の相手方以外の利害関係人に対しては~」の部分です。


前述の通り、円滑・迅速な行政サービスを実現するために行政指導がなされているのですから、利害関係人が行政指導に関与する場面は想定されていません。


よって、肢5は正しいです。





<肢4>




この問題のポイントは、
すでに書面で相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導をする~」の部分です。


前述の通り、個人の人権保障の観点から、行政指導をする際には、相手方に対して、行政指導の存在、内容および責任の所在を明確にすることが要求されていますから、口頭よりも客観的な証拠として、相手方に書面の交付請求権が認められています(35条2項)。


そうすると、相手方から書面の交付請求があった場合は、特別の支障がない限り、行政側は書面の交付をしなければならないのが原則です。


しかし、すでに書面で相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導をする場合は、
すでに相手方は書面で行政指導の存在、内容および責任の所在を明確にされています。


それゆえ、改めて相手方からの書面の交付請求に応じるのは、二度手間であり、円滑・迅速な行政サービスを実現が妨げられる恐れがあります。


そこで、すでに書面で相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導をする場合は、例外的に書面の交付請求に応じる必要はないのです(35条3項2号)。


よって、肢4は正しいのです。





<肢2>




この問題のポイントは、
「同一の行政目的を実現するために複数の者に対し行政指導をするときには、行政機関はあらかじめ行政指導の共通する内容を定め、それを公表しなければならない」の部分です。


同一の行政目的を実現するために複数の者に対し行政指導をするときには、円滑・迅速な行政サービスを実現しつつ、個人の人権保障を守るために、行政指導の明確性、公平性、透明性を図らなければなりません。


それゆえ、行政機関はあらかじめ行政指導の共通する内容を定め、それを公表しなければならないのが原則です(36条)。


よって、肢2は正しいです。


◇ なお、肢2の問題文には、「行政上特別の支障がない限り」という文言がありません。


そのため、勉強が進んでいらっしゃる方の中には、誤りと思われた方もいるかもしれません。


平成17年度問9肢エをしっかりやっていると引っかかるかもしれません。


こういう問題の場合は、原則を聞いているのか、例外まで含めて聞いているのか見極めなければなりません。


ですから、まず原則的には正しいと判断した上で、例外まで含めて聞いているのかを確認するために、解答は留保したままで、他の肢を検討してから正誤を判断するといいです。


本問では、肢3が明らかに誤りなので、肢2は原則を聞いている問題ととらえるべきです。


私も1年目のときはこの手の肢によく引っかかりましたので、気をつけるようにしてください。


今回はこの辺りで終わります。


テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

行政サービスはスピードが命!? 平成18年度 問題11の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。







行政法は憲法の応用だと以前の記事に書きました。


つまり、憲法は国家権力の濫用を防ぎ、国民の権利・自由を保障するためにあります。


国民の人権を保障する目的で、権力が集中しないように三権分立という相互に抑制・均衡を保つ制度を手段として取り入れたのです。


行政法も、この三権分立のうち行政作用に着目して、国民の人権を保障することが目的なのは憲法と共通しています。


しかし、行政を担う国・地方公共団体が、個人の人権保障を守るのと同時に、国民全体に対して行政サービスが円滑・迅速に行き届くようにすることも重要な使命なのです。


例えば、海外旅行をしたことがある方なら、イメージしやすいと思いますが、出入国審査や税関審査では、沢山の人が列を作って審査を待っていますね。


審査官がゆっくりのんびり審査をしていては、旅行客にとって大変迷惑になりますから、
審査官は手早く事務処理するように努めているのです。


このように、国民全体の利益を考えると行政サービスはスピードが命なのです。


もっとも、いくらスピードが大事といえども、人権を無視しては憲法で人権保障した意味がなくなってしまいます。


そこで、「個人の人権保障」と「円滑・迅速な行政サービスの実現」のバランスをとるために行政法があるのです。


この、「個人の人権保障」 VS 「円滑・迅速な行政サービスの実現」 の視点をまず押さえてください。


以上の視点を前提に
問題11を分析していきましょう。


過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/182mondai.html

今回は聴聞手続きと弁明手続きに関する問題です。


両手続きの意義とその違いを正確に理解しているかが出題意図です。


◇ なお、両手続きの意義を簡単に説明すると、両手続きが与えられたのは、個人の人権保障の観点からです。


つまり、行政庁が不利益処分をしようとする際に、行政庁の恣意・偏見・独断によって誤った処分がなされて、個人の自由・財産などに不当な不利益を与えてしまう場合もあります。


これでは、個人の人権保障が守られません。


そこで、処分されようとしている相手方に対して、その不利益処分に先立って弁明の機会を提供し、十分な防御権を行使させるために両手続きが与えられたのです。


両手続きの意義がわかったところで、問題を解説していきましょう。


<肢1>



この問題のポイントは、
「~聴聞は、口頭かつ公開の審理によるのが原則である。」の部分です。


確かに、聴聞手続きが個人の人権保障の観点から与えられたことからすると、
裁判と同じように、口頭かつ公開の審理を原則としたほうが良さそうです。


しかし、円滑・迅速な行政サービスの実現の観点からすると、公開の審理はその行政サービスの実現を停滞させてしまうおそれがあります。


例えば、一般国民を傍聴させるためには、傍聴できるだけの空間と傍聴席を用意し、傍聴人の手荷物検査などもしなければなりませんから、行政の事務処理に負担がかかるのです。


また、聴聞手続きの結果が不服ならば、改めて公開の裁判で争う道(行政事件訴訟)もあります。


ですから、聴聞手続きの段階で公開の審理まで要求しなくてもよいので、非公開が原則となっているのです(行政手続法20条6項)。


よって、肢1は誤りです。


◇ なお、裁判の公開(憲法82条)が原則なのは、裁判が紛争の最終判断であるので、裁判手続きが公正かつ透明でなければならず、一般国民によって監視される必要があるからです。


<肢2>



この問題のポイントは、
「聴聞においては、~利害関係人にも意見を述べることが認められる~弁明の機会は、処分の相手方のみに与えられる。」の部分です。


これは、聴聞手続きと弁明手続きの違いについて聞いている問題です。


聴聞手続きが、許認可の取消しなど重大な不利益処分に対して与えられるのに対して、弁明手続きは、それ以外の不利益処分に対して与えられるものです。


そうすると、聴聞手続きの方が個人の人権保障の観点から、より慎重になされなければならないのに対して、弁明手続きの方はそこまで要求されません。


また、不利益処分のほとんどが弁明手続きよって処理されているのが現状ですから、利害関係人も参加できるとなると、それだけ事務処理が増え、円滑・迅速な行政サービスの実現を停滞させてしまうおそれがあります。


そこで、弁明手続きには、不利益処分の相手方のみ参加でき、利害関係人は参加できないのです(行手法31条、17条)。


よって、肢2は正しいです。


<肢3>



この問題のポイントは、
「~弁明の機会は、申請者の重大な利益に関わる許認可等を拒否する処分をなす場合にも与えられる。」の部分です。


この問題は、申請に対する処分について理解してなければ解けません。


許認可などの申請がなされた場合、円滑・迅速な行政サービスの実現の観点から、行政庁はその申請を迅速かつ客観的に審査し、法定の拒否事由にあたらない限り、許認可を与えることになっています(行手法7条)。


裏を返せば、申請を拒否する処分をなす場合にも、円滑・迅速な行政サービスの実現が要請されるのです。


それにもかかわらず、申請を拒否する処分に対して弁明の機会を与えると、円滑・迅速な行政サービスの実現を停滞させてしまうおそれがあります。


また、弁明の機会を与えなくとも、申請を拒否する処分の際には、理由を示す必要があり、処分に慎重を期すことで、個人の人権保障に配慮しているのです。


ですから、申請を拒否する処分は行政手続法上の不利益処分に該当しないとされているのです(行手法2条4号ロ)。


不利益処分に該当しない以上、弁明の機会は与えらないのです。


よって、肢3は誤りです。


<肢4>



この問題のポイントは、
「聴聞を経てなされた不利益処分については、行政不服審査法による異議申立審査請求をすることはできないが~」の部分です。


聴聞手続きは、不利益処分に対する事前の救済手続きであり、異議申立てや審査請求は事後の救済手続きです。


そして、聴聞手続きでは、裁判と同じように主宰者が判断する三面構造をとっており、口頭も含めた陳述で審査されるのに対し、異議申立てでは、当該処分庁自身が判断する二面構造をとっており、原則として書面で審理されるのです。


つまり、聴聞手続きは、異議申立てより保護が厚くなっており、当該処分庁に対するものである点で異議申立てと共通しています。


ですから、聴聞手続きは、いわば異議申立て以上の事前の救済手続きでありますから、改めて異議申立てをすることは、二度手間であって円滑・迅速な行政サービスの実現を停滞させてしまうおそれがあります。


したがって、聴聞手続きを行ったら、円滑・迅速な行政サービスの実現の観点から、異議申立てはできないことになっているのです。


これに対して、審査請求では、聴聞手続きとは異なり、直近の上級行政庁が判断しますから、個人の人権保障の観点からすると、改めて不服申し立ての道を確保すべきなのです。


ですから、聴聞手続きを行っても、審査請求はできるのです。


よって、肢4は誤りです。


<肢5>



この問題のポイントは、
「聴聞の相手方については、聴聞の通知があったときから処分がなされるまでの、関係書類の閲覧を求める権利が認められる~」の部分です。


文書の閲覧が認められるのは、聴聞手続きで弁明するために与えられたものですから、
聴聞手続きが終了した以上は文書の閲覧を認める必要はないです。


聴聞手続きが終了しても、なお処分がなされるまでの間、文書の閲覧が認められるとするのは、それだけ事務処理が増え、円滑・迅速な行政サービスの実現を停滞させてしまうおそれがあります。


それゆえ、円滑・迅速な行政サービスの実現の観点から、文書の閲覧が認められるのは、
聴聞手続きが終結するときまでとされているのです(行手法18条)。


よって、肢5は誤りです。


以上のように「個人の人権保障」と「円滑・迅速な行政サービスの実現」のバランスの視点から考えると、個別に条文を丸暗記するよりも、聴聞手続きと弁明手続きの意義およびその違いをより理解しやすいものとなるのです。


今回はこの辺りで終わります。



テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

職権取消しと撤回 平成18年度 問題10の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


問10を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html

この問題は、
行政行為の職権取消しと撤回の比較問題です。
比較問題といっても、難易度はあまり高くないので、
解答はすぐ出せると思います。

まず、両者の定義効果を押さえましょう。

行政行為の職権取消とは、違法な行政行為の効力を、原則として行政行為がなされた時点まで法律関係を元に戻すことをいう。
職権取消の効果は遡及効です。
 
行政行為の撤回とは、成立時には適法であった行政行為を、その後に生じた事情を理由として、将来に向かってその効力を失わせることをいう。

撤回の効果は将来効です。

実体法上は撤回ではなく「取消し」という言葉を使いますが、全く意味が違うので注意してください、

まずここまでで解答してみましょう。

<肢1>
この問題のポイントは、
「行政行為の撤回は、処分庁が、当該行政行為が違法になされたことを理由にその効力を消滅させる行為であるが~」の部分です。

上記の撤回の定義からすると、「違法になされたことを理由」という部分で誤りだとわかりますね。

よって、肢1は誤りです。

<肢2>
この問題のポイントは、
「旅館業法8条が定める許可の取消は、営業者の行為の違法性を理由とするものであるから~」の部分です。

旅館業法8条?と思いましたが、
(参考)にありますから、知らなくてよいという意図ですね。

(参考)にちょっと言葉を加えてみます。(オレンジ色部分が加えた部分です。)

旅館業法8条「都道府県知事は、すでに営業者となっている者が、この法律若しくはこの法律に基づく処分に事後的に違反したとき、又は第三条第二項第三号に該当するに至ったときは、同条第一項の許可を取り消し、又は期間を定めて営業の停止を命ずることができる。(以下略)」
言葉を少し付け加えると余計にわかり安いですね。

旅館業法8条の許可の取消は、上記の注意にもあった撤回の意味で使われていました。

そうすると、肢1と同じように、「違法性を理由」という部分で誤りだとわかりますね。

よって、肢2は誤りです。

<肢3>
この問題のポイントは、
「公務員の懲戒免職処分は、~その責任を追及し、~制裁を課すものであるから、任命行為の職権取消にあたる。」の部分です。

読んで一瞬「うん?」と思いましたが、
まず、懲戒免職処分は、公務員という地位に基づく処分ですから、公務員となったの行為に対する処分ですね。

また、責任追及や制裁ならば、行政行為がなされた時点まで法律関係を元に戻しても意味がないですね。

ですから、上記の職権取消しの定義からすると、責任追及や制裁だから職権取消しになるという因果関係が全く読み取れませんね。

よって、肢3は誤りです。

ここまでの3つは、定義から解答できましたね。
残り2つですが、先に肢5からやりましょう。

<肢5>
この問題のポイントは、
「行政行為の職権取消は、~私人の信頼保護の要請等との比較衡量により制限されることがある。」の部分です。

まず、問題文の「行政行為の職権取消は、行政活動の適法性ないし合目的性の回復を目的とするものである~」の部分は正しいです。

上記の職権取消しの定義からすると、職権取消しによって、行政活動の違法状態が是正されて、その効果が遡及しますから、違法性が全くない状態、つまり、適法性の状態に回復することになるからです。

さて、「私人の信頼保護の要請等との比較衡量により制限される」という部分はどうでしょうか。

確かに、職権取消は、瑕疵ある行政行為の効力を失わせ、適法状態に回復するものですから、法律による行政の原理からすれば、自由にしてもよさそうにも思えます。

しかし、一度行政からOKがでて、それを前提にしばらく行動してきた私人に対して、「やっぱり違法だったから駄目!」といわれて振り出しに戻されたのでは、私人の信頼を裏切ることになりますね。

例えば、ある事業の許認可を受けて、ある私人が事業をしてきたところ、違法性が発見され、職権取消しをされると、その私人は当初から無許可で事業をやってきたことになりますから、不利益を被りますね。

ですから、行政庁が職権取消しを無制約になしうる訳ではないのです。

その際、職権取消しをすべきか、それとも私人の信頼を保護すべきかについて、職権取消しの対象となる行政行為の性質などを考えながら、比較衡量するのです。

何度もでてきている公平のバランスっていうものです。
憲法でも比較衡量の基準というのが出てきたと思いますが、同じようなものです。

ですから、私人の信頼を保護すべき要請が強いときは、職権取消しの要請は一歩後退しますから、制限されうるのです。

よって、肢5は正しいのです。

◇ なお、事業の許認可などを授益的行政行為といいます。
これに対して、不利益処分などを侵害的行政行為といいますから、
テキストなどで確認しておいてください。

また、念のために言っておきますが、法律による行政の原理については、行政法の基本中の基本ですから、他人にしっかり説明できるくらいまで理解しておいてください。

<肢4>
この問題のポイントは、
「行政行為の職権取消は、~個別に法律上の根拠を必要とする。」の部分です。

肢5の問題文にあったように、行政行為の職権取消は、行政活動の適法性ないし合目的性の回復を目的とするものです。

つまり、法律の違反行為を是正して、適法状態に回復するものですから、法律に合致することになりますね。

そして、法律に合致しているということは、すでに法律の根拠を得ているともいえます。
ですから、改めて法律の根拠を得るまでもないといえます。

よって、肢4は誤りです。

定義を知っているだけで、3つも肢が切れますから、難易度は高くないと納得されたと思います。

今回はこの辺りで終わります。

追伸:仕事のため私のブログは明日から2週間ばかり自動更新になります。お昼くらいを予定しています。


ですので、明日から2週間くらいまではなかなかコメントに対する返事がすぐにはできないかもしれませんがご了承ください。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。


 


 

テーマ:行政書士と法律資格 - ジャンル:学校・教育

普段から意識して勉強しよう!

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


過去ログ倉庫&まぐまぐ&質問の仕方については こちら をご覧ください。





<具体的な勉強方法について>

私のブログではある視点出題意図から解く方法を紹介しています。


ある視点や出題の意図となる立法目的や制度趣旨などは、
必ずテキストの冒頭部分にかかれているはずです。


条文の趣旨なども良心的なテキストならば書かれているはずです。


まずはこうした立法目的や制度趣旨などをしっかり押さえて、特定分野の全体像をとらえたうえで、条文の具体的な検討をしていくと、なぜこの条文が規定されたのかがわかるようになります。


これがわかるようになると、条文とその背後にある立法目的や制度趣旨などを利用して問題を解けるようになるのです。


私の場合は、必要な条文以外はほとんど条文の背後にある立法目的や制度趣旨などを利用して問題を解いていました。


これができるようになると、未知の問題にも応用でき、本試験でも焦らなくて済むのです。


これができるようになるためには、とにかくこの問題を解くのに必要最小限の知識は何かについて考えるのです。


そして、木をみて森をみずということにならないように細部に行く前に、自分がどの法律のどの部分をやっているかを意識して勉強してください。


例えば、


民法>総則(第1編)>法律行為(第5章)>代理(第3節)>無権代理人の責任(117条)


というように上位概念>下位概念を意識して勉強してください。


◇ なお、上位概念>下位概念の区別は基本的に条文構成または民法の体系に従っています。


民法は必ずしも条文どおりに体系化されていませんので、民法の体系を知りたい方は、内田貢先生の民法Ⅰにある、「民法の構造と民法典の構成」の部分をご覧ください。



行政書士試験においては、このような学者の本を読み込む必要はないので、図書館等で上記の部分(約15ページ)のみ読めばよいと思います。




もしお持ちのテキストが事実の羅列のようなものでしたら、かなり不適切なものだと思います。


抽象的に話しても、わかりにくい部分もあると思いますので、具体的に私のブログの記事の中で取り上げた問題を使って勉強方法の例を示していきます。


所有権の原始取得に関する問題29を見てください。


過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/183mondai.html

肢2~4までは、
全て添付の中の付合と加工(民法242条~248条 民法第2編第3章第2節)の問題です

これらの問題を解くのに、全て条文を覚えている方は条文の知識で解けるでしょうが、普通は覚えてられないと思います。


そこで、これらの問題を解くのに必要最小限の知識は何かについて考えていきます。


まず付合と加工に至るまでの上位概念・下位概念の段階的な構造を示すと、

民法:民法全体を貫く趣旨=公平のバランス

物権(第2編):排他的権利

所有権(第3章):使用・収益・処分権能の全てを有する→用益物権、担保物権との違い

所有権の原始取得(第2節):対立概念=承継取得

添付(民法242条~248条):趣旨→所有者の異なる2つ以上の物が結合したとき、社会経済上の見地から1個の物とし、結合から生じる不公平を別個に解決するもの
↓     

付合・加工(民法242条、243条、246条など) 

以上の段階的な構造から肢2~4を解くのに必要最小限の知識は何かについて考えていきます。


まず、肢2~4で問われているのは、所有権の帰属についてです。


これが出題の意図です。


そして、これに答えるための最も直接的な知識は個別の条文です。


しかし、民法はただでさえ条文が1000条以上あるのに、よほど重要な条文でない限りいちいち覚えてられません。


次に、個別の条文から抽出した共通点を抽出すると以下の3つになります。


① 任意規定(所有権の帰属は、契約で定めることが出来る=契約自由の原則)
② 主従の区別
③ 物の価格の割合

そして、この共通点に貫かれているのが、上位概念である添付の趣旨=不公平の解決です。

さらに、この添付の趣旨は、最上位概念である民法全体を貫く趣旨=公平のバランスからきています。


つまり、肢2~4を解くのに必要な知識は、


公平のバランス
任意規定
主従の区別
物の価格の割合


の4つです。



しかも、この中の①任意規定を意味する契約自由の原則は、
民法→債権法→債権各論→契約自由の原則というように、
付合・加工に比べて2つも段階が上の所有権の原始取得と同程度の上位概念です。


これらの4つを上位概念・下位概念でさらにまとめると、
公平のバランス→任意規定→主従の区別・物の価格の割合となり、

このうち「公平のバランス」と「任意規定」は民法では当然の知識ですから、
事実上覚えておくべき単語は「主従の区別」と「物の価格の割合」です。


ですから、肢2~4を解くのに必要最小限の知識は、「主従の区別」と「物の価格の割合」の2つです。


ちなみに、肢5の無主物先占は問題29で解説したとおり「公平のバランス」だけで解けます。


以上より、肢2~5の4肢を解くのに必要最小限の知識は、
「主従の区別」と「物の価格の割合」のたったです。


ですから、もし間違った場合は、このたった2つのみ復習しておけばよいのです。


このように、「必要最小限の知識は何か」がわかれば、個別の条文を丸暗記するよりもいかに効率がよいかおわかりいただけたのではないでしょうか。



また勉強方法についてご質問などがあればいつでもお待ちしております。


今回はこの辺りで終わりにします。




役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

直前期をどう過ごすか

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


過去ログ倉庫&まぐまぐ&質問の仕方については こちら をご覧ください。






直前期をどう過ごすかについて、そろそろ私も記事にしようと思っていたところ、
昨日ご質問をいただいたので今回記事にしました。


<模擬試験の利用方法>

この時期になると、そろそろ予備校などで模擬試験が始まっていると思います。


模擬試験をどのように有効活用するかで残りの2ヶ月半の勝負が決まります。


まず、模擬試験と本試験では出題の意図や難易度にかなりのがあります。


模擬試験は、あくまでも今の勉強の進み具合の確認程度に思ってください。


あまり、模擬試験で深く勉強して慣れてしまうと、本試験の出題の意図から遠ざかり、本試験で点数がとれなくなってしまいます。


私も、1年目は模擬試験や予想問題集のやりすぎで、模擬試験で点数がとれるようになりましたが、本試験では合格点をとれませんでした。


ですから、模擬試験で点数をとれなかったとしても、本試験で合格点をとれないことにはなりません。


また、模擬試験の点数は全く気にする必要はないです。


私が2回目で合格したとき、直前の模試で合格点を下回っていたこともありました。


しかし、過去問の分析をしっかりやっていたために、本試験では相当
上位で合格したと思っています。


そして、模擬試験や予想問題集を中心に勉強すると、覚えなければならない量が沢山あるような錯覚をしてしまいます。


模擬試験や予想問題集は、過去問で出題されていない分野も網羅的に扱うので、テキストや教科書にでてくる細かい知識まで聞いてきます。


細かい知識が増えると、逆にどんどん基本的な知識が頭から抜け落ちてきますので、知っていなければならない基本的知識と細かい知識との区別が自分でできなくなってきます。


頭に入っている知識が全部重要なものに思えてきてしまうからです。


このような勉強方法は知識の量の割に、本試験での点数が伸び悩むものなので非効率的なのです。


ですから、逆に少ない基本的な知識でどのように問題を解くかがとても重要になってきて、その辺のところを私のブログでは扱っているのです。


細かい知識を増やしていく勉強は、百害あって一利なしです。


また、予備校などの模擬試験では、正答率を気にしてください。


正答率が50%未満のものは基本的に復習しなくていいです。


半分以上の受験生ができない問題を得意になる必要はないですし、
時間の無駄です。


まず、正答率が70%以上の問題を復習して、時間が許す限り、50%以上の問題を復習してください。


合格レベルにある人ならば正答率が70%以上の問題をほとんど間違えません。


ですから、合格レベルにある人に追いつくようにまずは正答率が70%以上の問題を復習するのです。


そして、模擬試験を復習するとき、私のブログでも重要視している
出題形式にも着目してください。


たいてい正答率が高いのは組合せ問題であり、正答率が低いのは個数問題です。


仮に、正答率が低い組合せ問題があった場合、それは内容が難しいとわかります。


また、正答率が高い個数問題があった場合、逆に簡単な問題だとわかります。



市販の模擬試験集についてですが、
正答率がでてないものが多いでしょうから、正直あまりお勧めしません。


正答率がわからないと誰もできないような難易度が高い問題まで全て復習することになる可能性もあり、余計な知識が増えるので非効率的なやり方だと思います。


今の時期は、とにかく過去問を中心に勉強して、まず過去問は9割以上できるようにしておくことが大事です。


(なお、当然のことですが、試験改正後に出題されなくなった範囲の問題はやる必要はありません。)

模擬試験は結果を気にせず、本試験までのモチベーション維持、あるいは、知識の確認のためのペースメーカーとして利用されるといいと思います。



★ 以前この続きにあった具体的な勉強方法については以下の記事に分割して掲載いたしましたのでご了承ください。
http://sakuradarimuseo07.blog110.fc2.com/blog-entry-190.html


テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

絶対に間違ってはいけない問題 平成18年度 問9の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


問9を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html

今回は、行政機関についての問題です。
行政機関についてはどのテキストにも書かれていると思います。
行政法を勉強する上で必要な基本的知識です。
今回の問題は、非常に難易度が低いので、消去法を使うまでもありません。
10秒くらいで解答は肢3と出るでしょう。
合格者は絶対に間違わない問題です。

もし前回の問題で、判例の知識があって正解できて、
今回の問題で間違った方がいらっしゃるならば、
その方は勉強の仕方が合格する人と明らかにズレ
ています。

すぐにでも勉強の仕方を変えなければなりません。
細かい知識を覚えることはやめて、
基本的な問題がきちんとできているか確認してください。

では簡単に解説していきましょう。

<肢1>
この問題のポイントは、
「~委員会などの合議体が行政庁としての役割を果たすことはない。」の部分です。

公正取引委員会などの独立行政委員会を想起できれば、答えはでます。

よって、肢1は誤りです。

◇ なお、行政主体と行政機関の区別はしっかり理解しておいてください。
  行政主体とは、行政上の権利義務の主体をいいます。
  国、地方公共団体のことを指します。
  
  行政機関とは、行政主体のために意思決定、意思表示、執行などを行う機関をいう。
  行政機関の中でも行政庁が重要です。

  行政主体と行政機関の関係は、民法における本人と代理の関係に良く似ています。
  ですから、行政機関がその権限の範囲内でした行為の効果は法律上行政主体に帰属します。

<肢2>
この問題のポイントは、
「~行政機関の定義は、国家行政組織法において定められている。」の部分です。

国家行政組織法が国の行政機関としているのは、省、庁、委員会です。
行政法と国家行政組織法との行政機関の概念が異なるので注意が必要です。

よって、肢2は誤りです。

◇ なお、覚える必要は全くないですが、両者の行政機関の概念が異なるのは、行政法がドイツの行政法理論の影響を受けて、行政機関を機能・権限分配概念として捉えているのに対し、国家行政組織法がアメリカの行政法理論の影響を受けて、行政機関を事務分掌の単位概念として捉えているからといわれています。

日本の法律にはこういう例がよくあります。
例えば、刑法はドイツ法、刑事訴訟法はアメリカ法の影響を受けています。
これは、明治憲法はドイツに学び、現在の日本国憲法が第二次大戦後にアメリカの支配を受けて出来たことから、戦後できた法律はアメリカ法の影響を受けたものが多いのです。

<肢3>
この問題のポイントは、
「諮問機関が示した答申・意見について、~法的に拘束されることはない。」の部分です。

そのままで正しいです。何も言うことありません。

参与機関の場合は、国の意思決定に関わるので法的拘束力があります
参与機関とくれぐれも間違わないでください。

<肢4>
この問題のポイントは、
「~専決する場合には、代決の場合とは異なり、処分権限は~補助機関に帰属することとなる。」の部分です。

これは、権限の委任と専決、代決tとの区別が正確にできているかを問う問題です。
他の行政庁に権限の委任があった場合、受任機関に処分権限が移るので、帰属します。
ですから、法律による行政の観点から、権限の委任には法律の根拠が必要です。

これに対して、専決、代決の場合は、内部的な事務処理決定をゆだねられるだけで、外部に対しては本来の処分行政庁の名で表示されるので、処分権限自体は移らず、法律の根拠は不要です。

よって、肢4は誤りです。

<肢5>
この問題のポイントは、
「補助機関とは行政主体の手足として実力を行使する機関であり、警察官、収税官などがこれに当たる。」の部分です。

行政主体の手足となるのは補助機関ですが、実力を行使するのは執行機関です。
特に説明を加えるまでもないです。

よって、肢5は誤りです。

この問題は非常に難易度が低いで、解答を間違えた方は猛省してください。

今回はこの辺りで終わります。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

こんな判例なんて知らない!? 平成18年度 問8の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!

問8を分析していきましょう。
 過去問がない方は下記のリンクで参照してください。  http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html

今回の問題は、肢の語尾をみると、
全て最高裁の判例からのようですが、
正直のところ全部覚えておりません。

しかも、相互に関連する問題ではないので、
個々の法律を特徴づける特定の視点から解くこともできません。
一つ一つの肢を個別に検討していくしかないです。
憲法の問6民法の問30と類似した
出題形式だと思います。

このような問題が出たとき、
私なら、一肢選択問題なので、
消去法で解きます。

正解の確率を上げることに専念し、
残り2肢まで切れたら、後は50%の確率なので
とりあえずOKとして、肢が4つまで切れたら
ラッキーと思うようにしていました。

今までと違って今回は
少し恥ずかしいですが、
私の内心も含めて実際に問題を解いている状況を
再現してみようと思っています。

このような判例の知識も特定の視点も利用できない問題では、
状況の再現も参考になるのではないかと思ってチャレンジしてみます。

その前に、私がこのような問題を解くときは、自分の持っている全ての
知識を総動員
して考えます。

また、全ての法律問題に対して妥当する共通の考え方で主に解いています。

①公平のバランス
②原則と例外

①公平のバランス
これは、民法などの解説で何度も出てきましたが、
法律や判例というのは主に公平のバランスでできています。

ご存知の通り、法律は国会議員が成立させるものですから、
与党と野党の政治的な駆け引きに使われますので、
悪い意味ではなく、そもそも法律の成立システムとして
妥協の産物なのです。

また、裁判も原告と被告の言い分を聞いて両者が納得するように
うまい落としどころで収めるようにしているものです。

ですから、どちらか一方の利益になるような法律や裁判はなく、
振り子のようにある程度の振れ幅をもって、
公平のバランスを保とうとしているのです。

②原則と例外

上記のように、法律は公平のバランスを保つために、
条文などでよく見られるように、原則例外から
出来ていることが多いです。

ですから、まず、原則で考えて、それで解けるならそれで解きます。
もし原則を貫くと不都合が生じる場合に、例外を考えて解きます。

以上の考え方を前提に、
私の内心も含めて問題を解いている状況を
再現してみます。

◇ なお、私はまず肢全部をざっと読んで、
自分にとって解きやすい肢からランダム
解いていきます。

ざっと読んでよく分からない問題はたいてい
時間がかかる問題であることが多いからです。
記述問題もあるので時間のロスは極力避けたいのです。

また、最初にざっと全肢の語尾を見るようにしています。
問題を解くがかりとなることが多いからです。

では始めましょう。

「」が問題文、『』が内心、▼が用語説明、注が注意書き、
何もくくってないのが状況説明です。

★始まり★

まず、冒頭の問題文を読む。
「公法と私法が交錯する領域…」

『何か嫌な問題だな…』
『出題形式は一肢選択問題か…とりあえず消去法でいくか…』

全ての肢の語尾をみる。
「~最高裁の判例である。」

『…というと著名な判例かな?』

全ての肢をざっと見る。

『はあ?知らない判例ばかりだ…』
『ということは、判例を知らなくても解ける問題か、
それか誰も解けない捨て問だな…』

また全ての肢をざっと見る。
肢5「~私人の土地所有権は自動的に滅失~」

『え~!そんなことってあるのかな?』
『とりあえず肢5からやろう』

肢5「海岸線の変動により、従来私人の所有であった土地が海面下に沈んだ場合~」

『これって、所有権絶対の原則からどうなんだろうか…』
『それに、また海岸線の変動が起こって、一度沈んだ土地が海面上に現れたらもう私人の土地じゃないから国庫に帰属するのかな…』
『それじゃあ、不公平でしょう。』

『おそらく、事実上所有権を放棄したとみなされる程度に海面下に沈むか、または時効のように10年か20年は海面下に沈んだ状態じゃないと、私人の土地所有権が自動的に滅失するなんて所有権絶対の原則から許されないはず…』

『いずれにしても、私人の土地が何らかの形で海面と区別できる状態にあれば、自動的に滅失させることはないだろう…』
『それなのに、土地が海面下に沈んだだけで私人の土地所有権が自動的に滅失するなんて、こんな公平のバランスを欠いたこと最高裁は絶対言わないな…』

『だから、肢5は誤りで×』
肢5に×をつけた。

▼所有権絶対の原則
 所有権者は自分の所有物をどう扱っても他人や公権力から干渉を受けないというもの。

『よし次へいこう…』
肢2「私道を~敷地所有者に対して通行妨害排除の民事訴訟を提起する利益とはなりえない~」

『私道を日常的に利用する利益が反射的利益かどうかはよくわからないので、とりあえず無視して考えると…』
『もし、日常的に利用している私道にベルリンの壁みたいなのができたらどうするわけ?』
『所有権絶対の原則があるからといって敷地所有者が何でもしていいわけはないし…』

『だいたい私道か公道かの区別なんて利用者には出来ないだろうし…』
『仮に私道だとわかっていても、利用者にも通行の自由があるはず…』

『それなのに権利救済の最後の砦となっている裁判所に私道というだけで訴えられないなんて不公平でしょう』

『所有権絶対の原則も公共の福祉の観点から制限されるはずだから、こんな公平のバランスを欠いたこと最高裁は絶対言わないな…』

『だから、肢2は誤りで×』
肢2に×をつけた。

▼反射的利益
行政法規が公益の実現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとなる事実上の利益

『次へ…』
肢4「公営住宅~その相続人~入居関係は相続させなければならない~」

『相続は包括承継だから、入居関係も相続させるのが原則だよな…』

『でも、公営住宅ってUR賃貸みたいなもので、必ず入居審査がいるはず…』
『そう考えると、相続した場合でも、改めて相続人に対して入居審査しないと、公営住宅の意味がなくなるよな…』

『それに相続人が低所得者であるといっても賃料が全く払えない人なら入居審査パスしないだろうし…』
『これは、例外として考えるべきだな』

『そうすると、低所得者という条件だけで、最高裁が入居関係は相続させなければならないとは絶対言わないな…』

『だから、肢4は誤りで×』
肢4に×をつけた。

『さて、次へ』
肢3「建築確認は、~権原なき者によって申請された場合には、そのことを理由として却下することができる~」

『建築確認って、確か建物を建てる際に、建築計画などが建築基準法に適合しているかを確認するものだったよな…』
『そうだとすると、通常は建築主が申請すべきだろうけど、無権限者かどうかまで調査してやるんだろうか…登記簿とかまで調べるのかな?』

『う~ん、行政側としては、その土地に建物を建てられるかどうかだけ確認できればOKだろうし、誰が実質的な所有者かまで判断する必要はないと思うな…』

『それなのに、却下されたら公平のバランスを欠きそうだな…』

『たぶん、肢3は×かな』
肢3には△×をつけた。

注…△×とは私の中では×の可能性が高いが確実ではないので、一応△もつけておくもので、不確実な×という意味である。

▼建築確認
建築物を建てる際に、確認申請という書類を提出し、敷地・建物形状・防火・避難・構造・設備などの計画が建築基準法や都市計画法に適合しているかどうかを確認してもらう手続


『とりあえず、最後の肢に行こう』

肢1「~建築基準法の規定は、民法の相隣規定に関する特別法として適用される~」

『確か民法の相隣規定にそんなような規定があったような気もするけど…』
『そもそも建築基準法って私法関係を規律するものかな?
民法の特別法になるかはわからないな…』

『この肢だけでは、これ以上考えられないから、後は肢3との比較だな』
肢1には?をつけた。

『肢3は間違いの可能性が高いけど、肢1はもう考えてもわからない』
『なので、確率からすると、肢1の方が正しいだろうから、
正解肢としてマークしておこう』
『まあ、後は運だ』

『これ以上悩んでも時間のロスだから、次の問題へいこう』

★終わり★

どうだったでしょうか?
かなり適当な感じで解いていると思われたでしょう。

書くと長いですが、だいたい2分くらいのものです。
結果的に正解していましたが、確率で解いています。

判例によると建築基準法は民法の特別法みたいですが、
建築基準法は公法、民法は私法、
公法が私法の特別法になる場合もあるようです。

合格者といえども、知識なんてこんなもんですし、
そう簡単に満点なんて取れません。

ただ、自分なりに共通の考え方を基準にして
大枠をはずさないように、なんとか確率的
正解を導こうとしているのはお分かりいただけたと思います。

なかなかこういう実況解説はないでしょうし、
ブログならではの実験的なものです。

◇ なお、今回の私の内心における解説は推測であって、
決して正確なものではありませんので、
解説の詳細はお持ちの過去問集などで確認しておいてください。

ただ、全ての判例を読む必要は全くないと思います。

今回はこの辺りで終わります。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

会社の種類 平成18年度 問40の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!

<ご質問への回答>

前に私が紹介した参考書は行政書士試験対策としては量が多いのでは、
というご質問をいただきましたのでお答えします。

伊藤真試験対策講座
LECのC-BOOK

を紹介しました。

確かに、これらの参考書は司法試験でも使われるものですが、全て目を通さなければならないというものではありません。

あくまでもご自分の基本となるテキストなどでわからないことなどを調べるもので、理解の助となるものです。プラスαの副教材としてお勧めしています。

私の知る限り、行政書士試験関係のテキストや参考書は事実の羅列が多すぎて、
大きな視点法律の体系について何も書かれてない事が多いのです。

ですから、テキストにあるものは全て覚えなければならないと誤解している方が多いようです。

これに対して、大きな視点や法律の体系を知っていると法律の勉強がしやすくなるのは合格者なら誰でも理解できます。

これらの参考書には、項目の最初の部分に制度趣旨などの大きな視点となるものが
かかれていますので、それだけでも最初に目を通してから、ご自分の基本となるテキストを勉強すると、理解しやすくなるということです。

私が伝えたいのは、いかに少ない知識で合格するか、ということです。

より詳細については、使用するテキストなどについて を読んでみてください。


問40を分析していきましょう。

過去問がない方は下記のリンクで参照してください。 http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/184mondai.html

会社の種類に関する問題ですね。
合名会社と合資会社については
ここ最近の過去問にも出題されていません。

◇ なお、新会社法では、従来の合名会社と合資会社に加えて、
合同会社が規定され、これらを持分会社と呼びます。

ですから、捨て問にした方もいらっしゃったかもしれません。
しかし、昨年度から商法は5題出ていますし、今年度から
新会社法で出題されますので、もはや商法を無視して
勉強することは出来ません。

そこで、この持分会社と株式会社の相違点について、
テキストなどで確認しておくことをお勧めします。

その際、重要なポイント
①社員の責任と権限
②投下資本の回収方法
③機関構成
ですので、この項目について相違点を整理しておくとよいでしょう。

◇ なお、社員とは従業員ではなく、出資者のことですので
一般的な使われ方と誤解しないでください。

<肢1>
この問題のポイントは、
「~株式会社でも、1株に複数の議決権を有する種類株式を発行する旨を定款に定めることができる。」の部分です。

株式会社は、ある程度大規模経営を予定しているので、事業に必要な巨額の資金を調達する際に、資本を細分化し、少額の出資を多数の出資者から募ることが必要です。
そのため、株式は均一的な細分化された割合的な構成単位をとっています。

つまり、個人的な信用関係などとは関係なく、出資した分だけ議決権の行使などで口も出せるような仕組みを取っているのです。

イメージとして、100円均一の100円ショップでは、レジの人が商品の数さえ数えられれば値段がすぐ出る仕組みと似ています。

ですから、一株につき一議決権のみ与えられるのであって
複数の議決権は与えられません。

よって、肢1は誤りです。

<肢2>
この問題のポイントは、
「~会社債権者に対して、まず会社資産から弁済を受けるように求めることができる。」の部分です。

無限責任とは、会社が負った債務を会社財産では弁済しきれなかった場合、社員が自己の個人財産からその債務の弁済をしなければならないことを言います。

つまり、会社債権者との直接の取引当事者は会社自体ですから、まずは会社財産で弁済すべきであり、弁済できなかったときに初めて無限責任を負っている社員が代わりに弁済するという二次的な責任ということです。

これは民法の保証契約に似ており、いわば、会社が主たる債務者で、無限責任社員は保証人のような関係であると理解しておくと良いでしょう。
よって、肢2は正しいです。

<肢3>
この問題のポイントは、
「合資会社の有限責任社員は、有限責任社員となる時点で出資全額の履行が要求されている。」
債権者にしてみれば、債権を実行する際に有限責任社員に対して出資額を請求できれば十分なので、有限責任社員となる時点で出資全額の履行がされている必要はありません。

よって、肢3は誤りです。

<肢4>
この問題のポイントは、
「~合名会社と合資会社でも持分を表章する有価証券を発行しなければならない。」

この問題は上記の重要ポイント②投下資本の回収方法が問題となっていますので、少し説明いたします。

合名会社と合資会社では退社制度(出資の払戻)が認められていますが、株式会社では株主は有限責任しか負いませんから会社債権者にとっては、会社財産のみが債権回収の頼みの綱なので、会社財産が減少する退社制度は認められていません。

それゆえ、株主の投下資本の回収方法は株式の譲渡が原則なのです。
この株式の譲渡の際に、株券発行会社では有価証券たる株券も一緒に譲渡する必要があるのです。

逆に、合名会社と合資会社では退社制度は認められているが、社員の個性が重視されるので、不適切な者が経営に参加しないように株式のように持分を自由に譲渡することはできず、譲渡するには全社員の承諾(同意)が必要とされています。

このように持分の譲渡が著しく制限されているので、譲渡に必要な株券のような有価証券は必要ないのです。

ここでしっかり押さえておきたいのは、②投下資本の回収方法の相違です。
合名会社と合資会社=退社制度
株式会社=株式の譲渡

よって、肢4は誤りです。

◇ なお、現在は管理コストの面から株券のペーパレス化が進んでおり、株券を発行しないのが原則となっています(会社法 214条)。

<肢5>
この問題のポイントは、
「合資会社では、無限責任社員から~代表社員を選任することを要し~」の部分です。

平成17年改正前は、責任と権限の強さは比例すべきとの考え方から、この肢の通りに合資会社では無限責任社員しか代表者になれませんでした。

しかし、経営のトップを誰にするかは、会社の形態に関わらず、その会社の自治に任せるべきという考え方が強くなり、有限責任社員でも代表者になることができるようになりました(590条1項 599条1項本文)。

よって、肢5は誤りです。

今年度から新会社法もある程度基本的なところは勉強しなくてはなりませんが、
とにかく量が膨大なので細かい知識は無視あるいは切り捨てて、
基本概念だけで過去問が解けないかトライしてみてください。


今回はこの辺りで終わりにします。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

会社の合理化 VS 会社の適正化 平成18年度 問38の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!

問38を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。 http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/184mondai.html


今回は株主総会の話です。
会社法は量も多く出題数もそれほど多くないので
あまりきちんと理解する時間がないかもしれません。

ですから、少し説明してから解答、解説していきましょう。

株式会社にはなぜ株主総会があるのでしょう?

それは、株主が出資することで会社の経営がなりたっているからです。
株主が株式会社の実質的所有者といわれるゆえんです。

もっとも、経営自体は取締役に任せているのが通常ですね。
株式会社は個人で商売しているのと比べて、日々大量かつ大規模の取引を行っているのが通常です。

ですから、経営の判断をするのにいちいち全国にいる多数の株主を集めていたら時間も費用もかかって非合理的であるので、経営のプロである取締役に委任しているのです(会社法330条)。

これを会社の合理化の要請といいます。

しかし、取締役に任せたはいいものの、会社の資金を悪用したり、経営判断にミスが多かったりすれば、会社は利益を増やすことが出来ず、せっかく出資した株主にも配当がこないことになり、株主にとって不利益となります。

そこで、株主総会は取締役の経営判断などを監視監督するために会社の機関として存在しているのです。

ですから、会社の重大事項(合併など)については株主総会で決議されるのです。
また、取締役は株主総会から選ばれることになっているのです(会社法329条)。

これを会社の適正化の要請といいます。

会社法はこの会社の合理化適正化バランスを考慮して規定されているものです。
民法における公平のバランスと同じくらい重要な視点です。
ですから、会社の合理化適正化バランスという視点は、会社法の問題を解くときに
必ずがかりとなるものですから、しっかり理解してください。

◇ また、会社法の機関構成は憲法における三権分立に類似していますので
以下のようにイメージして覚えておくとよいでしょう。

株主総会=国会
取締役会=内閣
代表取締役=内閣総理大臣
監査役=裁判所


以上の説明を前提として、個別に肢を見ていきましょう。

<肢1>
この問題のポイントは、
「株主総会の招集の手続を欠く場合であっても、~いわゆる全員出席総会において、~決議をしたときには、~有効に成立する。」の部分です。

株主総会の招集手続は会社の合理化の要請から取締役が行うのが原則です(会社法296条3項)。

しかし、株主全員が出席しているのなら、ある意味、株主総会の招集手続をしたのと同じですね。それに株主全員が出席している以上、会社の適正化の要請にも反しません。

ですから、いわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項について決議をしたときには、有効に成立するのです。

よって、肢1は正しく妥当です。

◇ なお、全員出席総会なんて現実にあるのだろうかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、株式会社といっても数人の株主しかいない小規模のものもあるのです。このような小規模の株式会社をイメージすると理解できると思います。

<肢2>
この問題のポイントは、
「~議決権を行使する代理人株主に限る旨の定款の規定は、~有効である。」の部分です。

前述したとおり、会社の重大事項については株主総会で決議されますから、株主ができるだけ株主総会で議決権を行使できるようにすることが、会社の適正化の要請に合致します。

ですから、例えば、同日時に複数の株式会社の株主総会があった場合、その複数の会社の株主は一つの会社しかいけませんから、代理人によって議決権を行使させるのが会社の適正化の要請に合致します。

もっとも、世の中には悪いことを考える人間もいますから、例えば総会屋などのような会社を困らせる目的をもった人間が代理人になって株主総会に参加すると、問題文にもあるように株主総会が撹乱されるおそれがあります。

これでは、株主総会で円滑な決議ができず取締役の経営判断にも影響し、会社の合理化の要請にも反するので、これを防いで代理人の資格の制限をする必要があります。

ですから、定款の規定で議決権を行使する代理人を株主に限っても、会社の利益を保護する趣旨にでた合理的理由による相当程度の制限であって、有効なのです。

よって、肢2は正しく妥当です。

<肢3>
この問題のポイントは、
「~他の株主に対する招集手続に瑕疵がある場合には、株主総会の決議取消しの訴を提起することができる。」の部分です。

前述したとおり、会社の適正化の要請から、株主総会は会社を監視監督するために会社の機関として存在しており、会社の重大事項についての決議機関です。
また、株主にとって株主総会は経営に参加できる唯一の場です。

ですから、株主総会の招集手続に瑕疵がある場合、株主の意見が議決権を通じてそのまま反映されないことになるので、会社の適正化の要請に適切に答えられなくなり、監視監督機関としての株主総会の機能が害されることになります。

そうすると、招集手続の瑕疵は株主総会全体に関わる問題となりますので、その瑕疵が、自己に対してであろうと他の株主に対してであろうと、害された機能を回復し、公正な決議を保持するために決議取消しの訴ができなければなりません。

よって、肢3は正しく妥当です。

<肢4>
この問題のポイントは、
「~決議取消しの訴えを提起した場合~その提訴期間が経過した後であっても、新たな取消事由を追加して主張することができる。」の部分です。

前述したとおり、株主総会は会社の重大事項についての決議機関です。
その株主総会の決議を受けて、取締役が実際に経営していくので、会社と取引関係に立つ第三者も現れます。

そうすると、長年の取引関係が構築された後に、例えば、数年前の株主総会の招集手続きの瑕疵に基づき決議取消しの訴えが提起され決議が取消されると、遡及するので、その決議に基づいてなされていた今までの会社取引が全て覆ることになります。

確かに、会社の適正化の要請からすると株主総会の招集手続きに瑕疵があった以上、
もう一度最初からやるべきとも思われます。

しかし、いつでも誰でもどの方法でも決議取消しの主張ができるとしたら、会社の経営が成り立たなくなり、取引の第三者にも損害を与えることになって、法的安定性を欠き、会社の合理化の要請に著しく反することになります。

また、後述する株主総会の決議無効原因と違って、決議取消し原因は招集手続きの瑕疵などにみられるように比較的軽微な瑕疵なのです。

ですから、長年の取引関係が構築された後であれば、現状を尊重し、瑕疵はそのままの状態にしておいてもそれほど会社の経営状態に影響はなく、会社の適正化の要請に著しく反することになりません。

そこで、会社の合理化適正化バランスを考慮して、提訴期間、提訴権者、提訴方法が限られているのです(831条1項柱書)。

よって、肢4は誤りで妥当でないです。


<肢5>
この問題のポイントは、
「株主総会の決議の内容自体に法令または定款違背の瑕疵がなく、~その株主総会の決議は無効とならない。」の部分です。

肢4で解説した決議取消しの訴えと異なり、決議無効原因は決議の内容自体に法令違反があるなどの重大なものです。

とすれば、会社の適正化の要請がより強く働きますから、法的安定性を欠き、会社の合理化の要請を後退させてでも、いつでも誰でもどの方法でも決議無効の主張ができるのです。

逆に言うと、重大な原因でなければ、決議無効の主張を認めるわけにはいかないのです。

ですから、問題文の「単に決議の動機または目的において公序良俗に反する不法がある場合」は、決議の内容自体に法令違反があるなどの重大なものではないので、その株主総会の決議は無効とならないのです。

よって、肢5は正しく妥当なのです。

以上のように、会社法の問題を解くときには、会社の合理化適正化バランスという視点を、必ず意識してみてください。

今回はこの辺りで終わります。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

これじゃあ怖くて結婚できない…!? 平成18年度 問35の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!

(初学者にお勧めの参考書)
伊藤真の入門―講義再現版

(独学の方にもわかりやすいお勧めの参考書)
伊藤真試験対策講座
LECのC-BOOK

(持ち運びに便利な参考書)
LECの2007年版完全整理択一六法


問35を分析しましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。 http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/184mondai.html

夫婦財産制(755~762条)に関する問題です。
この問題も、問27、問29と同様に、
民法における公平のバランスという視点が手がかりとなります。
とりわけ、夫婦間の平等については憲法24条の規定を受けて、
民法で規律されています。

(参考 憲法24条)
1 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

<肢1>
この問題のポイントは、
「~甲建物は、A・Bの共有に属するものと推定される。」の部分です。

冒頭の問題文には「Aは、自己が所有する甲建物に居住していたところ、Bと婚姻後においても、同建物にA・Bで同居することになった。」とあります。

婚姻前は、甲建物がAの所有であったにもかかわらず、Bと婚姻したばかりに共有財産となるとすれば怖くて結婚できないですよね。
これでは両性の本質的平等に立脚した公平のバランスを欠くといわざるを得ません。

ですから、762条1項も「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中に自己の名で得た財産は特有財産とする。」となっています。

よって肢1は誤りです。

<肢2>
この問題のポイントは、
「~は、そのA・C間の売買契約を取り消すことができる。」の部分です。

肢1で見たとおり、甲建物は、Aの所有物ですから、甲建物の売買に関してBは契約当事者になりえません。

契約当事者になれない以上、Bが、A・C間の売買契約を取り消すことができるはずもなく、できるとしたら、公平のバランスを欠くといわざるを得ません。

よって肢2は誤りです。

<肢3>
この問題のポイントは、
「~その修繕に要した費用は、A・Bで分担する。」の部分です。
 冒頭の問題文にあるとおり、甲建物にA・Bは同居していますから、Bは甲建物を利用できるという利益を得ています。
そうだとすると、修繕に要した費用について、Bが利益を得ている分は負担するのが公平です。

また、Aは自己所有の建物ですから、修繕に要した費用について自己が負担するのは当然です。

ですから、760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」となっています。

よって、肢3は正しいです。

<肢4>
この問題のポイントは、
「~動産は、A・Bの共有に属するものとみなされる。」の部分です。

肢1と同じ考え方です。
例えば、婚姻前にBが所有していた宝石、洋服、家具などが婚姻して甲建物内に入った瞬間に共有財産となるならば、高価なものは実家か金庫にでも置いておくしかないですね。

どう考えても公平のバランスを欠くといわざるを得ません。

よって、肢4は誤りです。

<肢5>
この問題のポイントは、
「~財産の分与を請求することができるときに、~甲建物内に存する動産について先取特権を有する。」の部分です。

動産の先取特権というのは、ここ10年間の過去問にもでてきてないようですし、担保物権の中でもマイナーでテキストなどにもあまり書かれてないでしょうから馴染みがない方もいらっしゃるでしょう。

いい機会ですから、少し説明いたします。

動産の先取特権とは、特殊の債権者に法律上当然に与えられる担保物権(法定担保物権)で、この権利を有する債権者は債務者の特定動産から優先弁済を受けることができるものです。

債権法の大原則である債権者平等の原則例外で、他の債権者に先立って債権の回収をすることができるのです。

約定担保物権である抵当権や質権などと違って、契約に基づかずに法律上当然に与えられる担保物権であるということは、逆に言うと、法律上当然に与えられなければ債権者の利益を害し、公平のバランスを欠くということです。

債権者平等の原則を破ってでも債権者を保護する必要性が高い法律上当然に与えられる例外的な担保物権であるから、動産の先取特権は特殊な債権者に限定して与えられるのです。

ですから、以下のように動産の先取特権の種類が限定されています。

不動産の賃貸借、宿泊料、輸送料、公吏の職務上の過失、動産の保存費用、動産の売買費用、種苗肥料の供給、農工業労役の賃金(民法311~324条)。

このように限定された種類を知っていれば、答えはすぐに出ますが、なかなか覚えてられないところでしょう。

ですから、少し大雑把にとらえると、
例えば、宿泊料を支払わない客の荷物に対して動産の先取特権を行使できることからすると、ホテルと宿泊客のように債権者が特定の事業などをやっている会社などで、債務者が個人というものでしょうか(あくまでも説明の便宜上のイメージです)。

つまり、①動産の先取特権の種類は限定されていて、
イメージは会社と個人ということです。
まずはこれだけ覚えておくのです。

そうすると、離婚に基づく財産分与請求権のように夫婦間に発生した債権を担保するために動産の先取特権を与えてまで保護する必要はなさそうですね。
動産の先取特権を与えなくとも公平のバランスを欠かないのです。

よって、肢5は誤りです。

肢5に関しては、少し大胆な解説だったかもしれませんが、細かい知識をあやふやに覚えて混乱して解答するよりも、大雑把にとらえて自信を持って肢を切れた方が正解の確率はあがります。

実際、行政書士試験では、細かい知識はそれほど要求されていないというのは、今までの私の解説からもおわかりになっていると思います。

また、本問については、肢5がよくわからなくても、公平の観点から肢3が正しいと分かるのではないでしょうか。

このように、知識を膨張させる方向に持っていくのではなく、大雑把でもいいから知識をできるだけ少なくしていくことが合格の近道なのです。

本試験まで、あと3ヶ月です。
覚えることが沢山あると思わずに、どんどん覚える情報を減らしていってください。
問題を解くのに必要最小限の知識は何か、をいつも意識して勉強してください。

今回はこの辺りで終わりにします。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

テンポよく解く! 平成18年度 問30の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!

(初学者にお勧めの参考書)
伊藤真の入門―講義再現版

(独学の方にもわかりやすいお勧めの参考書)
伊藤真試験対策講座
LECのC-BOOK

(持ち運びに便利な参考書)
LECの2007年版完全整理択一六法

問30を分析しましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/183mondai.html

この問題は、憲法の問6と類似した問題形式となっています。

一見して冒頭の問題文からすると同一のテーマで解く問題であるように感じますが、
この冒頭の問題文がヒントにもならず、問題の肢に相互の関連性も全くありません。
また、全ての問題の肢が独立して並んでいるので、ある視点で肢を切ることができません。
このような問題は一つ一つ正誤を判断しなければならない点で個数問題に近いです。

ですから、混乱しないように冒頭の問題文から図を書いて一つ一つ解いていきましょう。
その際、問5の解説その2に書いた
(1) ある一つの過去問を解くのに必要最小限の基本的知識は何か、
(2) その基本的知識を正確に理解しているか、
(3) その基本的知識からわかる出題意図は何か、
を意識して解いてみると意外と簡単な問題です。

<肢1>
この問題のポイントは、
「~地上権が設定されたので、~借地借家法の適用はなく民法の規定が適用される。」の部分です。
 出題意図は借地借家法の適用対象です。つまり、賃借権のほかに地上権も適用対象になるかということです。

必要最小限の基本的知識と理解は、借地借家法の趣旨(1条)の中の、
「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権」です。

よって、肢1は誤りです。

<肢2>
この問題のポイントは、
「~地上権を抵当権の目的とすることはできない」です。

出題意図は抵当権の目的対象です。つまり、抵当権は建物のような不動産以外を目的にして設定することができるかということです。

必要最小限の基本的知識と理解は、抵当権は不動産以外の権利(地上権、永小作権、抵当権など)も目的として設定することができるということです。

よって肢2は誤りです。

<肢3>
この問題のポイントは、
「Aは、~地上権登記または~保存登記を経由していない限り、に対し、Aの甲土地についての地上権を対抗することはできない。」の部分です。

出題意図は、地上権の対抗の相手方です。

必要最小限の基本的知識と理解は、対抗関係が生じるのは、当事者以外の第三者であって、当事者およびその包括承継人は含まれないということです。

当事者が含まれないのは当然ですが、相続人などの包括承継人が含まれないのは、相続という偶然の事情により、相続前後の法律関係が変るのは当事者間の公平を欠くからです。

Dは相続人ですから、包括承継人ですね。
ですから、対抗関係にそもそも生じないのです。

よって、肢3は誤りです。

<肢4>
この問題のポイントは、
「~C銀行が抵当権を実行するには、まず乙建物から行う必要はない。」の部分です。

出題意図は、抵当権の実行の順序です。

必要最小限の基本的知識と理解は、何度もでてきた民法における公平のバランスという視点です。
もう少し、噛み砕いていうと、一方の当事者の意思、または利益に合致し。もう一方の当事者の意思、または利益にしなければ公平のバランスを崩さないということです。

具体的にこの問題にあてはめてみましょう。
抵当権者たるC銀行の意思、または利益からすると、債権の回収ができればいいのですから、それが債務者Aの建物であろうと、物上保証人Bの土地であろうと実行できればどちらでもいいのです。

ですから、順序に関係なく実行できるほうが抵当権者たるC銀行の意思、または利益に合致します。

また、債務者Aは債務者である以上当然実行されても仕方ないし、物上保証人Bにしても実行されるのを覚悟で物上保証人になったわけですから、先に実行されても文句はいえないです。

たとえ実行されてもBはAに対して後で請求すればいいだけなのです。
ですから、AおよびBの意思、または利益にしないのです。

したがって、民法における公平のバランスが保てているので、
肢4は正しいのです。

<肢5>
この問題のポイントは、
「~共有することになった場合において、~乙建物の分割を請求することはできない。」という部分です。

出題意図は、共有物の分割請求です。

必要最小限の基本的知識と理解は、肢4と同じように、民法における公平のバランスという視点です。

具体的にこの問題にあてはめてみましょう。
共有というのは、あたかも一つのゴムマリしか入らない箱の中に二つのゴムマリが入っている状態と同じであって、互いの権利が制限されている状態なのです。
権利者ならば完全な権利を望むのが通常ですから、共有状態を解消できるほうが望ましいのです。

それゆえ、EおよびFがいつでも分割請求できるのが両者の意思、または利益に合致すると同時に両者の意思、または利益に反することにもならないのです。

もっとも、何らかの事情で特約によって不分割にすることもできますが(256条)、5年間という短期間に限られているのは、共有状態を解消できるほうが望ましいことの表れなのです。

よって、肢5は誤りなのです。

(1)ある一つの過去問を解くのに必要最小限の基本的知識は何か、
(2)その基本的知識を正確に理解しているか、
(3)その基本的知識からわかる出題意図は何か、
を意識して解いてみると、テンポよくできましたね。

問題を解く際の参考にしてみてください。

今回はこの辺りで終わります。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

1億円のダイヤモンドが建物に…!? 平成18年度 問29の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!

(初学者にお勧めの参考書)
伊藤真の入門―講義再現版

(わかりやすいお勧めの参考書)
伊藤真試験対策講座
LECのC-BOOK

(持ち運びに便利な参考書)
LECの2007年版完全整理択一六法

問29を分析していきましょう。
過去問がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/183mondai.html

所有権の原始取得に関する問題です。
この問題も、前回の問27と同様に、
民法における公平のバランスという視点があれば正解できます。
条文もそうなっていることがわかります。

内容的には肢1が時効の問題で、残りは全て無主物先占、添付(民法239条~248条 民法第2編第3章第2節)の問題です。
いずれも、所有権の原始取得原因です。

◇ なお、この民法239条~248条(民法第2編第3章第2節)は全て所有権の原始取得の話になっていることをもう一度確認してください。
売買による移転などで所有権を取得するのは承継取得といいますので、きちんと区別して押さえておきましょう。

まずは、肢2~5までやりましょう。

<肢2>
この問題のポイントは、
「AとBは、当然相等しい割合でその合成物を共有するものとみなす。」の部分です。

動産の付合の話ですが、まず、主従の区別で判断するのが公平ですね(243条)。

では、この問題のように、主従の区別で判断できない場合はどうするのが公平でしょうか。
動産といっても価値は異なります。

例えば、Aの金貨とBの10円玉がくっついてとれなくなってしまった場合、
問題文のように、当然に相等しい割合で共有とみなされたら、Aがあまりに不利益と
なりませんか。Bにしてみれば、くっつけたもん勝ちになってますね。

ですから、価格の割合に応じて共有とするのが公平ですよね(244条)。
よって、肢2は誤りです。

◇ なお、問題文の「当然に」というような極端な言葉は、誤りの可能性が非常に高いと思ってください。内容がわからなくても、このような極端な言葉だけで肢が切れることがほとんどですので他の過去問で試してみてください。

<肢3>
この問題のポイントは、
「AとBとの取決めに関係なく、Aに帰属する。」の部分です。

加工の話ですが、当事者の契約で定まってない場合に、補充的に法律で公平の観点から所有権の帰属を決めているのです。

◇ これを任意規定といいます。
加工などの添付により生じたものを1個のものと扱う規定は強行規定ですが、その物が誰に帰属するかに関する規定は任意規定なのです。

ですからAとBとの取決めでBが所有者と定めていたなら、民法の大原則である契約自由の原則からBが所有者になるのが公平の観点から当然です。
よって、肢3は誤りです。

◇ なお、AとBとの取決めがなかった場合、まず原則的に加工物の所有権は材料の所有者に帰属します。通常は材料費の方が高いので、この方が公平だからです(246条1項本文)。
ただし、加工によって著しく加工物の価格が高くなった場合は、加工者に所有権を帰属させるのが公平ですよね(246条1項但書)。

<肢4>
この問題のポイントは、
「AとBとの取決めに関係なく、Aの不動産の価格とBの動産の価格の割合に応じてその合成物を共有する。」
不動産の付合(242条)の話ですが、
この規定も任意規定ですので「AとBとの取決めに関係なく」の部分が誤りなのは肢3と同じです。

でも、肢3と異なり、動産所有者のBが契約で不動産との付合物の所有者になることなんてあるのか、と疑問をもたれる方もあると思います。

極端な例ですが、1億円のダイヤモンド1千万の建物付合させた場合は、契約によって動産たる1億円のダイヤモンドの所有者を付合物の所有者と決めても公平の観点から問題なさそうですよね。
よって、肢の3と同様の理由で肢4は誤りです。

◇ なお、AとBとの取決めがなかった場合、問題文のように「Aの不動産の価格とBの動産の価格の割合に応じて」決めるのでしょうか?

先ほどの例は極端な例ですから、通常は不動産のほうが価値が高いに決まっていますから、不動産の所有者が付合物の所有者となるのが原則なのです(242条本文)。

ただし、例えば、建物を賃借している場合に、その賃借人が二世帯住宅のように独立性の強い建物を増改築した場合には、増改築した部分は動産であるけれども価値が高いものなので、公平の観点から、その部分については例外的に賃借人の所有物となるのです(242条但書)。

よく出る例なので覚えておくといいでしょう。

<肢5>
この問題のポイントは、
所有者のいない動産を~その動産の所有権を取得する。」の部分です。
所有者のいない動産=無主物ならば、今までのように相手を考える必要がありませんね。
ですから、無主物を最初に独占したら、その者が所有者となっても何ら公平を害しません。
これを無主物先占(239条)といいます。
よって、肢5は正しいのです。

さて、解答はでましたが、時効の問題をやりましょう。

<肢1>
この問題のポイントは、
「Aは、~と知りつつ10年間占有した場合に、その土地の所有権を取得する。」の部分です。
これは善意ならば10年、悪意ならば20年の時効取得をするという問題ですね。
時効自体の解説は、また時効の問題が出てきたときに改めてしますが、
この問題では、なぜ取得時効が善意ならば10年、悪意ならば20年なのか、について
公平の観点から理解しておくことが大事です。

悪意なのに善意者と同じ10年という短期で時効取得できるとするのは、所有権を奪われる所有者の利益を不当に害し、公平の観点から妥当でないからです。
よって、肢1は誤りなのです。

以上のように、この問題も民法における公平のバランスという視点で全て説明がつきましたね。

今回はこれで終わります。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

制限行為能力者≦取引の相手方 平成18年度 問27の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



今回から一肢選択問題のうち、とりわけ民法を苦手にしている受験生が多いようなので、民法と商法を先にやります。

問27を見てください。
問題がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/183mondai.html

制限行為能力者の問題です。
問題文を見ると、「制限行為能力者と取引をした相手方の保護に関する」と書かれています。

そうすると、これは単に制限行為能力者だけに関する問題ではありません。
これを見た瞬間に私が以前に解説したことを思い出せたでしょうか。

問33の解説にも書きましたが、
民法は私法上の関係を公平の観点から規律していくものです。
つまり、当事者間または当事者および第三者間の公平をいかに図るが民法を理解していく出発点なのです。

当事者間または当事者および第三者間に関する問題がでたときに、この大きな視点から考えられているか、もう一度確認してください。
この視点があれば、問題文を解くがかりに必ずなります。

制限行為能力者とは単独では完全に有効な法律行為をし、または受けることができない者のことをいいます。
ですから、制限行為能力者の法律行為は原則として取り消すことができるのです(120条)。

それゆえ、制限行為能力者の不完全な行為能力を代理人によって補充する必要があります。
この補充の程度は制限された行為能力の程度によって差があります。

制限行為能力者取引の相手方(能力が補充されたときにとなる)

この制限された行為能力の程度は、例えば、
成年被後見人<被保佐人<被補助人ですから、にいうと、
成年被後見人>被保佐人>被補助人の順序で制限行為能力者の保護の必要性が高まります。

そして、この制限行為能力者の保護の必要性に合わせて相手方の保護の程度も決まるのです。

つまり、被補助人よりも成年被後見人と取引をした相手方の保護はよりなるのです。
これが、民法における公平のバランスなのです。


テキストなどによくある制限行為能力者の法定代理人の権限(代理権、同意権、取消権、追認権)の表などを勉強する際に、この視点で理解するとより頭に入りやすいと思います。

本問は、この視点があれば全て解けてしまいます。

まずは、原則的な理解で解ける問題から始めましょう。

<肢2>
この問題のポイントは
「相手方は、未成年者本人に対して、~催告することができ」の部分です。

前述したとおり、制限行為能力者である未成年者は、単独では完全に有効な法律行為をし、または受けることができません。

ですから、相手方は、能力が備わった未成年者か、または法定代理人に催告するのが公平なのです。
よって、肢2は誤りです。

<肢5>
この問題のポイントは、
相手方は、~補助人の行為を取り消すことができる。」の部分です。
そもそも取消すことができるのは、(120条)、制限行為能力者の保護のためです。
相手方には肢2にあるように、催告権(20条)があり、確答がない場合に取消擬制される場合もあります。

また、取引の相手方は通常契約の維持を望むでしょうから、催告権以上の取消権を与えるのは公平の観点から妥当でありません。
よって、肢5は誤りです。

<肢1>
この問題のポイントは、
相手方は、~現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。」の部分です。

本来、取り消されれば、いわば「今までのことは無かったことにしてくれ」ということであって、法律行為が遡及するので、受け取ったもの全てを返還しなければなりません。

にもかかわらず、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる(121条)としたのは、公平の観点から制限行為能力者を保護するためです。

ですから、相手方は全額返還するのが当たり前です。
よって、肢1は誤りです。

残りの肢は、例外的な理解で解ける問題です。

<肢3>
この問題のポイントは、
「相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合であっても、~自己の行為を取り消すことができる。」の部分です。

売買は法律行為であるから、成年被後見人は取り消すことができるのが原則です。
しかし、売却の対象が食料などの日用品であっても、常に取消すことができるとすると、取引の相手方が不当に不利益を被るので公平の観点から、日用品に限っては、例外的に取消しの対象から除外したのです。

また、ノーマライゼーションの見地から社会的弱者である成年被後見人の自己決定を尊重するためでもあります(9条)。
よって、肢3は誤りです。

★ ノーマライゼーションとは、障害者や高齢者など社会的に不利を受けやすい人々(弱者)が、社会の中で他の人々と同じように生活し、活動することが社会の本来あるべき姿であるという考え方です。
 一般知識問題で出るかもしれないので覚えておくとよいです。  

<肢4>
この問題のポイントは、
詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行為を取り消すことはできない。」の部分です。
被保佐人が保佐人の同意などを得ずにした場合は、能力の補充がされていませんから、取り消すことができるのが原則である。

しかし、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いた場合にも、取り消しができるとして被保佐人を保護するのは、取引の相手方が不当に不利益を被ります。

そこで、公平の観点から、詐術を用いた場合、例外的に取消すことができないとしたのです(21条)。
よって、肢4は正しいです。

なお、原則と例外を区別して理解することは民法を得意にする上でとても重要なので意識して勉強してみてください。

以上より、本問は、民法における公平のバランスという視点があれば正解できました。

民法や商法などの私法系の問題を解く際には、この視点が手がかりになることが多いので、意識して勉強してください。

今回はこの辺りで終わりにします。


役に立ったと思っていただけましたら

をポチッとよろしくお願いいたします。

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

論点は問題の所在をしっかり! 平成18年度 問6の過去問分析

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。




◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。それ以前の記事をご覧になりたい方は、登録していただくようお願いいたします。
 
 



問6を見ましょう。


問題がない方は下記のリンクで参照してください。http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html



さて、この問題は、問題の肢に相互の関連性が全くありませんね。


しかも、下線部がついている問題文がヒントにもなりません。




全ての問題の肢が独立して並んでいるので、ある視点で肢を切ることができません。


このような問題は一つ一つ正誤を判断しなければならない点で個数問題に近ことから厄介な問題です。




まず、一番簡単な肢の3をやりましょう。




世界人権宣言は、文字通り1948年に国連で採択された宣言であり、
国際人権規約は、その世界人権宣言の内容を基礎とした条約ですから、
個々の国家における統治の基本法である憲法であるはずがありません。


一般知識のような問題ですね。


よって、肢の3は誤りです。




次に問5で解説した、人権問題の検討順序が利用できる肢の1と2をやりましょう。


まず、肢1は外国人の人権が問題となっていますから、①誰の人権が問題となっているか(人権享有主体性)の話です。




人権享有主体性の問題で押さえておきたいのは、論点の問題の所在と、論点の本質です。




人権享有主体性の問題では、本問の外国人の論点の他に法人の論点が重要です。


まず、問題の所在から見ていきましょう。




<外国人>


憲法の第三章の表題が「国民の権利および義務」となっていますね。


文言どおりとれば、国民ではない、つまり日本国籍のない外国人には第三章の基本的人権が保障されるのだろうかという疑問が生じます。


そこで、外国人に人権享有主体性があるかが問題の所在となるのです。




<法人>


人権は本来個人の権利です。


そうすると、その主体は自然人でなければならないのではないかという疑問が生じます。


そこで、法人に人権享有主体性があるかが問題の所在となるのです。




問5の肢4、5では直接解答には関係ありませんでしたが、報道機関も法人なので
一応この論点が問題となります。




論点の勉強をするときは、単に結論を暗記するのではなく、
何が問題となっているか必ず疑問をもってください。


そうすると、問題の所在が浮き彫りとなり、
なぜ論点となっているのかが理解できるようになります。


そうした理解があれば、理由や結論を理屈で覚えられるようになります。




次に、論点の本質を見ていきましょう。


結論として外国人も法人も人権享有主体性があります。


(理由は各自のテキストなどで確認してください。)



重要なことは、外国人なら日本国民と保障される人権の種類が異なり、法人なら自然人と人権の保障される程度が異なるということです。




例えば、外国人には国民主権との関係で国政選挙の参政権を認められておらず、法人は自然人よりも社会的影響力が強いから、政治活動の自由を自然人と同程度には保障されないと解されているのです。




つまり、人権享有主体性の問題とは、人権享有主体性があることを前提として、
国民や自然人と比べて人権保障の種類程度なるということがこの論点の本質なのです。




この論点の本質がわかっていると、肢の1が「外国人に対して保障が及ばない」と書かれているので簡単に誤りだとわかります。




そして、 論点の本質<外国人<人権享有主体性(下位概念<上位概念) と検討順序に関連させて覚えていれば理解しやすいと思います。




次に、肢の2をやりましょう。


肢の2は③憲法上保障される人権がいかなる制約をうけているか(人権の限界)の話です。


この人権の限界は、人権が保障されているのを前提に、ある目的のために制約されているという話です。




肢の2でいうと、在監者も自然人である以上、新聞、書籍を閲読する自由は保障されているが、在監目的から一般人とは異なった制約を受けるということです。




公務員の場合も同じで、公務員は政治的に無色透明中立でなければならないことから、一般人と異なった制約を受けるということです。




そうすると、肢の2の「在監者に対しては、新聞、書籍を閲読する自由は、憲法上保障されるべきではない」というのは、人権の限界の話からすると全くズレた記述であって、簡単に誤りだとわかります。




これも、 在監者<特別権力関係<人権の限界(下位概念<上位概念) と検討順序に関連させて覚えていれば、理解しやすいと思います。




残りは肢の4と5です。




肢の4は学問の自由の中で勉強する大学の自治の問題です。


肢の4に「固有権としての自治権を保障」とあります。


この部分が間違なのですが、おそらく、大学の自治のところでは
あまり聞いたことがないと思います。




しかし、地方自治の保障の性質の論点として、固有権説、制度的保障説というのが
でてくるのはご存知かもしれません。




出題作成者は、大学の自治と地方自治とでは、自治で共通しているので、
この論点との混乱をはかって問題を作成したのでしょう。




肢の4は、制度的保障の意義を知っていれば解ける問題です。


基本的な知識なので、知らなかった方は確認しておいてください。




ちなみに、制度的保障の趣旨は、法律によっても制度の核心部分たる人権を制限することができないように制度として保障することで、個々の人権をより強く保障しようというものです。


制度的保障は、大学の自治と地方自治の他に政教分離(20条第3項)・私有財産制(29条1項)で出てきますで、この際一緒に覚えておきましょう。




最後に肢の5です。




憲法改正には限界があるのかという論点があります。


限界説と無限界説とがあります。


通説は限界説であるという知識を聞いているだけです。




憲法改正は憲法の最後の方で勉強しますから、知らなかった方も
多かったのかもしれません。


しかし、肢1~4が簡単なので、消去法で肢の5が正解だと出せたのではないでしょうか。




このように、一肢選択問題は4つ解ければ、残りの一つが解けなくても正解が出せます。


ですから、この問題では、まず肢1~4の復習をして、時間があれば、肢5の復習をすれば十分でしょう。




なお、肢の3以外は全て論点問題である点で共通しています。


人権享有主体性のところでも書きましたとおり、論点問題を勉強するときは論点の問題の所在と、論点の本質を理解することが重要です。




今回はこの辺りで終わりにします。







テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

隠された違憲審査基準を想定せよ!平成18年度 問5の過去問分析 その5

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。




◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。それ以前の記事をご覧になりたい方は、登録していただくようお願いいたします。
 
 



引き続き問5を見ていきましょう。


問題がない方は下記のリンクで参照してください。


http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html



肢の1と5は違憲審査基準にあてはめてみると、結論として憲法に違反するか否かという問題です。




肢自体には違憲審査基準が明確にされてはいませんが、違憲かどうかの判断をするには基準が必要ですから、基準が省略されてあてはめをして結論のみ出しているのです。




このあてはめとは問題となっている人権に関する具体的な事実を違憲審査基準に照らし合わせることです。




ですから、省略されて書かれていない違憲審査基準を想定しながら、結論が適切かどうか判断するのです。




例えば、表現の自由の問題であるならば、厳格な審査基準を、また経済的自由権の問題ならば、緩やかな基準を頭に思い浮かべながら、結論が適切かどうか判断すればいいのです。




比較衡量を想定するのはできるだけ避けたほうがいいでしょう。


どっちが重要だろうという程度の基準なのでかえってからです。




肢の1は表現の自由の問題ですから、厳格な審査基準が想定できますね。


そうすると、肢の1の「国民一般に対して禁止」は、明らかに基準の限度を超えますから、違憲となるのです。




肢の5は憲法14条の平等原則違反についての問題です。


平等原則違反についての違憲審査基準も基本的には二重の基準の考え方に基づいて、
精神的自由権ならば厳格に、経済的自由権なら緩やかに判断します。


平等権については、重要な箇所ですので、改めて平等権と関連する過去問のところで解説することにします。




★ なお、肢5に関わるレペタ事件では「司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することも、合理性を欠く措置ということはできないというべきである」としています。




しかし、これは「過去においていわゆる公安関係の事件が裁判所に多数係属し、荒れる法廷が日常であった時期と同様な措置を必要とするとの見解の下に、本件措置と同様の措置が執られてきていた」からであって、



「裁判所としては、今日においては、傍聴人のメモに関し配慮を欠くに至っていることを率直に認め、今後は、傍聴人のメモを取る行為に対し配慮をすることが要請されることを認めなければならない。」としめくくっています。




ですから、レペタ事件以後に、同様の訴訟が起こってないだけで、今後起こることになれば、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷においてメモを取ることを許可することは、合理性を欠く措置となるのが明らかです。




実際は、レペタ事件以後の裁判所では傍聴人のメモを取る行為に対し配慮をしているので問題にならなかったのでしょう。





本来はこのように考えてあてはめ問題を解くのが正確なのですが、本問の肢の1は「国民一般に対して」とかなり極端な書き方をしているので、厳格な審査基準を持ち出すまでもなく常識的な基準でも違憲だろうとあっさり答えがでてしまったのです。




何度もいいますように、人権問題を確実に正解するためには、必ず以下の順序で問題を検討してください。




★人権問題の検討順序★
① 誰の人権が問題となっているか(人権享有主体性)。


② 人権として憲法上保障されているか(人権の内容、性質など)。


③ 憲法上保障される人権がいかなる制約をうけているか(人権の限界)。


④ その制約は憲法に反しないか(違憲審査基準)。


⑤ 憲法訴訟上の問題点はないか(違憲審査の対象など)。




この検討順序が頭に入っていなければ、個別に覚えたことで問題を解くしかないですから、少し知らない判例などがでたら全く対応できません。




問題の肢が①~⑤のどのかわかっただけで、ほとんどの問題に対応できるようになります。


また、判例を勉強する際にも、この検討順序と関連付けて覚えれば、知識が確実になります。


例えば、肢4は博多駅事件がベースになっていますが、判例を読むと取材の自由が表現の自由として保障されるかが問題となっています。




そうすると、博多駅事件<取材の自由<表現の自由<②人権として憲法上保障されているか(下位概念<上位概念)というように階層構造で関連付けて覚えることができるので、ネット検索のようにすぐ頭から知識を取り出しやすくなります。




以上で5回にわたり、その2で話した(5)さらに過去問を素材にして知識を整理できないだろうか、についての勉強方法の一例を示してきました。




これで人権問題の解説を終えますが、さらにしっかり理解したい方は、この部分だけでも以前紹介した伊藤真試験対策講座LECのC-BOOKの憲法を読むことをお勧めします。




今回はこの辺りで終わりにします。






テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

違憲審査基準は役割分担?! 平成18年度 問5の過去問分析 その4

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。




◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。それ以前の記事をご覧になりたい方は、登録していただくようお願いいたします。
 
 



今回は人権問題の検討順序④について勉強しましょう。


<④「その制約は憲法に反しないか(違憲審査基準)。」>

問5を見ていきましょう。


問題がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html

前回1,2,3,5の肢が④の「その制約は憲法に反しないか」に関連する問題となっていると書きましたが、さらに二種類の問題に分かれますが気づいたでしょうか。


一つは違憲審査基準そのものの問題で、肢2と3がこれに関連します。



もう一つは違憲審査基準にあてはめてみると、結論として憲法に違反するか否かという問題で、肢1と5がこれに関連します。


まず、違憲審査基準そのものの解説をしていきましょう。


違憲審査基準とは文字通り基準となるものさしです。


例えば、ある個人の表現活動が表現の自由として保障されるとしても、
全く無制約ではなく、他者の人権と矛盾衝突する場合があります。



この場合、例えば公共の福祉の範囲内、つまり他者の人権にも配慮した範囲内で一定の制約を受けます。



その制約が不当に個人の表現活動を侵害していないかどうかをはかるのが違憲審査基準なのです。


そして、この違憲審査基準とはあくまでも裁判所の判断基準なのです。



ですから、国会などの政治機関で判断すべき問題ならば、裁判所が介入して判断すべきではないので、裁判所は、国会などの政治機関の考え方を尊重するために緩やかな基準で判断するのです。



これに対して、裁判所で判断すべき問題は、政治機関による多数決ではもはや解決できない問題ですから厳格な基準となりまず。


このように人権問題について、国会などで解決する方がいいのか、それとも多数決にはなじまない問題なので、裁判所で解決する方がいいのかで違憲審査基準が変るのです。



こうした国会などの政治機関と裁判所の役割分担二重の基準といいます。


この二重の基準は精神的自由権と経済的自由権で使い分けられます。


◇ 例えば経済的自由権たる営業の自由(憲法22条1項)で保障されるある職業について許認可制にする法律案があったとします。



この法律案に反対ならば、反対している政治家に選挙で投票することで法律案を廃止することも出来ます。


そうすると、この法律案が営業の自由を不当に制約し違憲であるとして訴訟が起こった場合、裁判所で判断するよりも、国会や内閣の政治判断に任せたほうがより適切なのです。



ですから、裁判所はそれほど厳しく審査する必要がないので緩やかな審査基準で判断するのです。


◇ これに対して、例えば第二次大戦前にあったように、天皇制に反対の意見をするだけで処罰対象になるというような法律があったとしましょう。


そうすると、天皇制に反対の意見をすることも政治的な意見表明ですから表現の自由で保障されますが、このような法律がある以上、反対の意見表明するための政治活動もできません。



そうすると、政治家ですら天皇制に反対の意見をいうことは難しくなります。


反対意見の政治家がいなければ国民は選挙で反対派の国会議員を選ぶこともできなくなります。



こうなると、もはや多数決原理で動く国会では解決できないことになります。


そこで、このような法律は表現の自由を不当に制限するので違憲であるとして裁判所に訴え提起するのです。



これはまさに多数決原理の働かない少数者の人権の砦である裁判所で解決すべき事柄なのです。



この場合に裁判所は厳格な審査基準を利用するのです。


以上のように、精神的自由権と経済的自由権では、違憲審査基準が異なるのです。



まず、この二重の基準をしっかり理解してください。



判例の考え方を理解する上でとても重要です。



理解できれば、判例の細かい知識を覚える必要が少なくなります。


また、精神的自由権という同じカテゴリーの中でも審査基準の厳格さの程度が異なります。



例えば、言論の自由などの純粋な表現の自由と広告などの営利的表現の自由では性質が異なります。



表現の自由の価値には、自己実現の価値自己統治の価値とがあるのはご存知だと思います。



自己実現の価値とは、個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させるという個人的な価値であるのに対して、自己統治の価値とは言論活動によって、国民が政治的意思決定に関与するという民主政に資する社会的な価値です。


ですから自己実現の価値よりも自己統治の価値の方が社会的な意味を持っている点で異なります。



営利的表現の自由の場合は、この自己統治の価値が希薄なのです。



例えば、企業のCMなどは営業活動の一環であり、企業の利益のためですから、どちらかというと経済的自由権に近いのです。


そうすると、営利的表現の自由の方が純粋な表現の自由よりも緩やかな基準で裁判所は審査するのです。


このように、裁判所が介入しなければ問題が解決しない人権侵害ほど審査基準が厳格になっていくことを理解してください。


★ ではここで肢の3を見てみましょう。


肢の3にあるように筆記行為の自由は、ある表現行為のために準備するためなどの補助的なものであって、政治的な意見表明などの純粋な表現の自由そのものではないです。


そうすると、仮に法廷での一般人に対する筆記行為の自由を制限する法律があっても、国民の多数がその法律に反対ならば、選挙における投票という政治的な意見表明によって、その法律の反対派の国会議員を選出し、その国会議員らが法律を改正することで問題が解決します。


そのため、裁判所で解決するよりも、政治機関で解決するほうが適切なので、筆記行為の自由については純粋な表現の自由よりも緩やかな基準で裁判所に判断されるのです。


ですから、肢の3の後半部分である「表現の自由そのものとは異なるため、その制限や禁止に対し、表現の自由の場合と同等の厳格な基準は要求されない。」は正しいのです。


★ 次に肢の2を見てみましょう。


肢の2では比較衡量という審査基準が使われています。


判例は精神的自由権の場合は比較衡量で審査することが多いようです。


経済的自由権の場合に二重の基準を使っているようです。


この比較衡量という審査基準基準は、基準としては客観性に欠けます。


要するに、人権の保障と公共の福祉による制約のどちらが大事かという天秤に過ぎません。



これでは何も基準を示していないのと同じなので、その天秤にかける際に、判断要素を挙げて、できるだけ客観性を保とうとしているのです。


肢の2では「禁止の目的、この目的と禁止される政治的行為との合理的関連性、政治的行為を禁止することにより得られる利益と禁止することにより失われる利益との均衡の三点」が判断要素として挙げられていますね。


ただ、この判断要素の内容によっては国民全体の利益に著しく傾くおそれがあるのです。



例えば上記に挙げた「政治的行為を禁止することにより得られる利益」とは国民全体の利益です。

失われる利益とは少数の公務員の政治活動の自由です。



これでは勝負になりませんね。



ですから、比較衡量の基準は客観性に欠けているといわれているのです。


その1でも書きましたが、公務員の政治活動の自由についての判例として猿払事件は著名ですから、この事件がいわゆる比較衡量の基準で公務員の政治活動を職務の中立性という理由で一律禁止した点で批判を受けた判例であることを知っておけばよいでしょう。


以上のように肢3から、自由の性質によって違憲審査基準の厳格性の程度が変ることがわかり、また肢の2からは、比較衡量の基準が学べました。


違憲審査基準の種類と内容は、人権の分野では非常に重要ですので、今後の試験でどんどん出題される可能性が十分にあるので復習をしっかりしてください。


違憲審査基準に関連する過去問として、H17年度の問4、問36などがありますので確認しておいてください。


次回、引き続き肢の1と5に関連する違憲審査基準のあてはめについて学びましょう。


今回はこの辺りで終わりにします。



テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

報道の自由>取材の自由>筆記行為の自由 平成18年度 問5の過去問分析 その3

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。




◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。それ以前の記事をご覧になりたい方は、登録していただくようお願いいたします。
 
 

前回の続きです。




問5を見ましょう。


問題がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html


前回の分析では、
表現の自由であるためには、まず「発表」するものである。


そして、「発表」するものであることを前提に、その「発表」の内容が
特定の思想、意見」に基づくものであることである。


と書きましたので、この分析を前提にわかりやすい順番で検討してみましょう。



<報道の自由>


報道はテレビ、ラジオ、新聞などを通じて「発表」するものである。


しかし、その「発表」の内容は事実であって、「特定の思想、意見」に基づくものではない。


そこで、事実の報道の自由が憲法21条で保障されているのかが問題となるのです。


これが問題の所在なのです。



◇ こういう論点では常に「なぜ問題となるのだろうか」という問題意識をもって勉強しましょう。


論点の理解が深まりますのでただ結論だけ覚えているよりも忘れにくくなります。



さて、報道には全く特定の思想、意見が含まれることがないのでしょうか?


一般的な理由として、報道には編集という知的な作業が加わり、編集者の意図が含まれるものなので、特定の意見や思想を含んだ表現行為といってもよいといわれています。



これで、報道の自由も、その「発表」の内容は「特定の思想、意見」に基づくものであるといえます。


ですから、「発表」と「特定の思想、意見」の2つの要件を満たすので、結論としては、事実の報道の自由は、表現の自由を想定した憲法21条の保障のもとにあるといえるのです。



◇ なお、このように事実すら特定の意見や思想を含んだ表現行為であるという結論からすると「特定の思想、意見」という要件はほとんど意味がないものと思っていいと思います。


なぜなら、報道機関でなくても事実を伝えるには要約するなど伝達者の意図は必ず含まれるといっていいからです。


ですから、この要件が特に問題となるのは、この報道の自由の論点くらいでしょう。



<取材の自由>


取材行為自体は何らかの情報を獲得するものに過ぎず「発表」するものではないです。


そこで、取材の自由が憲法21条で保障されているのかが問題となるのです。


これが問題の所在なのです。



では取材は全く発表とは無関係なことなのでしょうか?


一般的な理由として、報道は取材・編集・発表という一連の行為を通じて成立するものであり、取材は報道にとって不可欠の前提をなすといわれています。



そうすると、先ほど見たとおり、報道は表現の自由で保障されていますから、
不可欠の前提である取材の自由も表現の自由を想定した憲法21条の保障のもとにあるといえるのです。



◇ なお、肢5にあるように判例はそこまで明確に言っておらず、取材の自由は憲法21条の精神に照らし、十分に尊重に値するといっています。


しかし、これは取材の自由が憲法21条で保障はされるが、報道の自由よりその保障の程度は低という意味で理解しておいたほうが試験との関係ではいいでしょう。



<筆記行為の自由>


筆記行為もそれ自体では、必ずしも「発表」を予定しているものではありません。


ある情報を記憶するためにメモをとることもあれば、民法の問題を解くのに図を書いたりすることもあって、様々な筆記行為があります。


そこで、筆記行為の自由が憲法21条で保障されているのかが問題となるのです。


これが問題の所在なのです。



では筆記行為の自由は全く発表とは無関係なことなのでしょうか?


先ほど例に挙げた、民法の問題を解くのに図を書くことは、第三者に発表を予定していないものなので発表とは無関係といってもいいでしょう。



しかし、ある情報を記憶するためにメモをとることは、それが例えば取材活動の一つであったり、取材とはいえないまでも第三者に伝達するための筆記行為であったりするならば報道や伝達という発表の前提となる行為になります。



そうすると、筆記行為の中でも、報道や伝達という発表の前提となる行為であるならば、
発表と密接に関連しています。



ですから、発表の前提となる筆記行為の自由も表現の自由を想定した憲法21条の保障のもとにあるといえるのです。



◇ なお、取材の自由と同様に判例はそこまで明確に言っておらず、
筆記行為の自由は憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるといわなければならないといっています。


しかし、これも筆記行為の自由が表現の自由そのものではないので、一般的な表現の自由よりその保障の程度は低いという意味で理解しておいたほうが試験との関係ではいいでしょう。



◆ さて、上記のように検討してみると、報道の自由→取材の自由→筆記行為の自由の順序で表現の自由で保障される程度が低なっているものだとおわかりいただけたと思います。



報道の自由は表現の自由のである。


取材の自由は報道の自由の不可欠の前提であるので報道の自由に近い。


筆記行為の自由の中には発表と密接に関連しているものもあるが、関連していない筆記行為もある。



この保障の程度のが判例の言い回しの違に表れているのです。



報道の自由は、憲法21条の保障のもとにある。


取材の自由は、憲法21条の精神に照らし、十分に尊重に値する。


筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるといわなければならない。



これで、なぜ判例が筆記行為の自由、報道の自由、取材の自由で憲法21条の保障に関する言い回が少しずつ異なっているのかについておわかりいただけたと思います。


平成16年度の問5の復習としても理解できたと思います。



☆ ただし、この保障の程度の差と判例の言い回しの関係については、前々回の解説にもあったとおり、あくまでも理解の助けのためであって、憲法について、そこまで深く理解していなければ行政書士試験に合格できないということでは決してないです。



この保障の程度の差と判例の言い回しの関係まで理解していなければ解けない問題は行政書士試験では99%出題されないと思ってください。



前々回の解説にあったとおり、平成18年度の問5が平成16年度の問5の文言入れ替え問題であったことがその証拠です。



また、平成16年度の問5は肢の3の判例の言い回しの正確な知識がなくても消去法で答えはでます。

それはまた、平成16年度の問5の解説のときに説明します。



<③「人権の限界」>


肢1、2では、公務員の人権について書かれているので、
特別権力関係が一応問題となります。


しかし、解答には直接関係がないので、人権の限界については
問6の肢2で改めて解説いたします。



今回はこの辺りで終わりにします。




テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

人権問題はこの順序で検討せよ! 平成18年度 問5の過去問分析 その2

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。




◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。それ以前の記事をご覧になりたい方は、登録していただくようお願いいたします。
 
 




前回は、
判例の具体的な知識がなくても過去問をしっかりやっていれば解けました。


しかし、過去問をしっかりやるとは、問題を読んで解答し、解説を暗記するまで覚えるということではありません。



今までの記事にも書きましたが、整理すると、


(1)ある一つの過去問を解くのに必要最小限の基本的知識は何か、
(2)その基本的知識を正確に理解しているか、
(3)その基本的知識からわかる出題意図は何か、
(4)そして、その基本的知識で他の類似した問題も解けないだろうか、
(5)さらに過去問を素材にして知識を整理できないだろうか、


ということを過去問から学ことなのです。



このように過去問をしっかりやれば、一見すると過去問には全く出題されてないような未知の問題であっても、過去問で学んだ基本的知識から応用できるようになるのです。


例えば前回解説したとおり、平成16年度の問5をやっていれば、平成18年度の問5もその応用で解けるということです。



このことは、平成19年度の試験にもあてはまることですから、
まず(1)~(3)について過去問から学んでみてください。


それが終わって過去問全体を眺めることができるようになってきたら、
(4)、(5)について学んでみてください。



このように言葉でいうと抽象的で実際どうすればよいかは
なかなか理解できないと思います。


そこで私が過去問を一つ一つ具体的に解いて見せることで
受験生の皆さんの参考にしていただきたいのです。



今までは主に(1)~(3)について具体的にやってきました。


今回から数回に分けて、(5)さらに過去問を素材にして知識を整理できないだろうか、
についての勉強方法の一例を示していくので参考にしてください。



問5を見ましょう。


問題がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html


前回も書きましたが、人権問題の知識を整理するのに問5は
とても良い素材です。


この問題を解くにあたって人権問題の検討順序を意識できたでしょうか?


人権問題の検討順序


① 誰の人権が問題となっているか(人権享有主体性)。


② 人権として憲法上保障されているか(人権の内容、性質など)。


③ 憲法上保障される人権がいかなる制約をうけているか(人権の限界)。


④ その制約は憲法に反しないか(違憲審査基準)。


⑤ 憲法訴訟上の問題点はないか(違憲審査の対象など)。



人権に関する判例もおおむね上記の検討順序に則って記述されています。


ですからこの順序で検討するのです。


また、この検討順序を知っていれば、判例を勉強するにも理解しやすくなります。


これが人権問題を解くがかりとなります。



①~④までは人権の問題を検討する上で基本的な内容ですのでしっかり理解しましょう。


⑤については過去10年間で直接的な出題がないようなので、時間があればテキストをみておくくらいでいいでしょう。



◇ なお、お持ちのテキストなどを見るとおおむね、
人権享有主体性(法人、外国人など)
人権の限界(公共の福祉、私人間効力、特別権力関係)
違憲審査基準(二重の基準、LRAの基準、比較衡量など)
と個別のカテゴリーで記載されていると思います。


(詳細は各自テキストで確認してください。)


さて本問では、
①「人権享有主体性」に関連するのは肢4、5です。


②「人権として憲法上保障されているか」に関連するのは、肢3、4、5です。


③「人権の限界」に関連するのは肢1、2です。


④「その制約は憲法に反しないか」に関連するのは、肢1、2、3、5です。



順を追ってみていきましょう。



<①「人権享有主体性」>


肢4、5では報道機関の人権(報道の自由、取材の自由)が問題となっています。


報道機関は法人ですから、人権享有主体性が問題になります。


しかし、本問を解答する上では直接関係ありません。


問6の肢1の解答に直接関係するので問6の解説の際に改めて説明いたします。



<②「人権として憲法上保障されているか。」>
肢3は筆記行為の自由
肢4は報道の自由
肢5は取材の自由
がそれぞれ憲法21条1項で保障されるかが問題となっています。



表現の自由とは、特定の思想、意見を発表する自由であると、まずは理解してください。


もう少し分析してみますと、
表現の自由であるためには、まず「発表」するものである。


そして、「発表」するものであることを前提に、その「発表」の内容が
特定の思想、意見」に基づくものであることである。



この分析を前提に次回わかりやすい順番で検討してみましょう。



今回はこの辺りで終わります。





テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

過去問で秒殺! 平成18年度 問5の過去問分析 その1

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



初めてブログを見に来ていただいた方はまず こちらへ どうぞ!


合格者の方々のコメントは こちら です。


NEW 過去ログ倉庫&まぐまぐ&ご質問の仕方については こちら をご覧ください。




◆ まぐまぐは、迷惑メールや著作権等の関係で最新号のみの発行に変更しましたのでご了承ください。それ以前の記事をご覧になりたい方は、登録していただくようお願いいたします。
 
 


一見すると難しい問題のようにも思えますが、実は出題意図が単純な問題です!


本来は出題形式の解きやすい順番からすると並び替え問題と穴埋め問題をやるべきなのですが、並び替え問題は、一般知識等科目の問60しかありません。



また、穴埋め問題の問25は出題形式の重要性③で解説したとおり、A,B,C全ての空欄がわからないと正解できません。

その意味で問25は後述する個数問題と同様なので、個数問題のところで解説いたします。



今回から法律等科目の一肢選択問題を解説していきます。


一肢選択問題は択一問題で最も多く、出題形式の重要性④で書いたとおり、80%の正確な知識が要求されるので、合否を分ける問題だといえます。



一肢選択問題  (35問×4点=140点)  問3、5、6、8~24、26、27、29、30、35、                                           35、 38、40、


平成18年度の問5から見てきましょう。


問題がない方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/181mondai.html




この問題では、一見すると表現の自由に関する判例が聞かれていると思いますから、判例の知識がないと正解できないと思われる方もいらっしゃるでしょう。



しかし、この問題は平成16年度の問5をやっていた方は簡単にできる問題なのです。


特に肢の1~3を解いたことがあれば秒殺できます。



平成16年度の問5 肢の1~3を見てみましょう。


平成16年度の問5の全てが見たい方は下記のリンクで参照してください。
http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/161mondai.html




問題5 表現の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、妥当なものはどれか。


1 取材の自由は、表現の自由を規定した憲法第21条の保護のもとにある


2 報道の自由は、憲法第21条の精神に照らし、十分尊重に値する


3 法廷での筆記行為の自由は、憲法第21条の精神に照らして尊重に値し、故なく妨げられてはならない。



肢の1と2は誤りなのですが、それは肢の1と2で最後のオレンジ色がついた部分が入れ替わっているからです。


実際に入れ替えてみると、


1 取材の自由は、憲法第21条の精神に照らし、十分尊重に値する


2 報道の自由は、表現の自由を規定した憲法第21条の保護のもとにある



実はこれで正しい答になります。


ですから肢の1と2は誤りです。


後の説明で必要なので、この正しく入れ替えたものを覚えておいてください。



肢の3は文言そのままで正しい肢です。


ですから、平成16年度の問5の解答は3です。



◆ では、これを前提に平成18年度の問5の肢3、4、5を見てください。



肢3 「一般人の筆記行為の自由について~憲法21条の視定の精神に照らして十分尊重にするが~。」


肢4 「~事実の報道の自由は、表現の自由を想定した憲法21条の保障のもとにある。」

肢5 「~報道のための取材行為も、憲法21条の規定の精神に照らし、十分尊重に値するから~。」


問題文はもっと長いですが、解答するのに必要な箇所のみ抜き出しました。


平成16年度の問5と比べて問題文が長いのは、長くすることで平成16年度の問5とは異なる問題だと認識させようとしたのでしょう。



平成18年度の問5の肢4と5は、上記で見たとおり、平成16年度の問5の肢1と2を
正しく入れ替えたものオレンジ色の部分が同じ意味の文言になっていますね。



ですから、平成18年度の問5の肢4と5はしいのです。



◆ ではもう一度、平成18年度の問5の肢3と平成16年度の問5の肢3をみましょう。



平成18年度の問5の肢3
「一般人の筆記行為の自由について~憲法21条の視定の精神に照らして十分尊重に値するが~。」


平成16年度の問5の肢3
「法廷での筆記行為の自由は、憲法第21条の精神に照らして尊重に値し、故なく妨げられてはならない。」


両年度とも判例をベースに問題を作成しているわけですから、判例の文言のままに要約したものだと思ってください。



両者の違いは「十分」です。


平成16年度の問5の肢3はしいわけですから、この「十分」の違いによって、
平成18年度の問5の肢3はになります。



これで平成18年度の問5の正解は肢3になります。



偶然なのかわかりませんが、両年度とも問5の肢3が「正しいか」「誤っているか」という聞き方の違いがあるにせよ正解肢になっています。



★ このように、きちんと過去問分析をしていると、たったこれだけで答えがでてしまうのです。



ここから、問題作成者の出題意図がわかりますね。



過去問をしっかりやっていれば、必ず解ける問題を出しますよ
ということです。


逆に言うとそれ以上の知識は求められていないということです。



ですから、出題意図が単純な問題だったと述べたわけです。



◇ なお、なぜ判例は筆記行為の自由、報道の自由、取材の自由で憲法21条の保障に関する言い回しが少しずつ異なっているのかについては改めて次回以降の記事の中で説明します。



ただし、その説明はあくまでも理解の助けのためであって、憲法について、そこまで深く理解していなければ行政書士試験に合格できないということでは決してないです。



この点については、上記解説の通り、平成18年度の問5が平成16年度の問5を少し変えて出題したということでお分かりいただけたと思っております。



むしろ深く理解しなければ合格できないならば、行政書士試験の合格に何年もかかります。

初学者でも4ヶ月で合格できるわけがないのです。


皆さんは司法試験を目指しているのではないのです。



★ さて、平成18年度の問5は、上記の説明だけで正解はでてしまうのですが、
今後の出題への対処のために他の肢についても検討してみましょう。



問題文に、ある最高裁判所判決の一節があるので、これを読んで答えよということです。

ですから、この最高裁判所判決の一節にヒントが必ずあり、それが肢を切る手助けになっているはずなのです。



この最高裁判所判決の一節には、「憲法21条の保障する表現の自由は、民主主義国家の政治的基盤をなし、国民の基本的人権のうちでもとりわけ重要なものであり、法律によってもみだりに制限することができないものである。」とあります。



<肢の1>
まず肢の1をみると、「政治的行為が国民一般に対して禁止されるのであれば、憲法違反の問題が生ずる。」とあります。


そして最高裁判所判決の一節には、「およそ政治的行為は~憲法21条による保障を受けるものであることも、明らかである。」とありますから、政治的行為をみだりに制限することは憲法21条違反になります。


そして、人権保障は国民一般に向けられるものです。



そうすると、政治的行為が国民一般に対して禁止されるのは、国民の表現の自由をみだりに制限していることになります。



ですから、憲法違反の問題が生ずるので、正しい肢なのです。



このように、問題文にヒントがあるときは、必ず利用できないか意識してください。



<肢の2>
これは公務員の政治活動に関する猿払事件という著名な判例です。


おそらくどのテキストにも載っているでしょう。


この事件は、いわゆる比較衡量の基準で公務員の政治活動を一律禁止した点で批判を受けた判例であることを知っておけばよいでしょう。



少し説明をしますと、
問題文の最高裁判所判決の一節からすると、政治的行為も表現の自由の一つとして憲法21条による保障を受けるので法律によってもみだりに制限できないはずです。


そうすると、政治的行為の禁止は原則的にできないはずですよね。



また、政治的行為を制限できるとしても、表現の自由の一つなので違憲審査基準は厳格なものでなければならないのに、猿払事件では、合理的関連性、得られる利益と失われる利益との均衡の三点から検討することが必要であるとして、比較衡量の基準で判断しています。



つまり、公務員ということで、その職務の中立性を保つために一般国民と違う強い制限が可能であり、その制限に対する違憲審査基準は厳格でなくても良いということです。



表現の自由の重要性からすると、本当にこれでいいのかという批判があるのです。



違憲審査基準については、また改めて解説したいと思います。




★ さて、解答自体は出せましたが、この問題は人権の問題を勉強するのにとてもいい素材です。


私の知る限り、市販されている行政書士関係のテキストなどでは、重要なものであるにもかかわらず人権についてあまり体系的に書かれているものが少ないように思います。



そこで、次回から改めてこの問題を通じて人権についてのしっかりした理解をしていきましょう。



問6の肢1、2を解く上でも必要な理解になるので、一度やっておきたいのです。


人権についての体系的な理解を一度しておけば、たいていの人権の問題に応用できるので、有効だと思います。

 


今回はこの辺りで終わりにします。




テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

合併の効果の重大性 平成18年度 問39の過去問分析 その2

初めての方は 「なぜこのタイトルになったのか」

New 2014年度合格者の声は、こちら

YOUTUBE動画は、以下からご覧になってください。

New 憲法第1回 動画解説講義(全体編①)

New 憲法第1回 動画解説講義(実践編①)

できるだけ必要最小限の基本的知識で過去問の解説を試みております。
それには私なりの理由があるので、関心のある方は こちらへ どうぞ!


まぐまぐは こちらから どうぞ!



前回に引き続き問39です。問題がない方は下記のリンクで参照してください。 http://www.sikakuyo.com/gyousho/honsiken/184mondai.html

前回、①包括承継と②合併の効果の重大性という2つの視点の解説をしました。
さっそく②合併の効果の重大性に関連する肢ア~エを検討しましょう。
まずはアとウからです。

アもウも株主に関わる肢ですね。
アでは「株主総会決議が省略できる」とされていますが、上記の通り、合併は株主に重大な影響を及ぼすことから、実質的所有者たる株主の意向を無視して合併できないのが原則です。よって、アは誤りです。

◇もっとも簡易合併というものもありますが、これは株主への影響が少ないため例外的に許されているものです。
本問では原則のみ問われていますから簡易合併の詳細を知りたい方は各自のテキストなどで確認しておいてください。

ウは「反対株主が、株式買取請求権を行使することができる」とされています。
上記の通り、合併は株主に重大な影響を及ぼすことから、合併に反対の株主が投下資本の回収をできるようにしなければなりません。

本来、株主が投下資本の回収をするには、株式譲渡という方法があります。
しかし、合併によって、株式の価値が下がる可能性もあるので、市場で株式譲渡をするのは容易とはいえません。

そこで、会社側に株式を買い取ってもらえるという株式買取請求権を反対株主に与えているのです。
合併が株主に重大な影響を及ぼすことから、このようなセイフティネットがわざわざ用意されているのです。
ですからウは正しいです。

次にイを見てみましょう。
イは債権者保護の肢です。
合併は債権者に重大な影響を及ぼすことから、本来は知れたる債権者には個別催告する必要があるのが原則です。

しかし、会社に不当な負担をかけてまで債権者を保護する必要は公平の観点から妥当ではありません。
そこで、会社が日刊新聞紙による公告や電子公告などの個別催告したのと同様な効果をもたらす告知をした場合は、それに加えて個別催告する必要があるとするのは会社に不当な負担をかけることになります。

また、債権者にとってもよほど自己の債権回収に不熱心なものでないかぎり、債務者たる会社の情報は容易に調べられる範囲で調べるでしょうから、日刊新聞紙による公告や電子公告されているならば個別催告されなくとも不都合はないでしょう。
よって、この場合例外的に個別催告は不要なのです。
ですから、イは誤りです。

最後にエです。

合併をすることで、会社に関わる会社の機関、株主、会社債権者に重大な影響を及ぼします。
ですから、いったん合併がなされたら、たとえ合併が違法だとわかっても、誰もが容易に覆すわけにはいきません。

そこで、その違法性を裁判所という公の中立的な国家機関によって判断される必要があるのです。
ですから各当事会社の株主、取締役等、または合併を承認しなかった債権者などの合併に利害関係のある主体に限って、その無効を合併無効の訴えによってのみ主張することができるのです。

また、合併の効果の重大性から合併の効果は当事者にのみ適用される相対効ではなく、広く第三者にも適用される対世効なのです。

ですから、合併無効の判決が確定した場合でも、遡及することは権利関係を複雑にし、法的安定性を害するので将来に向かってその合併は無効となるのです。
よって、エは正しいです。

以上より5のウとエが正解になります。

なお、この問題はアとイがわかれば正解できます。
しかし、イは例外が聞かれている肢なので少し難しいと思います。

おそらく上記2つの視点からア、ウ、オの正誤は容易に判断できるでしょう。
後は解答の肢3と4のいずれか、つまり問題の肢イとエのどちらが正しいかの
判断になります。
ただエは合併の効果の重大性から導けるものですから、もうエが正しいと判断できるでしょう。

この問題が個数問題であったら、かなり正答率がなると予想されます。
個数問題だと条文の正確な知識が必要なのではと思って、問題の肢の一字一句にとらわれてしまいがちになるからです。

わざわざ組合せ問題にしたということは、上記2つの視点から解けますか?というのが出題意図だと思われます。

ですからこの問題を復習するときは上記2つの視点をまず理解して、その上で条文の基本的な知識を覚えておけばいいでしょう。

合併は会社法の後半にありますし、上記2つの視点がなければ一見すると手続きも複雑で難しく感じるでしょうから準備不足になりがちです。
ですからこの問題を間違っても仕方ないかもしれません。

以上より、法令等科目の組合せ問題5問を全て解説しました。
問39以外は全問正解しておきたいです。

今回はこの辺で終わりにします。


役に立ったと思っていただけましたらポチッとよろしくお願いいたします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:資格取得 - ジャンル:学校・教育

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。